パレスチナ:ラファの危機

エリザベス・W・コリー
2004年5月19日
CounterPunch原文


眠れなかったので、これを書くことにしました。先週から、私のeメールボックスはラファの人々からの、絶望的に助けを求めるeメールで溢れています。エジプトとの国境に位置するパレスチナの村、ラファからの。先週から、イスラエル軍はラファの人々に激しい攻撃を容赦なく加え、100軒以上の家を破壊し、少なくとも1000人の市民をホームレスに追いやっています。自宅の壁や屋根が為すすべもなく米国製キャタピラ社ブルドーザD−9やD−10---米国政府がイスラエル軍に提供したものです---で押し潰されているシーンを近くに立って呆然と見ている人々のイメージが、私を眠れなくしたのです。

こうしたシーンを考えれば、良識的な人は誰もが眠れなくなることでしょう。けれども、私の場合、眠れなくなったのは、従姉妹のレイチェル・コリーがこの攻撃を見ていたら感じたであろう恐怖についてどうしても考えてしまったからです。レイチェルはラファで活動していました。彼女が、今回の攻撃で殺されたり怪我をしたりホームレスにされたりした人々の何人かを知っていたことは確実です。レイチェルはラファで死にました。彼女自身が、ブルドーザのブレードに押し潰されたのです。運転手は家を破壊しようと固く決意していたので、そのために人命も破壊したのです。

私がキャタピラ社製のブルドーザがレイチェルを殺すために使われたことを特に指摘すると、しばしば、レイチェルの死そして沢山のパレスチナ人が死に家を失ったことにキャタピラ社が何らかの責任があると示唆することは妥当かどうか聞かれます。法的に、それを立証することは難しいことは認めます。けれども、道徳的には責任があると思います。そして、私が呼びかけているのは、キャタピラ社を運営し、そこで働きまたそこに投資する人々の良心に対してなのです。

たとえレイチェルの死が---あまり報じられていないのですが---キャタピラ社製品の不適切な使用をはっきり示してはいないとしても、現在ラファでイスラエル軍が行なっている攻撃は、この点をここアメリカ合州国に知らしめたに違いありません。いつもはイスラエルの政策を疑問なしに支持するブッシュ政権の一部スタッフでさえ、憂慮を表明したのです。イスラエル軍はキャタピラ社製ブルドーザを入手してそれに武器を備え付け、国際法に違反してパレスチナ人に集団懲罰を加えるためにそれを使っているのです。さらに、イスラエル軍はキャタピラ社自身が公表している社会責任に違反してそうしています。キャタピラ社が公表している文書には、「経営的成功は同時に社会的・経済的・政治的および官許有情の重要事項を考慮しなくてはならない」と述べています。「誠意の評判」を保証するための「高度な倫理基準」に導かれた政策だとのことです。

キャタピラ社は、イスラエルが同社の建築向けブルドーザを破壊の武器に用いていることに法的な責任を負うでしょうか? 恐らくはノーでしょう。一方、自社の価値体系にしたがって、自社が維持すると同じ基準を顧客が維持するよう責任を追及することで「誠意の評判」を維持し、自社の製品がどのように使われているか調べる道徳的責任を負うでしょうか? イエスです。キャタピラ社は、先月の株主会で提起された、イスラエルが同社の製品をどう使っているかを調査すべきという要求を真剣に考えるべきであり、そして、現在報じられていることから明らかなようにキャタピラ社の製品が実際には道具ではなく武器であることが議論の余地なくはっきりしたときには、同社はイスラエルが国際法とキャタピラ社の社会責任ポリシーに従うまでイスラエルへの同社製品の販売を停止すべきです。キャタピラ社は、それがビジネスとして良い振舞いだからというのではなく---そしてキャタピラ社が戦争犯罪との関係から足を洗うことはたしかに良いビジネスの振舞いではありますが---それが正しいことだからそうすべきです。

キャタピラ社は自ら公言する社会的責任を果たす機会を手にしています。誠意と勇気、共感を示すチャンスなのです。私たちはキャタピラ社がそうするよう支援し、それにより私たち自身の誠意と勇気、共感を示す必要があります。そして、今すぐそうすべきです。ラファの人々は待っているのですから。

エリザベス・コリー:宗教学の博士号を有する。ラファでイスラエル軍のブルドーザに轢き殺されたレイチェル・コリーの従姉妹。メールはcorrie@counterpunch.org。


