メインタイトル SACO合意に異議あり…中間報告3
琉球新報99年11月26日
サブタイトル 誘導された普天間返還とシュワブ
その4に進む 「軍民共用、十五年期限、移設先の振興」を普天間飛行場の移設条件という
稲嶺知事は、移設候補地をいくつも示してきた。しかし私たちは、研究会を始
めてすぐに「はじめにキャンプシュワブ沖ありき」と確信するようになってい
た。
それは、「情報公開法でとらえた沖縄の米軍基地(梅林宏道)」に引用されて
いるキャンプシュワブについての米軍の一九八七年マスタープランの分析から
である。
マスタープランによると、海兵隊は、辺野古弾薬庫から海上の船への弾薬輸
送の必要性を繰り返し述べている。しかし米軍内部の安全基準で、弾薬庫から
は約300メートル、居住地域からは約270mの範囲は「弾薬吊りあげ輸送」
は禁じられているという。
このような制約によって、キャンプシュワブ区域から船への空輸は完全に閉
ざされている。それで、どのように船への弾薬空輸を実現するか、それが海兵
隊の解決しなければいけない長期的な課題である、と記されているのだ。
念願の弾薬空輸が実現するのであれば、埋立でも、洋上でも、海兵隊にとっ
てはいずれでも良い。ゆえに、アメリカの選択は辺野古しかない、そう考えた
私たちは、クリントン大統領にキャンプシュワブの長期計画などを公開するよ
うに求めているところだ。
新鋭機オスプレイ配備計画
米軍がすでに三〇年も使っている輸送ヘリコプターにかわる新鋭機がオスプ
レイだ。オキナワマリンの一九九七年九月一二日の記事によると、従来のヘリ
コプターに比べ
航続距離五倍、速度二倍、積載量三倍
になり、配備するだけで機能強化される二一世紀型の新型機である。
オスプレイの生産を一九九四年一二月に国防総省は承認しているから、ただ
ちに配備計画の作成に取りかかっているだろう。そう疑って、オスプレイのホ
ームページ
ところで普天間には、輸送ヘリコプターや攻撃ヘリコプター、空中給油機な
どで編成された第三六海兵航空群が常駐している。この第三六航空群を移動さ
せ、再編成して二〇〇六年に三機、翌年二四機のオスプレイを配備する。それ
が先の計画表に明記されている。
オスプレイ配備計画を作成したであろう一九九五〜六年は、県民から基地の
「整理・縮小」要求が強くなった時期と重なっている。しかもSACO最終報
告は九六年一二月だから、この表とSACOでの検討は密接にリンクしている
ことまでは確かなことだ。
公然となったオスプレイの沖縄配備を、今も「聞いていない」と隠し続ける
日本政府。
そこで以下の推理が成り立つ。…海兵隊は、「シュワブ」からの弾薬空輸を
実現し、オスプレイを配備する長期計画に、SACO以前から着手していた。
シュワブ海上に新ヘリ基地を建設する。それが海兵隊にとって最良の答えであ
った。
沖縄人に反対運動をおこさせずに、この新ヘリ基地建設をすすめよう。アメ
リカのかしこい外交、軍事担当者は、基地「整理・縮小」を求めて燃えてい
る沖縄人のエネルギーを利用することに目をつけた。
手はじめに日米両政府の息がかかった人物を通して、「普天間は撤去できる」
可能性を沖縄側にささやいた。それで九六年一月末、沖縄県は普天間返還を第
一期とする「基地返還アクションプログラム」を発表した。
翌二月、橋本元総理とクリントン大統領は、沖縄のプログラムを根拠に
「普天間返還は県民の要求」だ、とすり替えることに成功した…
この推理が見当違いであるならば、小渕総理から公開質問状への回答がある
はずだが…
軍港の浦添移設は三三年も前から計画されていた。はたして普天間はどうで
あろうか。
真喜志好一(SACO合意を究明する県民会議会員) その4に進む