OCHA/IRIN
国連ReliefWeb原文
2004年4月14日
バグダッド北西約50キロにあるファルージャの米軍支配地域にある家から逃れようと白旗を手にしたナセルとその家族は、全員、米軍狙撃兵に撃たれたと語った。それでも、何とか首都バグダッドのヌマン病院にたどり着いた、と。
ナセルと親族は、米軍兵士に尋問されたり逮捕されたりすることを恐れて、苗字を教えてくれなかった。50歳になるナセルの母は、腰に銃弾の傷を受けており、手にも怪我をしていた。22歳の姉は足が砕けていた。バグダッド南部アーダミヤにありカタール救援共同委員会が運営しているヌマン病院の若い医師アリ・アブドゥル・カリクによると、赤ん坊も、銃弾を食らっていたという。
一家は、土曜日(10日)の夕方、屋根に恐らくは迫撃砲が被弾したため、家を失った。誰が発砲したかははっきりしていない。
米軍は、先週、ファルージャの反乱軍に対する軍事行動を展開した。国際メディアが報じるところによると、600人以上のイラク人が殺されている。11日日曜日の段階では停戦中であり、それ以来散発的な発砲がある。
「誰もが撃たれる。白旗を持っている人さえもが」と、ナセルは、頭を振りながら、バグダッドのIRINに語った。「私たちは救急車を呼んだが、救急車の運転手までが撃たれた」。
彼の姉は、この逃走劇について憤慨していた。「私たちは、一つの場所から別の場所へちょろちょろと動き回るネズミのようでした」と、彼女は目に涙をためて語った。「私たちが、どうやってアメリカ人と戦えるというのでしょうか? 私たちは家の中に隠れていただけです。この小さな子には何の罪もありません---どうして、彼を攻撃するなどということができるのでしょう?」 病院では、毎日、ファルージャの戦闘で負傷した怪我人約15人が運び込まれると、カリク医師はIRINに言った。
ある米軍報道官は、これまで500人が殺され、その多くはファルージャで殺されたと言っている。ファルージャは元大統領サダム・フセインに忠誠を誓っていることで知られる反抗的なスンニ派ムスリムの街である。ファルージャからバグダッドに逃げてきた人々は、殺された人の数は遙かに多く、最大700人にのぼるだろうと言っている。また、イラクの怪我人は1500人にのぼるだろうと。
バグダッドの他の病院には、ファルージャの怪我人はいないようである。ヌマン病院にいる患者の親族は、ファルージャ周辺にある三つの「野戦病院」は、怪我をした民間人と戦闘員で溢れていると語った。13日の火曜日、米軍報道官は、民間人犠牲者についてはイラク内務省に問い合わせるようにと言ったが、そこで返答はなかった。
「私たちは、ここで患者を安定させ、それから他の病院に運びます」と、カリクは説明してくれた。病院は、怪我をした戦闘員かも知れない人々について話して、注目を浴びたくないのかもしれないとほのめかした。
その間、国連は、ファルージャ周辺地域に1トン以上の医薬品援助を提供した。この3日間で、国連難民高等弁務官事務所は、毛布約3500枚、マットレス約1200枚、緊急保健キット5点(これは5万人以上の人をカバーできる)、ストーブ500個、ビニール・シート500枚を配った。ファルージャを逃れてバグダッドに来た人々を受け入れるためである。これらの物資は、インテルソスやプルミエール・ユルジャンス、イスラム救援といったNGOパートナーが配布している。
以下は、ラウール・マハジャン氏のブログより
4月15日、午後10時45分東部標準時、イラク、バグダッドより:私はファルージャ行きについて少し前に話した。そのとき一緒にファルージャに行った人たちの一部が、もういちどファルージャに戻る決心をした。米軍狙撃兵の銃撃をかえりみずに、怪我人を助けるために。ファルージャについては、報じられていない膨大な量の出来事があるだろうことを心に留めておかなくてはならない---人々が狙撃兵の銃撃で撃たれ、路上に倒れたり、家に引きずり戻されたりし、そして、救急車が怪我人を連れ出すことができないために、治療を受けられないままでいる。
