原水禁『日々のニュース』

ここは、事務局が、ニュースを書き込んでいくところです。。。。。。。。。。。。 ----------- 最新ニュース ---------- CTBT(包括的核実験禁止条約)に関する意見書 ------------

核兵器禁止条約に日本政府が参加することを求める意見書

 昭和47年(1972年)に生物兵器、平成5年(1993年)に化学兵器という大量破壊兵器が国連で採択された条約によって国際的に禁止された。平成9年(1997年)に対人地雷、平成20年(2008年)にクラスター爆弾という非人道兵器が条約によって国際的に禁止された。そして平成29年(2017年)7月7日、最後に残された非人道大量破壊兵器の核兵器が国連において122か国の賛成多数によって採択された核兵器禁止条約によって国際的に禁止されることになった。核兵器については、すでに平成8年(1996年)に国連総会から判断を下すように要請された国際司法裁判所(ICJ)が「核兵器の使用または威嚇は国際人道法に違反する」という勧告的意見を決定、「全面的な核軍備撤廃に向けた交渉を誠実に行い、完結させる義務がある」と裁定している。この国連での核兵器を廃絶に向かわせる努力が実を結んだのが今回の核兵器禁止条約の採択である。広島と長崎に原爆が投下されてから72年、被爆者たちが長年訴えてきた核兵器廃絶が現実ものとなる歩みが始まった。
 しかし日本政府はこの核兵器禁止条約に賛成しなかっただけでなく国連での議論に参加もしていない。そしてこの条約が圧倒的多数の国の賛成で採択された後では「核抑止力の正当性を否定するものだから参加できない」という姿勢を明確にしている。確かにこの条約は開発、生産、実験、製造、移送、保有、貯蔵、使用、威嚇という核兵器にかかわるすべての運用を禁止、廃棄とその検証までを包括的に規定しているので、従来の日本政府の核抑止の考え方とは正反対の立場だといえる。しかしこの条約が採択されたことで日本政府が問われているのは、核保有の正当性を主張する側に立つのか、非人道大量破壊兵器を禁止して廃絶を希求する側に立つのかということである。
米国トランプ政権は今までのオバマ大統領の「核なき世界を目指す」という方針を転換して、核体制の見直し(NPR)を発表した。通常兵器での攻撃にも核兵器で反撃できるように使用条件を緩和して、実際に戦争で使える小型化した核兵器を開発するという。「使える核」は論外であり、日本政府は容認するべきではない。核兵器を「抑止力」と考えるとしても、事故や誤作動、誤情報、テロなどによって発射または爆発させてしまうリスクが常にある核兵器とはいまこそ決別すべきだ。
平成29年(2017年)に核兵器禁止条約の採択に尽力したことでノーベル平和賞を受賞して、日本の被爆者団体ともかかわりが深い核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィンさんは本年1月に来日して「長崎以来、世界で核兵器が使用されなかったのは偶然でしかない。私たちは一瞬にして破壊されると思いながら暮らすべきではない」と語り、日本政府の方針転換を強く求めた。唯一の戦争による被爆国の日本の動向に世界の注目が集まっている。核兵器禁止条約は50か国が批准した段階で正式に発効する。日本はその国々の中にあるべきだ。
調布市では昭和58年に多くの市民の声とともに市議会が「わが国は、戦争による世界唯一の核被爆国として、また平和憲法の精神からも核兵器の廃絶と軍備縮小の推進に積極的な役割を果たさなければならない」という非核平和都市宣言を採択している。
調布市議会は非核平和宣言都市の市民の代表として、日本政府に対して国連で採択された核兵器禁止条約に参加して、批准への手続きを始めることを求める。
以上、地方自治法99条の規定に基づいて意見書を提出する。
平成30年3月27日

東京都調布市議会

内閣総理大臣
外務大臣
衆議院議長
参議院議長   様



 9月28日、調布市議会は以下のような政府に対する意見書を全会一致で採択しました。世界の平和が著しく脅かされているいま、私たちはいつも広島・長崎の原点に帰って核も戦争もない世界をめざしていかなければならないと思います。そのための小さな一歩ではありますが、今この時点で、どうしても正しておかなければならないことに対して淡々と地域から発言していこう、そんな思いがこの意見書決議には込められています。このような試みが多くの地域に広がっていくことを祈りながら掲載させていただきます。(原水爆禁止調布市民会議・藤川)