イスラエルは「虹作戦」と称する大規模な軍事攻撃をガザに加え、パレスチナ人を虐殺し、家を破壊しています。ラファの難民キャンプに対するこの攻撃では、ラファを孤立させ、電気供給を絶って、家々を破壊し、さらに数十人の人を殺しました。[補足:ラファは人口15万人の町で、町全体が封鎖されている様子とのこと。小樽の規模の町が封鎖され攻撃されていることを想定すべきとの情報がありました。]また、平和的なデモ参加者にミサイルを発射し、少なくとも10人を殺しています。これは、ガザの占領を行なっていたイスラエル軍兵士13人が殺されたことへの「報復」と称して進められています。

ファルージャで米軍が行なってきたこととガザでイスラエル軍が行なっていることは、構造的に極めて似通っています。ちょっと考えただけでも:
  • 米国はイラクを、イスラエルはパレスチナの領土を、不法に占領している。米軍もイスラエル軍も占領軍であること。
  • いずれも大規模な暴力でイラク/パレスチナの人々にテロ攻撃を加えながら、それに対する抵抗を「テロ」と呼び、自らの不法侵略/占領とそのもとでの人権侵害や虐殺を「テロに対する防衛」を呼んでいること。
  • ファルージャもラファも、取り囲まれ、封鎖されていること。
  • 電力供給の切断や家屋の破壊など、民間人への「集団的懲罰」を意図した戦争犯罪行為が行われていること。
などの類似点があることがわかります。

現在ラファで進められている破壊と虐殺についてのさらなる詳細は、ナブルス通信の記事をご覧下さい。そして、色々な方面に声を挙げて下さい。また、P-navi infoを継続的にチェックして下さい。

抗議先、要望先:ファックスのほうが有効です(一通70円位)が、難しい場合はメールでも。

シャロン首相(イスラエル)
Prime Minister Ariel Sharon
Fax:(+972-2) 5664838
Email:webmaster@pmo.gov.il, dover@pmo.gov.il, pm_eng@pmo.gov.il

モファズ国防相(イスラエル)
Defence Minister Shaul Mofaz
Fax:(+972-3) 697-6218
Email:sar@mod.gov.il

これ以外については以下に。
http://palestine-heiwa.org/misc/kougi.html
また、ナブルス通信にある送付先情報もチェックして下さい。


抗議文、要請文のサンプル

Don't kill the Palestinians. Don't attack the Gaza Strip. Stop destroying houses in Rafa. End the occupation.

というようなシンプルなものでもいいと思います。大事なのは、見ている人がいるということを示すこと、そしてできるだけ多くの人が抗議を行うことです。from Japanというように発信地名をつけてもいいかもしれません。

もう少し長いものとして、以下に手紙例を付けておきます。

Dear 宛先,

I protest strongly against the massive attack on and the killing of Palestinians in Rafah and Gaza city by the Israeli army under your direction.

The Israeli army has continuously made air raids on the Gaza Strip in order to assassinate Palestinian leaders. Because of the raids, many civilians have been killed and injured. This is a clear crime against humanity.

The Israeli army is currently destroying houses in Rafa in a massive scale. This is a collective punishment prohibited by the Geneva Convention. A UN spokesperson described the current situation in Rafa as "a humanitarian catastrophe".

I urge you to stop attacking Palestinians and destroying houses in Rafa, and respect international law.

The Israeli army must immediately withdraw from occupied Palestinian territory.

Sincerely
[あなたの名前]

もう一つ、Jewish Voices of Peaceからもらった手紙例:

Dear 宛先,

I call upon you to immediately act to stop the demolition of dozens of Palestinian homes going on at this moment in Rafah in the Gaza Strip.

The order given to the Israel Defense Forces to destroy hundreds of houses is an order by the government of Israel to commit a war crime. This crime is being committed with American-made bulldozers, with equipment paid for by American tax dollars. I refuse to allow my tax dollars to be used to create hundreds of homeless Palestinian families.

Peace and quiet can only be achieved by the withdrawal of occupation forces. When the Gaza Strip, like the other parts of the occupied territories, is freed from Israeli occupation, it must have free access to the outside world. A humanitarian catstrophe could result otherwise.

I am demanding that my leaders, and all American and Israeli leaders, act immediately to stop this heinous example of collective punishment.

Sincerely,
[あなたの名前]
2004年5月20日 

トップ・ページ