子どもを撃つこと(2)
非人間化キャンペーン

子供を殺すことさえもはや大したことではなくなっている
ギデオン・レーヴィ
ハアレツ紙(ZNet原文) 2004年10月19日


ガザ地区で遂行された「懺悔の日々」作戦の最初の2週間で、30人以上のパレスチナ人の子供が殺された。多くの人々が、こうした子供たちの大規模殺害を「テロ」と呼ぶのは不思議ではない。インティファーダの犠牲者の全体では、イスラエル人一人に対してパレスチナ人3人が殺されているが、子供の比率では、イスラエル人の子供一人に対しパレスチナ人の子供5人が殺されている。人権組織ベツェレムによると、ガザにおける現在の作戦以前でさえ、557人のパレスチナ人未成年(18歳以下)が殺された。一方殺されたイスラエル人未成年は110人である。

パレスチナの人権団体は、犠牲者の数はさらに多いと述べている。パレスチナ人権監視グループによると殺されたパレスチナ人(17歳以下)は598人であり、赤新月社によると828人(18歳以下)である。年齢についても注意しよう。約1カ月前まで更新されていたベツェレムのデータによると、殺された子供たちのうち42人は10歳であり、20人は7歳であり、8人は殺されたとき2歳であった。最も幼い犠牲者は、チェックポイントで出産のときに死んだ13人の新生児である。

この恐ろしい数字を前にするならば、誰が一体テロリストなのか、という疑問を、全てのイスラエル人がはるか前から重く受け止めていてしかるべきである。けれども、それは公共の場には現れない。子供殺しは常にパレスチナ人であるとされ、イスラエル兵はただ我々と兵士自身を守っているだけであり、数字などどうでも良い、というわけである。

はっきりと言わなくてはならないが、我々の手は、パレスチナ人の子供数百人の血にまみれている。これが明白な事実である。イスラエル国防軍(IDF)広報局とか軍事特派員が、子供たちがイスラエル軍兵士に与える危険について述べても、イスラエル外務省の広報関係者がパレスチナ人は子供を利用しているという怪しげないいわけをしても、この事実は変わらない。かくも沢山の子供を殺す軍は、何の自制もない、道徳規準を失った軍である。

イスラエル国会(クネセト)におけるとても感動的な演説の中でアフメド・ディビ(ハダシュ)が行ったように、これらの子供たち全員が誤って殺されたと主張することはもはや不可能である。日々合計500もの識別ミスを軍が犯すことはない。これは誤りではなく、主として易々と銃の引き金を引く指そしてパレスチナ人の非人間化によってもたらされる政策の破滅的な結果である。動くもの全てを----子供を含め----撃つこと、これが当たり前の行動となっている。13歳の少女イマン・アルハマス「殺害の確認」をめぐり起きた小さな憤怒も真に提起される質問の的を射ていない。殺害後の出来事ではなく、殺害行為そのものがスキャンダルであるべきである。

イマンだけではない。ムハマド・アライはサンドイッチを自宅前で食べていた。ナブルスの、バラタ難民キャンプの墓地の前にある最後の家だった。イスラエル軍兵士がかなしの至近距離から彼を射殺したのは、このときである。殺されたとき、彼は6歳だった。クリステン・サーダは両親の車に乗って家族訪問から帰る途中だった。イスラエル軍兵士はこの車に向けて銃を乱射したのである。殺されたとき、彼女は12歳だった。ジャミル・アブ・アジズとアフメド・アブ・アジズの兄弟は昼の日中、自転車に乗っていた。お菓子を買いに行くところだった。彼らが、イスラエルの戦車兵が発射した砲弾の直撃を受けたのは、そのときである。殺されたときジャミルは13歳、アフメドは6歳だった。