CTBT(包括的核実験禁止条約)に関する意見書

 核兵器廃絶への道が揺らいでいる。
日本政府の姿勢が問われるふたつの問題が起きている。「核兵器廃絶への明確な約束」を昨年のNPT(核不拡散条約)再検討会議が採択したことを受けて、日本政府は昨年の国連総会でオーストラリア政府と共同で「核兵器廃絶への道程」と名づけた決議案を提出して圧倒的な賛成を得た。この決議案の大きな意義としてあげられるのは、CTBTの条約発効の目標を2003年として初めて期限を画したことであった。小泉首相も今年の広島・長崎での平和祈念式典で多くの被爆者を含む市民の前で、CTBT発効促進のために全力で取り組むことを約束している。
 しかし今年8月、本年の国連決議についてNGO団体と協議した外務省の担当者は、アメリカ政府の最近の動向に沿わないという理由でこの目標期限を明示しない意向であることを表明した。このことは、日本政府の核兵器廃絶への取り組みの後退を意味する。本年度わが国が国連総会に提出する決議案がそのような内容になるなら、昨年の決議に賛成した諸国の反発を招くことになるだろう。
 
もうひとつはアメリカの水爆における爆発現象(核融合)の研究を行い、核兵器に関する専門家集団と新しい核弾頭を設計し、製造する能力を維持することを目的として建設中の「国立点火施設(NIF)」に、日本の光学ガラス最大手メーカー「HOYA」の米国現地法人が主要部品を納入していることだ。CTBTをすでに批准している日本の企業がこのような核兵器用施設に協力することは「核兵器の開発及び質的改善を抑制し、並びに高度な新型核兵器の開発を終了させる」というこの条約の主要な目的の精神に明確に反する。ブッシュ政権は前政権の政策を踏襲せずCTBTの批准に後ろ向きな態度だが、もしこの施設(NIF)完成後にアメリカ政府が核実験を再開すれば、日本はCTBTの違反国となる。HOYAは広島・長崎市長や被爆者団体の抗議で一時はこのレーザー増幅用の特殊ガラスの納品を見合わせたが、この3月から再開すると発表して、その後は反核団体の抗議も受け付けない態度を明確にした。被爆国日本の企業として許されることではない。
よって調布市議会は、以下の事項を政府・外務省に要求するものである。

1、外務省はCTBTの早期発効に対する態度を後退させることなく、本年      
 度以降も世界に向けて明確に約束した2003年発効という目標期限を堅持し、アメリカ政府はじめ諸外国への働きかけを続けること。
2、米国現地法人とはいえ、本社を日本に持つ企業が核兵器開発の協力を行うことは許されない。HOYAに対し、外務省は適切な指導を行い、「国立点火施設(NIF)への部品納入をやめさせること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する

平成13年9月28日       調布市議会議長 鈴木正昭
提出先    内閣総理大臣  外務大臣




調布原水禁は4月6日、以下の抗議声明に署名しました。

抗議文:
米国核兵器研究施設「国家点火施設(NIF)」へのガラスの納入を直ちに中止せよ

HOYA株式会社 代表取締役 鈴木 洋 様

貴社は、米国エネルギー省が同省の国防部門の予算を使って、核兵器の性能を維持・改善するために建設している施設「国家点火施設(NIF)」への納入を、NIFは、「国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」「核兵器をなくすのに資する」などと支離滅裂なことを主張して正当化しようとしている。被爆国の企業として、許しがたい暴挙と言わざるを得ない。

 また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を拒否し、いつ核実験を再開するかわからない米国で、核兵器の設計能力を維持することを主要目的の一つとするNIFの建設に貴社が協力することは、日本が批准した同条約第1条2項で定められた次の義務に違反する可能性が濃厚である。

 「締約国は、さらに、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発の実施を実現させ、奨励し又はいかなる態様によるかを問わずこれに参加することを差し控えることを約束する。」

