ラマディ:ファルージャの再来

ラマディ:ファルージャの再来
ダール・ジャマイル
2006年6月15日
ZNet原文

米軍がラマディで進める戦争犯罪について、2004年4月ファルージャ入りし米軍による虐殺を報じたダール・ジャマイルが語る。Falluja, April 2004との同時掲載です。

米軍が数カ月にわたってラマディを攻撃し、水や電力、医薬品の供給を絶ったり、外出禁止令を課したり、スナイパーによる攻撃や無差別空襲を加えている中、恐れおののいた住民たちはラマディから大挙して逃げ出している。今回、ラマディにいるイラク人には、最悪のことを恐れて当然である。近くの都市ファルージャに加えられたのと似通った、都市への全面攻撃である。

米軍が、アンバル州の州都ラマディの破壊を開始するのはこれまでも時間の問題と見なされてきた。結局のところ、ラマディはファルージャから遠くなく、また、部族としても、占領を嫌う点でも、ファルージャととても似ていたので、ラマディの人々はファルージャを「ラマディ」と呼ぶほどである。米国が2度にわたりファルージャを攻撃した際、親戚や友人を失ったというラマディの住人を私はたくさん知っている。そしてラマディでは米国に反対する気分はこれまでずっと高かった。

これまでに、私たちの誰もが、イラクの米軍が一つの都市全体を攻撃すると決めたときに起きる光景を知っている・・・・・・その標準的な作戦手続きが何かしら繰り返されるのを、私たちは、ハディタで、アルカーイムで、サマラで、バグダードの一部で、バラドで、ナジャフで、ファルージャでは二度・・・・・・見てきた。町は数週間あるいは数カ月にわたって封鎖され、水と電力の供給が遮断され、医療援助も遮断され、外出禁止令が出され、移動は阻害され、空襲が加えられ、それから本当の攻撃が始まる。ラマディでは、今や本当の攻撃が始まった。

戦闘機が空を駆けめぐって爆撃が増加し、町へ向けた拡声器は「激しい攻撃が差し迫っている」(すでに始まっているのだが)と住民に警告し、ちょうどファルージャで二度にわたる攻撃が行われたときと同様、何千という家族が自宅に閉じ込められたままになっている。ラマディでも、町に残った人々は、あるいは貧しくて、あるいは交通手段がなくて、あるいは唯一残った家を守りたくて、町を去ることができなかった人々である。

アンバル州の元州知事シャイフ・ファサール・ガウードは、ラマディの状況について、「状況は破滅的です。サービスも電気も水もありません」と話している。彼はまた、「アメリカ人とイラク人の司令官たちが、今やすぐにでも広範な攻撃を行うことに決めたことを私たちはたしかに知っていますが、彼らは私たちに相談すべきだったのです」。

今日、最近ラマディを訪れたファルージャ住人の男性が、私に、次のように語った。「イラクでは新政権はすべて、発足時に虐殺する。これは、とりわけスンニ派の地域で、私たちイラク人が支払わなくてはならない代価のようです。ラマディでは、約2カ月にわたって、水も電気も電話もすべてのサービスも遮断されています。米軍とイラク政府軍は、あからさまに、ラマディの人々に対し、テロリストを手渡さない限りサービスが再開されることはないと行っています!! 作戦は先週始まりましたが、海兵隊は、ファルージャよりもかなり大きなラマディの都市部で多少の問題に直面しているようです(ラマディはまた、住民の数でもファルージャより少なくとも5万人は多い)。スナイパーや米軍の装甲車に乗った兵士が民間人を殺すのはほとんど毎日の出来事になっています。2004年のファルージャ攻撃と比べてさえ、現在のラマディの住民の状況をさらに難しくしている問題は、バグダードに逃げることができないことです。バグダードでは、政府系民兵に暗殺されることになるからです。それにもかかわらず、米軍は、人々に、町を明け渡すよう言っています。その一方で、政府と米軍は、民兵を投入してラマディに対する広範な攻撃に参加させると明言しています。いつも通り、国連も世界全体も沈黙しており、ラマディで起きていることを誰一人気にしていません」。

こうして舞台は整えられ、イラク人はラマディで、さらにまた一つの膨大な民間人の犠牲者に自分たちだけで直面しなくてはならない。これが行われているさなか、国防省が発表した最近のニュースでは、イラクに駐留する米軍兵士により愛する人を殺されたイラク人家族に対し、イラク駐留米軍が1900万ドルの賠償金を支払ったという。平均支払額は一人の遺体あたり2500ドルで、1900万ドルの半分近くがアンバル州での支払いにあてられている。イラクでの暴力が激増していることを反映して、2005年の補償金総額は、その前年の4倍近くになっている。

