ガザに光を! 現地緊急報告集会 土井敏邦さん報告
益岡賢
2009年3月20日
3月20日(金)、アムネスティ・インターナショナル日本など数団体が主催する「ガザに光を! 現地緊急報告集会に参加してきた。中心は、ジャーナリスト土井敏邦さんの現地映像と報告。
2008年12月27日に始まったイスラエル軍のガザ侵攻で破壊されたガザ地区の映像が映し出される。ちょうど5年前、米軍がファルージャに加えた破壊と虐殺に匹敵する破壊と虐殺。
破壊された学校、UNRWA、使われてからかなり経っているのに燃えつづける白燐弾。
避難場所で暮す被災者たち、サムニ・ファミリー虐殺事件(1)、サムニ・ファミリー虐殺事件(2)、白旗の少女2人射殺・・・・・・。既に土井さんがウェブで公開していた出来事が、改めて映像とともに紹介される。
瓦礫の下で殺された子どもの持ち物だったぬいぐるみには首がなかった。「このぬいぐるみも処刑されたのです」。
そして、めちゃめちゃにされた畑、殺された羊と牛、完全に破壊されたコンクリート工場。イスラエルは、ガザ地区の産業基盤をも破壊した(撤退前の12時間の間に集中的に破壊したという)。
「あまり知られていませんが、産業の破壊はとても重大なことです」と土井さんは語る。
映像とは別に、いくつか基本的で本質的な指摘が土井さんからなされる(以下は土井さんの言葉通りではない)。
「今回の侵攻について、ハマスによるロケット攻撃から語る報道が非常に多いが、根本的な問題はイスラエルによる占領にある。2005年にイスラエル軍はガザから撤退したから占領は終わっているではないか、という人がいるが、軍隊をその地に置いておかなくても周囲を取り囲んで封鎖することは国際法上、占領にあたる」
「メディアは占領とそれがもたらす構造的な問題に言及せず、『暴力の応酬』と、表面の現象だけを報道する。イスラエルによる占領・封鎖がもたらしている食糧不足、医薬品不足、生活の窒息などは映像で表しにくい」(Arisanさんの「『戦闘員』という言葉について、拙文「占領と『テロ』」も参照して下さい)。
「武力・武器・暴力の規模も質もまったく違う(圧倒的に高さの違う棒グラフが示される)。ところがメディアはそれを上から見て(いずれも同じ太さ(大きさ)の四角)、公平な報道を装う」(m_debuggerさんの「ガザで起こっているのは「戦争」じゃない(1)」、「ガザで起こっているのは「戦争」じゃない(2)」も参照してください)。
「(確かに援助は必要だ。)けれどもパレスチナの人々が本当に必要としているのは援助ではなく人間としての尊厳だ」
映像からもお話からも、土井さんの誠実さと優しさが伝わる。そんな人が映し語る「人間の尊厳」には、身体に染み込む力がある。
関連する情報
土井敏邦Web
映画『沈黙を破る』完成披露上映会&土井監督による「ガザ」最新報告
映画『沈黙を破る』東京・ポレポレ東中野にて5月2日より公開
沈黙を破る—元イスラエル軍将兵が語る“占領”(図書)
ファルージャ2004年4月(DVD)
パレスチナ地図(『占領ノート』現代企画室・パレスチナ情報センターより)
ガザ地区の場所
イスラエルによる「占領」(不法併合)