 NIFへの納入は、この条文の精神に反していることは間違いなく、日本全体が国際的批判に曝される可能性が高い。

 被爆国、日本の市民として、又、消費者として、私たちは、貴社が直ちにNIFへの納入を中止するよう強く要望するものである。

署名団体名:
原水爆禁止日本国民会議
原子力資料情報室
グリーン・アクション
日本消費者連盟
グリーンピース・ジャパン
地球の友ジャパン
太平洋軍備撤廃運動(PCDS)国際事務所
婦人民主クラブ
原発を考える品川の女たち
ストップ!核のゴミキャンペーン
ストップ・ザ・もんじゅ東京
埋めてはいけない!核のごみ 実行委員会みずなみ
下北半島と神奈川を結ぶプロジェクト
原子力行政を問い直す宗教者の会
インド・パキスタン青少年と平和交流をすすめる会
グローバル・ピースメーカーズ・アソシエーション
ピースリンク広島・呉・岩国
原発止めよう神戸行動実行委員会
放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜
地球救出アクション97
長崎県被爆者手帳友の会
長崎原爆被災者協議会
長崎県平和・労働センター単産被爆者協議会連絡会議
全国被爆二世団体連絡協議会
長崎県被爆二世の会
チェルノブイリの子どものためのリサイクルグループ“カリーナ”
チェルノブイリと核の大地写真展事務局
東電と共に脱原発をめざす会
プルサーマル公開討論会を実現する会
第九条の会ヒロシマ
ゆったり暮らす会
原発あっていいん会(札幌)
反原発町田ネットワーキング
原水爆禁止調布市民会議
原発を知るシガ連絡会
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
反原子力茨城共同行動
脱原発とうかい塾
脱原発「かんそいも通信」
東海原発・ 再処理に反対する市民の会
進出企業問題を考える会
A SEED JAPAN



調布原水禁では、以下の共同アピールに賛同しています。原水禁国民会議、原子力資料情報室、日本消費者連、GREENPEACE JAPAN、A SEED JAPAN、地球の友、大地を守る会、など36団体、135人の個人とともに、2/22国会において記者会見をして発表しました。

市民団体共同アピール(案)

  あまりにも拙速な自民党の「エネルギー基本法」提出をストップし、市民全体でエネルギー政策を考えよう

  自民党が「エネルギー基本法」の今国会提出を準備今開かれている通常国会に自民党から「エネルギー基本法」が提案されようとしています。昨年12月自民党のエネルギー総合政策小委員会が「第3回報告書」をまとめ、そのなかで、エネルギー基本法(骨子)を公表しました。法案の正確な内容は公表されていません。
 私たちは環境の保護、地球温暖化に対する対策、自然エネルギーの推進、脱原発政策の実現などの課題について取り組んで参りました。そして、現在のわが国におけるエネルギー政策の内容と決定の手続に問題があると考え、その改善のために活動してきました。その立場は原子力発電の位置づけなどについても同一ではありません。しかし、いま自民党が準備している「エネルギー基本法」については、その制定の手続きと内容の双方に以下に述べるように大きな疑問があり、法案の拙速な提出に反対するという点で一致して、この共同アピールを発するものです。そして、最後に述べるような理念に立って、市民の共同でエネルギー政策を練り上げていくための
作業を行うべきであると考えます。

   民主化と透明化の必要なエネルギー政策決定手続

 わが国のエネルギー政策は、総合エネルギー調査会という通産大臣の諮問機関で審議され、これが関係閣僚の会議で決定され、国民の代表たる国会の場で審議されることがありませんでした。また、独占的な大企業がエネルギー政策の決定権を持ち、地方自治体などが自主的に取り組める分野がほとんどないという問題も指摘されてきました。調査会の委員は、原子力を推進する立場の者によって占められ、政策決定の基礎データの公表も不十分でした。このようなエネルギー政策の立案過程の民主化と透明化をはかり、「情報公開と政策決定過程への市民参加を推し進め、すくなくとも基本計画を国会の議決事項とすること等を内容とする「エネルギー政策基本法」を制定すべき」(2000年10月日弁連人権大会決議より)ことは、そもそも国のエネルギー政策を厳しく批判してきた日弁連が主張していたことです。