ムアテズ・アムディとスバー・スバーは、ブルキン村の広場に立っていたイスラエル兵士が投石のあとあらゆる方向に向けて発砲したために殺された。ハンユニス難民キャンプのラディル・ムハマドは、学校の教室にいた。イスラエル軍兵士は、教室にいた彼女を射殺した。殺されたとき彼女は12歳だった。殺されたこれらの子供たちの誰一人として何か悪さをしたわけではない。それを、我らの名のもとに行動しているイスラエル軍兵士が殺したのである。

これらのうち少なくともいくつかの事例では、イスラエル軍兵士たちにとって、子供たちを撃っていることははっきりしていた。兵士たちはそれでも止めなかったのである。パレスチナの子供たちには安全な場所などどこにもない。自宅でも、学校でも、道でも、致命的な危険が待ち伏せしている。殺された数百人の子供たちの誰一人として殺されて当然などではなかった。そしてこれら子供たちを殺した人々の名前はわかっている。それゆえ、兵士たちへのメッセージは次のようなものになる:子供たちを殺すのは悲劇ではなく、兵士は誰一人有罪ではない。

むろん、パレスチナの子供が直面する最も大きな危険は死であるが、それが唯一の危険だというわけではない。パレスチナ教育省のデータによると、インテイファーダで3409人の学校生とが怪我をした。中には一生後遺症を引きずる子供たちもいる。何万人ものパレスチナ若者たちは、子供時代をトラウマからトラウマへ、恐怖から恐怖へと暮らしている。家を破壊され、両親は目の前で侮辱され、兵士たちが夜中に乱暴に家に押し入り、戦車が学校の教室に砲撃を加える。そして心理ケアを受けることもできない。「不安の犠牲」となっているパレスチナ人の子供について耳にしたことなどがあるだろうか?

休む間もない苦痛の行進に対する無関心により、イスラエル人全てが犯罪の共犯者となっている。子供がどうなるか心配することがどういうことかわかっている親たちでさえ、フェンスの向こう側で親が抱いている心配からは顔を背け、それを聞きたがらないのだ。イスラエル兵が何百人もの子供たちを殺しながら、イスラエル人の大多数が沈黙したままであるなどと誰が考えたろう?パレスチナ人は、子供さえもが非人間化の対象とされた。パレスチナ人の子供を何百人殺そうと、もはや大したことではなくなったのである。


子どもを標的にすることが日常化しています。中米では、米国SOAに訓練を受けた軍や準軍組織(「死の部隊」)が子どもを「放っておけばゲリラになる」と称して親の前で虐殺したり、妊婦を殺して胎児を取り出したりといったことをしていました。

イラクでの米軍による子ども殺しについては、ファルージャのテロリストたちをご覧下さい。なお、アブグレイブの拷問に関するパンフレットが出たようです。

日本でも、別のかたちで子どもが標的になっています。現在最も大きなものは、教育基本法の改悪への動き。これについては、意見広告の呼びかけと集会の案内がありましたので、以下、長いですが紹介します:

「教育基本法改悪反対」意見広告掲載のための緊急要請
全国の小さな流れを結集して、大きなうねりに

私たち「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は、さまざまな立場の人が、北海道から沖縄まで、教育基本法改悪阻止の1点で大きく大きくつながっているネットワークです。

昨年12月23日日比谷公会堂での全国集会は、人も熱気も本当に会場から溢れてしまうほどの大成功でしたが、その後も活動を続けてきました。そして、この秋最大の山場として、11月6日に日比谷野外音楽堂での全国集会を予定しています。

このたび私たちは、緊急のことですが、「11月6日までに全国紙に意見広告を打とう!」という重大決定をしました。教育基本法改悪は、全国のみなさん一人ひとりに関係する重大な問題なのだ、ということを打ち出したいというのがその主旨です。

今回の「改正」は、ある議員が「お国のために命を投げ出す人間をつくる」とまで言ったように、一部のエリートを指導者層として育て、他の多くの人々をお国のための歯車にしようというものであることは明らかです。そして、その先には戦争が待っています。

