私たちがベネスエラ人だったら・・・

タリク・アリ/ウォルデン・ベロ他
2004年7月27日
CounterPunch原文


もし私たちがベネスエラ人だったら、2004年8月15日、ウーゴ・チャベス大統領に投票するだろう。

このマニフェストに署名した私たちは、ウーゴ・チャベス大統領とともに、自らの将来を自由に決める権利を擁護するベネスエラの大多数の人々の奮闘に連帯を表明したいと思います。

同時に、法の支配とベネスエラ憲法を一貫して尊重してきた大統領を専制君主として描き出そうとする主流メディアの情報操作キャンペーンを批判したいと思います。

1998年12月の民主選挙で、そしてそれ以来行われたすべての選挙で、ウーゴ・チャベスは地滑り的な勝利を収めてきました。選挙キャンペーンの際に行なった約束に従い、チャベスは、何十年にもわたって少数の寡頭制支配下にあったベネスエラで、政治・経済・社会にわたり根本的な改革を進めつつあります。この改革プログラムの結果、彼は、ベネスエラお呼び国際的な企業や金融組織、そしてそれらの利益を守ろうとするメディア組織の標的とされてきました。

ウーゴ・チャベスはベネスエラの大多数を占める貧しい人々を守り、また、大規模な民主的参加プロセスの結果行われた1999年の民衆投票で採択されたベネスエラの新憲法の原則を推進しようと尽力しています。1999年の憲法は異例なまでに進歩的なもので、選挙で選ばれた公職員は誰であれ、任期の半ばで住民投票による審査を受けることが可能としています。この規定の結果、今年2004年8月15日、ウーゴ・チャベスは5年の任期が終了するまでベネスエラ大統領でいるべきかどうかを決める住民投票が行われる予定となっています。

このような憲法規定はラテンアメリカでは唯一のものであり、恐らく世界的に見てもユニークなものです。任期終了前に自分の人気が試されることを受け入れる勇気のある国家元首が世界中でどれだけいるでしょうか?ウーゴ・チャベスはこの勇気を示し、それによって、過去にクーデターや経済的破壊活動、嘘や任務拒否によりベネスエラの立憲秩序を破壊しようとしてきたベネスエラの反対派に民主的なレッスンを与えました。反対派は、これまで無視してきた法的な枠組みに従って振舞う義務を負っています。

8月15日、ベネスエラの人々が、より自由で公平な社会建設を続けることのできる新たな勝利を祝福することは確実だと私たちは考えています。シモン・ボリバルが夢見た国です。

このような理由で、私たちは、改めて次のように宣言します:もし私たちがベネスエラ人だったら、2004年8月15日、ウーゴ・チャベス大統領に投票するでしょう。


Tariq Ali ( Pakistan-Great Britain): Writer
Perry Anderson (Great Britain): Historian
Walden Bello (Filipina): Economist, Awardee, 2003 Right Livelihood Prize
Tony Benn (Great Britain): Politician
Robin Blackburn (Great Britain): Sociologist
Victoria Brittain (Great Britain): Journalist
Atlio Boron (Argentina): Economist
Chico Buarque (Brazil) musician
Jose Bove: ex spokeman of la Confederation Paysanne, member of Via Campesina.
Bernard Cassen: Founder of ATTAC
Luciana Castellina (Italy): Journalist
Manu Chao (Spain-France): Musician
Jean Pierre Chevenement (France): Politician
Alexander Cockburn (Ireland/USA): Journalist
Alex Cox (Great Britain): Film Maker
Celso Furtado (Brazil): Economist
Eduardo Galeano (Uruguay): Writer
George Galloway (Great Britain): Politician
Richard Gott (Great Britain): Historian
Eric Hobsbawm (Great Britain): Historian
Mike Hodges (Great Britain): Film maker
Francois Houtart (Belgium): Centre Tricontinentale
Saul Landau, (USA), author, film Maker
Ken Livingstone (Great Britain): Mayor of London
Naomi Klein (Canada): Journalist
Ken Loach, Film Director
Fernando Morais (Brazil) : Writer
Sami Nair (France) : Sociologist
Oscar Niemeyer (Brazil): Architect
Adolfo Perez Esquivel (Argentina): Nobel Peace Prize
James Petras (USA): Sociologist
John Pilger (Australia): Journalist
Harold Pinter (Great Britain): Playwright
Ignacio Ramonet (France): Writer
Emir Sader (Brazil): Sociologist
Jeffrey St. Clair (USA): Journalist
Joao Pedro Stedile (Brazil): Landless Peasant Leader
Rudy Wurlizer (USA): script writer


2004年8月半ばに予定されているベネスエラ国民投票をめぐる国際的な有志の声明です。ロンドン市長のケン・リヴィングストンとか、ウルグアイの社会学者エデュアルド・ガレアノ、ル・モンド・ディプロマティークのイグナシオ・ラモネ何かも署名している、不思議なもの。

随分前からベネスエラ状況について紹介したいと思っていたのですが、なかなか日本では背景情報が少ないため、難しく、自分で背景までカバーするのもきつかったので放置していました。チャベス大統領に対しては、2002年4月にクーデター未遂事件が起きています。米国民主主義基金など、お馴染みの組織が、クーデターを起こしたグループに支援を行なっていました。この経緯については、こちらをご覧下さい(ぜひ)。

7月27日付APの記事には、5月にチャベス暗殺未遂容疑でベネスエラの首都近くで逮捕されたコロンビア準軍組織兵士たち約100人は、ベネスエラ移民局の職員筋の手引きで越境入国カラカスに向かったとありました。コロンビア準軍組織が関与しているとすると、密接にコロンビア軍そしてコロンビア軍を大規模に支援している米国と、再びつながってきます。何としてもチャベスを葬り去りたい人々がいるようです。

サンディニスタ政権下のニカラグアでは、1984年に国際的な監視のもとで選挙が行われ、サンディニスタが勝利しましたが、米国はその選挙結果を認めず、テロ攻撃を強化しました。8月に予定されているベネスエラの国民投票では、普通に考えるとチャベス信任票が多数を占めると予想されますが、その前にどのような不安定化工作が行われるか、また、チャベス信任という結果が出たときに米国政府や主流メディアがどう振舞うかが注目されます。とりわけ、正当な選挙で選ばれたのではない米国大統領ジョージ・W・ブッシュ氏が「ベネスエラの国民投票が公平に行われることを望む」と声明を発しており、同時に、歴史的な経緯から、米国大統領が言う「公平」は、米国政府の方針にしたがった結果が出るようなプロセスを指すことが示されている状況では。

憲法を無視して政治を行なっている日本の状況に照らしても、ベネスエラの動向は気になります。しばらく前ですが、東京新聞にこんな記事がありました。
益岡賢 2004年7月30日

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