  法案の策定過程が拙速すぎる

  自民党はこの通常国会にも法案を提出するとされています。しかし、現在までには骨子案しか公表されていません。このこと自体が法案の立案手続きとして許されないことではないでしょうか。最近の自民党の最近の政治手法は国民によくわからないように準備を進めて、法案を国会に出せば、議論も封殺して多数与党の「数の論理」で進めようとするものであることは原子力発電推進特別措置法などの制定の仕方をみれば明白です。この法案の準備を進めている小委員会の事務局長は東京電力出身で原発推進ロビーを代表すると見られる加納時男議員です。いうまでもなく、エネルギー政策は市民生活の基本を規律する極めて重要な政策課 題です。仮に自民党が法律案の提案を行うとしても、すくなくとも、このような重要な法案については十分な市民の討論の時間を確保するために事前に国民の前に原案を示すべきです。そして、十分な時間を掛けて、エネルギーや環境問題に関わるNGOや専門家の意見や広く地方自治体や市民の意見を聴く手続きを取った上で、内容を練り上げてから国会に法案を提出するべきであると考えます。
私たちは、自民党に対して、
 1)検討中の法案を速やかに公表すること
 2)法案に対する意見の聴取のための公聴会を全国で開催すること 
 3)少なくとも、小委員会の議論の内容を環境NGOに説明する機会を設けること
 4)法案の今国会提出をやめること を求めます。

   自民党のエネルギー基本法の内容における問題点

  自民党案は政策決定の手続きの点だけでなく、その内容においても、私たちの求めているものとは対局にあるものです。第1には、法案が自然エネルギーの推進を阻害するということです。法案の骨子には「エネルギーセキュリティ」や「長期的経済性」、「質・量・価格・時間」の優れたエネルギーなどの表現が使われています。中間報告は自然エネルギーを「補完的」なものと位置づけています。エネルギーの質や安定性を問題とすることは、結果的には自然エネルギーを本格的に推進することにブレーキをかけることにつながります。自民党案は自然エネルギーの推進を阻害するものといわなければなりません。第2に、持続可能や環境保全という美辞麗句は散りばめられていますが、原子力を環境に優しいエネルギーのトップに挙げるような倒錯した考え方が立案の基本にあり、原子力施設の事故や放射性廃棄物のもつ環境への破壊的影響への認識が伺えないことは根本的な問題です。このことは、「エネルギーフォーラム」2000年12月号に掲載された「エネルギー基本法の制定を目指す」という表題の小委員会委員長甘利明氏のインタビューに示されています。本音のインタビューの中でこの法案制定に込められた意図を甘利委員長は次のように語っています。
「CO2という観点からすると、(原子力は)地球にかける負荷が少ないエネルギーでもあります。施設をつくる材料の生産から、施設を廃棄するまでに排出するCO2排出量、これをライフサイクルアセスメント基準と言いますが、これで言いますと、原子力は水力と並んで最優秀選手ですね。風力は原子力の3倍、太陽光は5倍もあり、原子力はまさに地球に優しいエネルギーなんですよ」
「原子力を進める際にも、国のエネルギー政策として原子力がこの基本法上大事なんですということで、国民のみなさん方に理解してもらう。」国がきちっと後ろ盾になってるということを示すためにも、国が核燃料サイクル全般について責任を確固として果たします、と言うことを示すためにもエネルギー基本法の制定は欠かせない。」法案の骨子を見るだけでは明確にされていないところもありますが、この委員長の発言を見れば、自民党案には世界の流れに真っ向から反して、原子力を推進する論理が隠されていることが理解できます。このような意図で、いまエネルギー基本法を制定することは全くの時代錯誤といわざるを得ません。
 これまで、エネルギー政策は通産省(経済産業省)の官僚が立案してきました。いま、総合エネルギー調査会の結論も待たずに、自民党がこのようなエネルギー基本法を提出しようとしている意図と背景は、次のように考えられます。市民の側から巻き起こってくる、エネルギー政策転換を求める声を、一部取り入れたような形で、持続可能とか環境保全という言葉をちりばめて、実際的な内実では、電力会社などの原子力離れに歯止めをかけ、自民党の地方政治家の利権である原子力をこれまで通り推進できる体制を今の内に固めておきたいとする考えがあると思われるのです。 