情勢は緊迫しています。来年の通常国会に上程されれば、今の議員構成からして、「改正」法案が可決・成立する危険性が大と言わざるをえないでしょう。国会への上程を阻止し、改憲をくい止めるためにも、「動くなら今!」なのです。このような私たちの意を汲まれ、この意見広告運動に参加をしていただけますよう、心からお願いするものです。

なお、この意見広告は、教育基本法改悪反対・「多彩な意見広告」の会と共同し、今後も継続して行っていく予定です。

【掲載時期】
2004年10月30日(予定)
【掲載紙】
朝日新聞全5段(1/3ページ)
【目標金額】
1000万円 …掲載費800万、諸経費200万(デザイン料・印刷費・郵送料など)
【振込先】
1.三井住友銀行 高幡不動支店(タカハタフドウシテン) 
普通1477174
加入者名 全国連絡会意見広告(ゼンコクレンラクカイイケンコウコク)
2.郵便振替 00190−5−389679
加入者名:全国連絡会意見広告
【賛同金】
1口1,000円 
(できるだけ3口以上をお願いしたいのですが、それ以下でもいくらでも歓迎です)

【広告概要】
教育基本法の存在と、改悪の意図、改悪に反対する全国運動が おこっていることについて、簡潔に伝える意図でつくります。まだ案の段階であり、正式な決定ではありませんが、文章は以下のようなものです。

※なお、今回の意見広告には、紙面の都合上、賛同していただいた皆さんのお名前を載せることができませんが、意見広告は今後も 継続しておこない、呼びかけ人として賛同してくださる方もあらためて 募ることを考えています。

<小見出し>
世の中が悪いのを、子どもや若者のせいにしていませんか?学校や教育の問題を、「教育基本法」のせいにしていませんか?

<大見出し>
教育基本法を変えて(小さく)「お国のために命を投げ出す」子どもをつくりたいですか?
<本文>
今、教育基本法を変えようという動きが急ピッチで進められています

その理由を、ある国会議員が「国のために死ねる日本人をつくるため」だと明言しました

また「できんもんはできんままで結構、 限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいい」と発言する前教育課程審議会会長もいます

これこそが、教育基本法を変えようという人たちの本当の理由、「愛国心」だって個人の心の問題であり、 国家から一方的に強制される問題ではありません。

教育が私たちのものではなく完全に国家のものになってしまいます

つまり、政府が教育のしくみを都合のいいようにコントロールできるということです

私たちが次の世代にどんな未来を手渡したいのか、もう一度考えてみませんか。

<本文下に>
教育基本法の改悪を止めよう!11・6全国集会

2004年11月6日(土)
場所/東京・日比谷野外音楽堂
開場 12時半 開演 13時半 参加費/無料
出演者/ソウルフラワーモノノケサミット、
ザ・ニュースペーパー、各地からの報告 ほか
集会後、この趣旨をひろくアピールするためにパレードを行います

【意見広告呼びかけ人】
石坂啓(漫画家)、梅原猛(哲学者)、大内裕和(松山大学)大田尭(教育学者)、小山内美江子(シナリオライター)、落合恵子(作家)、川田龍平(人権アクティビストの会)、姜尚中(東京大学)、小森陽一(東京大学)、高橋哲哉(東京大学)、竹下景子(女優)、辻井喬(作家)、暉峻淑子(埼玉大学)、灰谷健次郎(作家)、三宅晶子(千葉大学)、山田洋次(映画監督)

【問合せ】
〒113−0033 東京都文京区本郷1−19−6 坪井法律事務所内
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
TEL  090−3914−7114(意見広告専用)
FAX 03−3812−5510
メール info(atmark)kyokiren.net
※なお、全国連絡会や広告の詳しいレイアウト案については、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会HPをご覧下さい。

http://www.kyokiren.net

2004年10月25日

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