<ポケモン騒動>強い光刺激が被害を広げた実態が明かに
テレビアニメ「ポケットモンスター」問題で、被害者の症状などを調査している厚生省の「光感受性発作に関する臨床研究班」(班長、山内俊雄・埼玉医科大教授)は3日、調査結果を公表した。それによると、脳波に異常がない子供にもけいれんなどの発作が起きていたことが確認された。症状の原因は低輝度で周期的な光刺激の繰り返しだったことも実証され、偶然生み出された強い光刺激が被害を広げた実態があらためて裏付けられた。
研究班は東京、大阪などの4都府県で約1万人の児童、生徒にアンケートを実施。さらに115人の被害者を問診して症状を調べ、うち53人には家族や本人の了解を得て光刺激による脳波検査を行った。
過去の研究では光による発作は光感受性てんかん(PSE)の素因を持つ人が起こすと考えられていた。だが今回の調査結果で、発作を起こした患者には、PSE素因はないが、医学検査で光刺激による脳波の反応だけが現れる(PPR)グループ▽素因も光刺激による脳波の反応もないグループ――の2分類が存在することが分かった。被害者に熱性けいれんなどの発作を経験したことのない子供も多く、既往歴と無関係であることも確認された。
研究班は「脳波に異常がなくとも、強い光刺激が入ると自律神経系の症状や視覚系の症状を起こすことがある。テレビは明るい部屋で1メートル離れて見ることが好ましい」と警告している。
被害の引き金となったのは、番組開始20分後の「赤・赤・赤・青・青」と続く光の点滅。実験で同様の光刺激を健康な成人に見せたところ、大脳を極度に興奮させる効果があった。
テレビ東京は「ポケモン」を今月16日から放映再開することを決めている。