  市民の側から真に持続可能なエネルギー政策とエネルギー基本法を対置しよう

 私たちはその制定手続きと内容に根本的な問題がある、自民党の「エネルギー基本法」の制定に一致して反対することを明らかにするとともに、次のような理念に立った真の「エネルギー基本法」を市民の共同で練り上げていくための作業をはじめるべきであると考えるものです。以下に掲げる理念は、まず議論のたたき台として提案するものです。このような提案をもとに、ひろく国民的なエネルギー政策に関する議論が巻き起こることを期待します。

  1. エネルギー政策の民主的決定
     エネルギー政策を決定するのは、行政ではなく、市民であること、政治的には国会であることを明確にし、政治的な決定によってエネルギー政策の変更が可能となる仕組みを確保する。
  2. 持続可能なエネルギーと政策
     現在と将来の環境負荷(放射能・大気汚染・温暖化(CO2)・自然破壊など)を考え、日本全体の望ましい持続可能なエネルギーの全体像とその政策を十分な議論をして作り上げる。 
  3. エネルギー政策の分権化
      エネルギー政策において地方自治体が果たすべき役割を、国の政策に従うという従属的なものから、新しいエネルギー政策を構想し、創造していく主体的なものとする。
  4. エネルギー消費削減と効率的な利用
     我が国においてもエネルギーの消費削減と効率的利用こそ、持続可能なエネルギーシステムの基礎であることを確認する
  5. 自然エネルギーの普及促進
      地球温暖化や環境問題に対する対応として、自然エネルギーに大きなプライオリティをおき、その普及の決め手となる環境税や買い取り義務規定の根拠となりうる自然エネルギーの普及の根拠規定を盛り込む。
  6. 原子力への優遇策をやめる
     原子力に対する電気事業法、税法上の特別扱いをやめ、政府は原子力に対して中立的な立場をとることを明確にする。その具体化として、安全対策以外の政府予算を支出せず、原発推進特別措置法を廃止する。また、放射性廃棄物処分までのすべてのコストを電力事業者が負担すべきことを明確化する。

  米原潜「グリーンビル」による「えひめ丸」衝突事件に抗議する共同声明(案)