最近イラクとりわけラマディに派遣された1500人の米軍兵士について、すべてとは言わずともほとんどの企業メディアが何も報じていないという事実は、ラマディの住民にとっては驚くことではない。いずれにせよ、米軍とレジスタンス戦士たちの市街戦は、これまで数カ月にわたって続いてきたのだから。

ラマディに関するメディア報道管制は、すでに、2004年のファルージャ包囲攻撃の際に米軍が使った過酷な手段についての報道管制以上とは言わないまでも、それに近いものになっている。これまで、軍は、軍属記者でさえ、ラマディの米軍に随行させることを嫌がっていた。イラクの都市に対する米軍の攻撃が一つ増える毎に、メディア管制はますます闇に近づいており、ラマディでのメディア管制はこれまでで最も暗いものである。

ときおり得られる包囲された都市内部からの報告を除けば、私たちが耳にする情報のほとんどは、バグダードの米軍報道官トッド・ブリーシール少佐が語るプロパガンダである。彼は、クウェートから新たに到着した1500人の米兵がラマディ周辺の配置についたという動きだけを語っている。「この部隊を動かしたことで、部族の指導者と政府関係者は、自分たちの町を犯罪分子から奪回するという困難な仕事をできるようになるだろう」。

ファルージャのときと同様、何千人もの恐怖にかられたラマディ住民が町を逃げ出そうとし、バグダードに入ろうとして追い払われている。軍はテントも食料もいかなる援助も彼らには提供せず----これは戦争犯罪である----、これらの人々は自分たちの持ち物だけを抱えて、どこにも行けずにいる。これらの難民たちが、イラクで家を追われた10万という恐ろしい数の家族にさらに加えられる。こうした人々の大部分は、町全体を居住不可能にしがちな米軍の軍事作戦により、避難民とさせられた人々である。

ラマディ内部の情報源からの報告によると、この数週間、米軍兵士たちは、屋上に狙撃場所を確保するために人々の住宅に入り込んで暮らしており、罪のない人々が毎日撃たれ、人々は、どこにも行き場がないまでも町を逃れるか、殺される覚悟で町に残る危険を犯すかの混乱状態にあるという。

イラク議会の評議会議員ハッサン・ザイダン・ラハイビは、最近、記者団に対し、「この事態が続けば、人道的危機になるだろう。人々は殺され、負傷しており、残りの人々は、行くあてもなく移動している」と述べた。

彼はこのことばで、イラクの他の場所についても同様に述べることができただろう。他のところでも、ますます残忍になる占領と米軍の後押しを受けた殺人部隊、セクトの民兵、信じがたいほどの失業と破壊されたインフラの下で、人々は生き延びるために奮闘しているのだから。


米国国防省に抗議の声を届けるには、http://www.defenselink.mil/faq/comment.htmlにアクセスし、上の方のまんなかあたりにある「Ask a Question / Make a Comment」をクリックします。

そこで出た画面に、
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*カテゴリー(Ask a questionを選べばOK)
を入れて、「Send」ボタンを押すと、メッセージが送信できます。

コメントは、

Stop attacking Ramadi. とか、

Could you please stop the war crimes that you have been committing in Ramadi, Iraq, immediately? とか、

No more killing, no more war crimes, please.

など、短いものでも。

米国による戦争犯罪や人権侵害はさまざまなかたちで広まっています(前からだけど、いっそう)。EUはグアンタナモの「対テロ戦」収容所の閉鎖を要求したようです。

ストップ六ヶ所村アクティブ試験

坂本隆一さんによるサイト。Flash ver. 8 以降が必要です。

大量破壊兵器委員会(WMDC)は、6月1日、ニューヨークでコフィ・アナン国連事務総長に報告書を提出したそうです。イラクの査察に当たった(国連監視検証査察委員会=UNMOVIC)の元委員長で、1981年から97年までIAEAの事務局長の職にあったハンス・ブリックス氏が委員長を務めるWMDCの報告書『恐怖の兵器』(pdf)は、その勧告9で「使用済み燃料の再処理によってプルトニウムを分離している国は、その活動を減らす可能性を探るべき」と述べるなど、プルトニウム利用路線に警鐘を鳴らしているとのこと。米国が提唱し日本が支持を表明している「国際原子力パートナーシップ(GNEP)」についても問題点を鋭く指摘しているそうです。

こちらの詳細は、核情報をご覧下さい。

■共謀罪について

今国会での成立は見送られましたが、政府が繰り返してきた「共謀罪を創設しないと国連の条約を批准できない」という説明に対して、東京新聞特報が、丁寧な分析を行っています。
益岡賢 2006年6月18日 

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