ファルージャに戻った人たちは、予定より1日長く滞在しているようで、私たちは心配しはじめた。実は、彼ら/彼女らの家族に電話しようとしていたところだった。ようやく、今日の午後戻ってきた。バグダッド時間のこと。24時間、ムジャヒディーンの客となっていたことが判明した。一人と話をしたが、彼女は、非常に丁寧に扱われ、事故もなく解放されたと語った。彼女らの誠意にムジャヒディーンが満足したので、何も問題はなかったという。
けれども、米軍狙撃兵の発砲がひどかったため、一人も助けることはできなかった・・・・・・
4月16日午後6時半頃、ファルージャで二番目に大きなハドレット・モハメディヤ・モスクが米国海兵隊により破壊されました。米軍司令官は、ファルージャで、反乱部隊が米軍を攻撃するためにモスクが使われているならば、モスクの攻撃を躊躇しないと語っています。
ファルージャで起きていること。米軍による街の閉鎖。住人を人質に取って、さらに、救援物資の搬入も妨害し、街から出ることも妨害して、その上での、住民の殺害。700人近い人々が殺されました。その中には、100名以上の子供、200人以上の女性が含まれています。
米国のトークバック・ラジオ番組[司会がしゃべって聴聞者からの電話を受けるかたちの番組]の司会ラッシュ・リンボー(Rush Limbaugh)(保守的なことで有名:極右と言う方がふさわしいかも知れない)が、15日の番組で、通常はただ単に無視するだけの、イラクにおける民間人イラク人死者につて、アルジャジーラとアルアラビアの報道はプロパガンダであり、米軍は無辜の民間人を傷つけたり殺したりしてはいない、今、リベラル派がそれについて文句を言っているのは変だ、サダムの残虐行為については何も言っていなかったくせに、と語ったそうです。
大切なのは、リンボーは、普段はこういうことを、単に無視して黙殺していること。逆に言うと、現在米軍がイラクで続けている虐殺への抗議の声が、リンボーのような極右のラジオ番組でも無視できなくなり、米軍・米国の立場を防衛しなくてはならなくなった、ということを意味しています。反占領の声は、ますます高まっています。
ジョージ・W・ブッシュ米国大統領のホワイトハウスのFAX番号は、
+1-202-456-2461
東京の米国大使館政治部の電話番号は、
03-3224-5330です。
日本のメディアにも、きちんと働きかけることは重要だと思います。
解放された日本人人質3人をめぐって、16日に与党が開催した「対策本部」(何もしていないが)では、民間人に事故責任の徹底を求める意見が相次いだということで、公明党の冬柴鉄三幹事長に至っては人質本人や家族の経費負担にも言及したということです。3人をめぐっては、嫌がらせ以外何もしてない輩たち、国民の経費を使って何一つ国民保護の戦略的行動をとれなかった無能政治家たちが、寄って集って、何を言い出すかと思えば、こんな腐り果てたことでした。会合では、「今回の救出にかかった総経費を公表すべきだ」との意見があるそうですが、いったい、ただ何もせず、嫌がらせと邪魔だけをしていた輩たちが、一体、いくら私たちの税金を浪費したか、興味はあります。
米国のパウエル国防長官は、JNNの単独インタビューで、日本の一部で人質になった人の自己責任を指摘したり、軽率だなどと批判する声が出ていることについて、「危険を知りながら良い目的のためにイラクに入る市民がいることを日本人は誇りに思うべきだ。もし人質になったとしても、『危険をおかしてしまったあなたがたの過ちだ』などと言うべきではない」と述べていたそうです。パウエルがやっていることをちょっと棚上げして、この部分だけには同意します。
「救出経費」なるものを浪費して何一つ出来なかった総理大臣と外務大臣は、責任をとって、ただちに辞職すべきです。政府は人々に仕えるためにあるのであって、酒を飲んで駄弁を弄し、個人攻撃をするために存在しているのでは、ありません。