    2001年2月19日
 2月9日午後1時50分頃(現地時間)ハワイ・ホノルル沖で起こった米原潜グリーンビルによる愛媛県立宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」に対する衝突事件は、私たちに激しい衝撃を与えました。突然急浮上してきた原潜によって海に投げ出された乗組員、生徒35人のうち、9人が未だ行方不明であり、家族の心痛は思って余りあります。
 多くの民間船舶が行き交う海域で、なぜグリーンビルは緊急浮上したのか(緊急浮上は同乗する民間人へのデモンストレーションではなかったのかという見方も一部では伝えられます)。最先端のソナーがなぜ海上の「えひめ丸」をとらえることができなかったのか。なぜ、海に投げ出された人々を救出するための行動をとらなかったのか・・・。次々と怒りと疑問がこみ上げます。行方不明者の一刻も早い救出とともに、今、求められるのは徹底的な原因・真相の究明と調査結果を余すところ無く公表することです。日本政府はただちに特使を現地に派遣し、米国政府に対してそのことを要求するべきです。この事件の一報を受けたときゴルフに興じていた森首相は、それでもプレーを中断しなかったと聞きます。国民の生命と安全、人権に対する認識の低さにあらためて憤りを覚えます。
 私たちがすぐに思い出したのは、1988年7月横須賀でおきた「なだしお事件」です。海上自衛隊の潜水艦「なだしお」に衝突された、「第1富士丸」の乗員・乗客30人の命が奪われたこの事件の時も、「なだしお」の乗組員は波間で助けを求める人々に手をさしのべることはありませんでした。それどころか、海上自衛隊はその後の海難審判や裁判を自らに有利に運ぶために、偽証工作や証拠隠滅工作など手段を選ばぬ行動をとりました。軍隊というものがいかに生命・人権に無関心な非民主的な集団であるかが明らかになった事件でした。米国の潜水艦も事故を起こしています。81年には鹿児島県下甑(こしき)島沖の東シナ海で、原潜「ジョージ・ワシントン」が愛媛県の貨物船「日昇丸」に衝突。日昇丸
は沈没し、乗員2人が行方不明になっりました。この時「ジョージワシントン」は現
場にとどまりもしませんでした。文字どおりの「当て逃げ」です。このような事件を生んだ構造に全くメスが入れられることなく、放置された結果が今回の事件であると私たちは考えています。
米国の原子力潜水艦は、96年から2000年までの5年間だけでも260回、日本の港=ホワイトビーチ(沖縄)・佐世保・横須賀に入港しています。事故を起こしたグリーンビルも98年7月から12月にかけて、横須賀に3回、佐世保、ホワイトビーチに各1回入港しています。2000年を例にとれば、入港回数は年間51回。すなわち、少なくとも1年に102回、3日に一回は日本の領海において浮上・潜行の行動をくり返し、多数の民間船舶が航行する、たとえば浦賀水道を通って出入りをしていることになります。さらに、日本の領海における原子力潜水艦の行動は一切明かされておらず、どこにいるのか、どのような訓練を行っているのかすら解らない状態です。したがって、同種の事故は、日本の領海・近海でもいつ起こってもおかしくありません。今回の事故は、原子炉に影響を及ぼさないものでしたが、原子力潜水艦である以上、衝突事故は原子炉の損傷に直結し、被害はさらに甚大になるでしょう。
 民間港への米軍艦の寄港がくり返されています。軍艦と民間船舶が、至近距離で同じ海域を航行する状況が日本全国に拡大しています。米軍艦は日米地位協定第5条で、水先内の同乗義務を免除されるという特権が与えられています。このような特権が、米軍艦側に民間人の生命や人権、安全への配慮など基本的な事項に対して払うべき善良かつ細心の配慮をおざなりにさせていることを、誰が否定できるでしょうか。在沖縄駐留軍調整官の知事や議会に対する侮蔑発言を見れば、彼らがどのような意識で、日本の海で行動しているのかは容易に推し量ることが出来ましょう。
以上のように、私たちは今回の事件は決して偶発的な出来事ではなく、軍隊の特権意識や民間人の生命や人権を配慮することない船舶の設計・運用思想、さらにはそれらを放置してきた政治的・外向的対応が複合した、構造的に起こるべくして起こった事件であると考えます。よって、関係各方面に対して、次の事項を申し入れるものです

 【要請事項】
米国政府及び海軍に対して
1)「えひめ丸」の船体を直ちに責任をもって回収すること。
2)事故の原因・真相を徹底糾明し、調査結果を全面公開すること。
3)責任者の刑事責任を追及し、処罰すること。
4)事故再発防止策を策定し全面公開すること。
5)民間船舶の安全のため、平時における原子力潜水艦の行動形態、運航マニュアルを全面公開すること。
6)日本領海・近海における原子力潜水艦の行動形態・訓練海域を公表すること。
7)以上の措置が完全に行われるまで、太平洋地域におけるすべての潜水艦の行動を
停止すること。

日本政府に対して
1)上記1)から7)を米国政府に強く求めること。
2)米国から入手した情報を、国民の前に全面公開すること。
3)以上の措置の完全実施が確認されるまで、ホワイトビーチ、佐世保、横須賀への原子力潜水艦の入港を無期限全面禁止すること。

沖縄県知事、金武町長、佐世保・横須賀両市長に対して
1)上記全事項を米国政府、米海軍、日本政府に要請すること。
2)原子力潜水艦の入港を無期限全面拒否こと。

すべての港の港湾管理者に対して
1)民間港への米軍艦入港を拒否すること。

抗議声明賛同団体
<代表連絡先>キャッチピース

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田巻一彦
tamaki@ab.mbn.or.jp
tel/fax 045-531-1341
223-0065 横浜市港北区高田東3-38-15
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  非核自治体を活性化する取り組みとしてこのような2000年決議を行いました。
  調布原水禁は、以下のような決議文を作成して、調布市議会に「社民・生活者ネット・民主の会」を通して提出しました。この決議は199912月22日に、全会一致で採択されました。

