再導入されたオオカミたちは殺されるしかない?!
(1988.Sep.Environmental News Networkより)
イエローストーンとアイダホ州中部に導入されたオオカミ200頭は、昨年12月、米国地方裁判所裁判官ウィリアム・ダウンズにより「除去せよ」と命じられている。オオカミ導入に当初から反対であったアメリカン農場局連合による訴訟の結果である。オオカミは1995年にカナダから導入されたが、導入された地域には、元から住んでいたオオカミもいたことが、1994年には知られており、それにもかかわらず導入が行われたことは、絶滅危惧種令に違反するというのが、ダウンズによる考え方である。農場局連合は、これらオオカミの除去は、オオカミを殺すことを意味しないと主張してきたが、この主張は間違っている旨の声明が、12以上の動物園や野生動物リソース・センタ−などによって発表された。それによると、とらえられたオオカミなどを飼育する場所、彼らを管理するスタッフは今でも充分ではなく、200頭ものオオカミを新たにむかえることは、財政的にも無理であるという。また、かりに財源がみつかったとしても、手当てを待つ動物たちの長大なリストがあり、灰色オオカミたちの手当ては
かなり先のことになる他ないうえ、彼らをカナダに送り返したとしても、多数のものが死ぬことになるに違いないというのが、動物園園長たちの考えである。野生動物を守る会(Defenders
of Wildlife)は、オオカミの除去命令は彼らに対する死刑宣告に他ならないと主張する。動物園園長たちも、守る会とともに、農場局連合が彼らの訴えを取り下げるよう呼びかけている。除去命令に対しては、オオカミを導入した内務省などによる控訴も予期され、現在、命令の実行は見合わされている。野生生物を守る会、全国野生生物連合(The
National Wildlife Federation)他いくつかのグループが、この件について、内務省と同じ側に立ってきていた。