エボ・モラレス
ラフール・マハジャン
2005年12月26日
EmpireNotes原文470年。とても長い時間、待ってきた。ピサロがインカ帝国を征服して以来、虐殺とジェノサイド、奴隷化、革命と反革命、そして驚くべき188回にのぼるクーデター----その一つにおいてアメリカ合州国はナチスのクラウス・バルビーと協力し、世界史上おそらくは唯一であろう麻薬商人による政府の擁立を助けた----を通して、ボリビアには先住民の国家君主は一人もあらわれなかった。
今日までは。2006年1月22日、エボ・モラレスがボリビア大統領に就任することになっている。選挙で、54%というかつてない大量の票を得て(ボリビアの人口のうち、55%から60%が先住民である)。
モラレスは、これまでと同じような大統領としてではなく、大規模でよく組織化され戦闘的な先住民運動のもっとも著名な指導者として大統領に就任する。この運動に参加している人々は、ようやく、自分たちに陽のあたるときが来たのだとはっきり考えている。彼らは、少なくとも今のところ、白人の経済エリートたちの言い訳や、既存の契約は尊重すべきだという多国籍企業の主張や、アメリカ合州国の苦情を受け入れようとはしていない。
モラレスをばらばらにしようとする巨大な圧力のもとに置かれたとき、彼がどちらの方向に行くかが大きなポイントである----ルラの道を行き、必要以上に圧力に迎合して自分を選出してくれたまさにその人々をときに弾圧しさえするのか、チャベスの道を行き、驚くべきバランスを保ちながら、状況を前進させ続けようとするのか。
最良のシナリオにおいてさえ、モラレスはバランスをとるために膨大な困難に直面するだろう。ベネズエラ----オイル・マネーで国内と西半球全体における大規模な社会プログラムに資金を提供している----とは違い、ボリビアは南米で最も貧しい国であり、一人あたり収入は年間960ドル、多数派を占める先住民の多くが1日1ドル以下で暮らしている。政治的な力はますます先住民の方に流れている----モラレスの「社会主義へ向かう運動」党は国会議員選挙で約半数の議席を獲得すると予想されており、その力は、戦闘的な行動のために路上に繰り出す錫鉱山労働者と小規模コカ農家により支えられている----が、経済的な力は、ほとんどまったく先住民の手にはない。
アメリカ合州国は、モラレスに経済的な圧力をかけるだろう。その一部は、コカ根絶プログラムに費やしている年間1億5000万ドルを通して、また一部は、「ミレニアム・チャレンジ・アカウント」を通して今後5年間になされるかも知れない5億9000万ドルの計画を通して。
モラレスが、5月に通過した、天然ガスの採掘権料を32%から50%に引き上げるという法律を実施しようとしても、いくつかの多国籍企業----英国とフランス、スペインの企業に加えてブラジル国営のペトロブラス----が大きな問題を引き起こす可能性は高い。新しい運動の最低限の要求となった国有化により、問題が大幅に悪化し、さまざまな国際的非難を引き起こす可能性があり、ほぼ確実に海外からの投資が途絶えることになるだろう。
モラレスは、困難な国際状況の中で舵を取り、彼を選出した選挙グループの団結を保つために、改革を緩和するよう余儀なくされるだろう。同時に、ボリビア農場労働者連合組合のような大衆組織は、モラレスに改革をさらに進めるよう求めるだろう。モラレスがすべてについて誤り、短期的な経済危機を引き起こすまでは改革を進めながら、この革命的運動の団結を保ち続けるまでには改革を進めないという可能性さえある。
現代において革命を実現しながら、国内の平和を保ち、民主主義を維持し、国際資本の制裁を生き延びることは、きわめて難しい。
これまでのところ、モラレスの態度をはっきり読みとることは困難である。大統領に選ばれた直後にアルジャジーラが行ったインタビューで、彼は対イラク戦争を「国家テロ」と呼び、ブッシュ大統領をテロリストと呼んだ。彼は何度か、海外企業との間にある現在のガス契約は非合法であり無効であると述べた。同時に、彼はそれらの企業の所有権を没収することはしないとも約束している。チャベス同様、彼も、より大きな変革を実現するために、確固とした権力基盤をつくるには時間が必要となるだろう。
彼がそのために時間をとることができ、前進し続けることは、世界にとって大きな関心事である。ボリビアにはベネズエラのような世界的レバレッジはないが、チャベスに加えてまた一人国家元首が声をあげ、米国の帝国主義を終わらせるよう求め、民主的社会主義へ向けた運動を呼びかけることは、計り知れないほど重要である。
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2006年1月3日付朝日新聞トップ記事は、「公立の小中学校で文房具代や給食費、修学旅行費などの援助を受ける児童・生徒の数が04年度までの4年間に4割近くも増え、受給率が4割を超える自治体もあることが朝日新聞の調べで分かった。東京や大阪では4人に一人、全国平均でも1割強に上る。経済的な理由で子どもの学習環境が整いにくい家庭が増え、地域的な偏りも目立った」というものでした。東京都足立区では40%を越えるとも。心情的ではない社会的連帯の必要性を感じつつ、心情的におたおたしています。
■パレスチナ−イスラエルを辿る問題のロードムービー上映会
京都 2006年1月28日(土) ひと・まち交流館 京都
大阪 2006年1月29日(日) 阿倍野区民センター
『ルート181:パレスチナ−イスラエル 旅の断章』
(Route181 : Fragments of a Journey in Palestine-Israel)
監督:ミシェル・クレイフィ、エイアル・シヴァン
(2003年/270分/アラビア語、ヘブライ語/ビデオ)
日本語・英語両字幕 English Subtitles
詳細は、ルート181:関西上映 京都・大阪をご覧下さい。
■チェチェン関係絶対お勧めビデオ
チェチェン難民の母と息子が制作した2作品、『春になったら』と『子どもの物語にあらず』、絶対お勧めのビデオ2点が、オンラインで買えるようになりました。
ご注文は、通販あれこれ「チェチェン難民の母と息子が制作した2作品へどうぞ。DVDとVHSいずれもあります。
■日本ビジュアル・ジャーナリスト協会報告会
日時:2006年1月13日(金)18:30〜
場所:文京シビックホール・小ホール
入場料:1000円
詳しくは:http://www.jvja.net/2006.1.13.html
■【クルド学叢書】新刊
『レイラ・ザーナ ――クルド人女性国会議員の闘い』
新泉社新刊(2005年12月発売)
中川喜与志、大倉幸宏、武田歩/編
(ファイサル・ダール、イスマイル・ベシクチ/寄稿)
A5判並製・368頁・定価2800円+税 ISBN4-7877-0500-8C1036
発行:新泉社
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■サンドラ母子を支える会
ぜんぜんフォローできていませんが、サンドラ母子を支える会HPおよびサンドラ母子を支える会ブログがあります。
なお、今年、いくつか大きな仕事が入っているため、更新のペースがすこし落ちるかも知れません。ゆっくりやっていきます。