核兵器のない21世紀を希求する決議

 調布市議会は昭和58年に非核平和都市宣言を決議した。16年が経過し、世紀末を迎えたいま核をめぐる状況を見るとき、この調布市議会が掲げた理想が実現されていないことをみとめざるを得ない。この間には、世界の反対の声を押し切った形で行われたフランスと中国の核実験があった。また突然のインド・パキスタンの核実験と事実上の核保有国化があった。米ロ間の戦略兵器削減条約(START)の締結は遅々として進まず、
国連で採択され世界の声となりつつある包括的核実験禁止条約(CTBT)も米ロをはじめとする保有国が批准せず発効に至っていない。米ロの未臨界核実験も続いている。
 大きな前進もあった。1996年に国際司法裁判所(ICJ)が出した勧告的意見である。ここで示された「核兵器による威嚇またはその使用は一般的に国際法に違反する」という判断は、世界の反核兵器運動に弾みをつけた。NGO団体が全世界横断的な動きを作ったアボリション2000(核兵器廃絶2000)は、6大陸89ヶ国から1383団体が加盟し、世界の非核自治体も239がこの動きに賛同して2000年までの核兵器禁止条約の締結を求めている。日本政府もインド・パキスタンの核実験後の状況を打開するために、世界によびかけた「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」を開催して、積極的な姿勢を示した。
 調布市議会は20世紀最後の年を迎えるにあたり、非核平和都市宣言をあらためて確認するとともに、真に核兵器のない平和で安全な21世紀を希求するために以下の点について広く市民,NGO、日本政府に訴える。

 1、核兵器のない21世紀を実現するために、あらゆる障壁をこえて「核兵器禁止条約」の締結を今世紀中に展望するべきである。その準備のためのテーブル作りを各国政府とNGOが急いでいる。世界の情勢を見ると、国家の壁を越えて活動するNGO団体と各国政府の共働が核軍縮を推進する力になりつつある。市民が声
をあげ、NGOがその声を受けて提言を作り、政府が政策決定の糧にする。日本でもそのような流れの芽が生まれつつある。膠着した核軍縮交渉を一歩前進させるためには、国境を越えたこのような市民、NGO、政府の共働が不可欠であり、この動きを推進させるべきである。
 2、日本政府は、国連に提出される核軍縮に関する決議には積極的に賛成票を投ずるべきである。とくに昨年から試みられている「新アジェンダ連合案」は、世界のNGOが横断的に後押しをして、非核保有国が連合して提出するという、新しい世界の秩序を作り出す意味があり、また核軍縮の一歩前進を確かなものにするものでもある。日本政府が賛成票を投ずる条件は揃っている。戦争行為による世界で最初の被爆国の日本が、この案に積極的な態度をとることは、世界の核軍縮の流れに大きな弾みをつけるだろう。

 3、広島・長崎の惨禍を知る私たちは、繰り返される核実験のニュースに深い悲しみを覚える。また米ロの未臨界核実験は、発効してはいないものの国連で賛成158、反対3、棄権5という圧倒的多数で採択されている包括的核実験禁止条約(CTBT)の精神に反している。日本政府は被爆国の政府として、核実験を20世紀のものとして終息させるために今まで以上にこれらの核実験に断固たる態度をとるべきである。また湾岸戦争とコソボ紛争で使用された劣化ウラン弾は放射性の破片をまき散らして広範囲な被曝を引き起こしている。放射能の被害者をこれ以上生み出さないために、日本政府は責任を果たすべきである。

   以上、決議する。


   調布原水禁では、1999年9月30日に起きた東海村での「核燃料施設JCO臨界事故」について、以下のような政府への意見書を、調布市議会に提出しました。社民・生活者ネット・民主の会、共産党、元気派市民の会に賛成していただきましたが、自民党、公明党、グローバル調布21の反対で、17対13で否決されました

核兵器廃絶2000年決議と同時に提出した意見書案です。
(賛成13、反対16で否決されました)

東海村での核事故に関する意見書

 9月30日に茨城県東海村で起きた大規模な核災害は多くの深刻な被曝を引き起こし、国民に多大な不安を与えた。日本の核施設では、今回に限らずさまざまな事故が続いてきた。高速増殖炉『もんじゅ』の事故で、核燃料サイクルの方針自体がストップしたままである。日本の原子力行政は、推進機構と安全審査機関が一体となっている中で進められてきた面があり、構造疲労をおこしているといわざるを得ない。原子力推進だけに
偏重してきた政策をあらためる時期を迎えている。調布市議会は市民の不安に答えるために以下のことを政府、科学技術庁に求める。

 1、原子力推進に偏重してきた政策をあらため、自然エネルギーの開発や改良、普及のために、いままでより多くの予算を振り分けるべきである。

 2、国民の不安が解消され、核廃棄物の処理なども含めた全般的な核燃料サイクルが確立するまでは、新たな原子力発電の立地を凍結すべきである。とくに余剰プルトニウムを通常の原発で燃やすというプルサーマル計画は、地元自治体の要請で延期が決定された。この機会に世界のプルトニウム利用の趨勢を見ながら、日本だけが突出したプルトニウム利用に走ることはやめるべきである。

 3、政府機関の原子力安全委員会が安全審査を行うような原子力行政をあらため、推進機関から独立した、第三者機関としての安全審査システムを導入すべきである。

                  原 水 爆 禁 止 調 布 市 民 会 議
                      


   3月4日号の「サンデー毎日」を読んでください。東海大地震で予想される浜岡原発の事故による被曝を特集しています。一日でも早く浜岡原発を止めるために、調布原水禁では、調布市議会に以下のような意見書案を提出しました。13対17(社民・ネット・民主、共産、元気派市民の会が賛成、自民、公明、グローバル21が反対)で否決されました。

浜岡原発の安全確保に関する意見書(案)

 三宅島噴火、全島避難のニュースは関係自治体・市民に防災態勢の再確認を迫っているといわなければならない。関連するとみられる伊豆諸島での群発地震は、観測史上最大の規模となった。新島と神津島間の距離が開いたことなどにより、三千年に一度の大変動だといわれている。八月下旬の地震予知連絡会の報告によると、1996年以降、周辺での前兆現象がみられており、今回の大変動とも合わせて東海地震へと発展する可能性について検討していかなければならない事態である。東海地震はいつ起きても不思議ではない段階に達している。
 その東海地震想定震源域の真ん中に、中部電力浜岡原発4基が稼働中である。電力各社は原発の耐震設計について、阪神淡路大震災クラスの地震にも耐えるものであると発表しているが、想定される東海地震の規模を考えると、たいへん危険であるといわざるをえない。入倉孝次郎京都大学防災研究所教授・地震学会会長は、「原発の耐震設計審査指針は1978年に制定されたもので、20年間の地震学および地震工学の研究成果を踏まえた見直しが早急に必要」と提言している。本年7月21日に発生した茨城県沖地震では、福島第一原発6号機で蒸気配管が破断し、手動で緊急停止している。震度6の震動に耐えられるように設計されているはずが、実際には震度4で破断事故に至った。
 原発においては、巨大地震での配管の破断による炉心溶融(メルトダウン)事故や、核燃料棒の揺れによる核暴走事故などの危険性が絶えず指摘されてきた。仮に今回の福島第一原発のように原子炉の停止に成功したとしても、膨大な崩壊熱を発し続けている燃料棒や使用済み核燃料に冷却水を循環させ続けることができなければ、暴走事故を引き起こすことになる。巨大地震による甚大な被害のそのうえに、さらに放射能が襲う『原発震災』という事態となるのである。浜岡原発がこのような事態に至れば、200キロ圏内の首都圏は放射能で汚染され、すべての住民の退避基準圏内に入ることになる。 
 このような現状を踏まえ、調布市議会は地方自治方第  条に基づき、政府および関係省庁(科学技術庁、通産省、原子力委員会、原子力安全委員会)に対して、以下の項目を意見書として提出する。

 1、東海地震の発生に備え、浜岡原子力発電所を停止しておくことを求める。

 1、原発の耐震設計審査指針の早急な見直しを求め、その上での安全審査のやり直しを求める。

                                以上


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 misatoya@jca.apc.org までお願いします。

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