デクスター・フィルキンスはニューヨーク・タイムズ紙[2003年12月7日付]の「米国は新たな強硬策によりイラクの町々の掌握を強めている」と題する記事で、米軍が「鉄条網で村全体を包囲」していると報じている。この記事は、米国兵士たちが、今や、「イラク人攻撃者たちが使っていると思われた建物を破壊し」、「ゲリラ活動家が投降するよう圧力となることを期待して、ゲリラ容疑者の親類を投獄している」と述べている。米国の「新たな強攻策」の一部であるこうした行為は、イスラエルの占領軍が被占領下パレスチナで行なっていることをよく真似ている。米軍士官たちは、「イスラエルの経験を綿密に学んだ」こと、「イスラエルの防衛専門家」すなわち占領と拷問の専門家たちの情報を詳細に検討したことを認めている。
イラクの村アブ・ヒシュマは今や「レーザー・ワイヤー[剃刀の刃状の鉄片のついた鉄条網]のフェンスで囲まれている」。フィルキンスによると、村人は英語でのみ書かれたIDカードの所持を強制されている。米国の占領軍は、IDカードを持つ住民だけにフェンスからの出入りを許している。タリクと呼ばれるイラク人は、次のように語った:「私たちとパレスチナ人との間に違いはない。サダムがいなくなったあとでこんなことが起きるとは思わなかった」。
村全体を標的としたこうした集団的懲罰については、全ての人々が深く憂慮してしかるべきである。イラクの村人達は、米英の不法占領に対するレジスタンスのために懲罰を受けているのである。米軍がイラクで集団的懲罰を行なったのはこれが最初ではない。例えば、イラク人が米国のヘリを撃墜した直後、米軍はイラクの家々を捜索し、敵の部隊を匿っていると疑った家々に発砲した。パトリック・コックバーンは、米軍が、イラク中部でマメガキの原生林やオレンジとレモンの木をブルドーザで破壊したと報じている。国際法のもとで、あらゆる集団的懲罰は厳密に禁止されており、不法行為である。
パレスチナ占領地でイスラエルが用いている方法のレプリカである米英の「新」手法のもとにあるのは、根深い人種差別主義イデオロギーであり、それは例えばアラブ人に関するトッド・ブラウン大尉の発言に典型的に現れている「アラブの心を理解しなくてはならない。奴らが理解するのは力だけだ---力とプライド、面子を保つことだけだ」。米英の不法占領者たちがイスラエルの手法を採用しているだけでなく、イラク人の弾圧に必要な人種差別主義イデオロギーを内面かしつつあることは疑いない。植民地占領において、これは稀なことではない。自らの人間性を喪失した占領者と人種差別主義者たちは、占領下の人々を蟻のように見なし、人間生活を送る価値はないと主張する。
集団的懲罰の利用については悪名高い歴史がある。イスラエルは日常的にパレスチナ人に対して集団的懲罰を用いている。また、集団的懲罰は、20世紀で最も恐ろしい政権によっても用いられてきた。偽りの礼節がゆえに、米軍の行為からそうした政権の名前を思い出すことはないかも知れないが、こうした政権のように実際に振舞っているときには、比較する必要もあるだろう。
米軍諜報・軍事筋が9日に明らかにしたところによると、イスラエル軍顧問官が、イラクにおける米国特殊部隊の攻撃的な対抵抗運動作戦を援助している。米軍の作戦には、ゲリラ指導者の暗殺部隊も含まれている。
イスラエル軍(IDF)は米軍特殊部隊の本拠地であるノースカロライナ州フォート・ブラッグに都市戦の専門家を送り込んだ。米国諜報・軍事筋によると、イスラエル軍「コンサルタント」がイラクを訪問したという。
イラクのスンニー三角地帯で、米軍は、既に、イスラエルがパレスチナの占領地で採用している手法を用いている。レーザー・ワイヤーで抵抗地域を封鎖し、米軍への攻撃がなされた建物を完全に破壊している。
けれどもイラクでの秘密戦争はさらに過激になりつつある。来年11月の米国大統領選を前に、バアシスト[ママ]率いるゲリラを弾圧しようと目論んでいるのである。
作戦に詳しい情報筋によれば、米軍特殊部隊のチームは既にシリア内にいて、国境を越える前に外国のジハード参加者を殺そうとしている。また、ゲリラ指導者の「中立化」(暗殺)を専門とするグループが創設されつつある。
「これは基本的に暗殺作戦である。ここではそのように認識されている。狩り出し殺すチームである」と元米国上級諜報職員は述べた。彼はまた、この新たな戦略とイスラエルとの協力強化は、中東の爆破寸前の状況に火を注ぐだけだと恐れているとも語った。
「イかれている。正気の沙汰じゃない。アラブ世界では我々は既にシャロンと比べられている。そして、我々自身が、イスラエルを引き込み暗殺チームを創設することで、それを証明したのだ」。
「そのチームはフォート・ブラッグでイスラエルの訓練を受ける」と事情に詳しいワシントンの情報筋は語った。「イスラエル人の一部はイラクにも行っている。訓練のためではなく、コンサルテーションのためだ」。
イラクで米軍筋と接触のある別の米国人筋も、イスラエルのコンサルタントがイラクを訪れたことを確認した。
ペンタゴンはコメントを求める要請に答えてはいないが、軍事計画作成者のマイケル・ベーン准将は、イラクの対ゲリラ作戦に関する『アーミー』誌7月号への手紙で、イスラエルとの協力について言及している。
「我々は最近、都市部での対テロリスト作戦[ママ]に関するイスラエルの経験から情報を収集するため、イスラエルを訪れた」と、軍訓練・作戦司令部副参謀長のベーン准将は述べている。
あるイスラエルの政府関係者は、IDFは定期的に西岸とガザの経験を米軍に提供していると語ったが、イラクでの協力についてはコメントできないと述べた。
「我々が活動するとき、テルアビブの米軍アタシェは関心を持つ。英国と同じだと思う。同盟国はこのように協力するのだ。特殊部隊がここにきて、我々が行なった作戦について情報報告をするよう言うのだ」とこの政府関係者は言う。
「それはイラクに影響するだろうか?我々もアメリカも誰もそれを考えることに関心はない。ジハードたちの偏見には上手く合致しているだろう」。
元米軍諜報士官でイラクにおけるペンタゴンの政策を批判するラルフ・ピーターズ大佐も、9日、学べる限りの教訓を学ぶことについて何も悪いことはないと語った。
「参考のために誰かの意見を求めることは、それをそのまま受け入れることではない」とピーターズ大佐は言う。「けれども、今目にしているのは新たなリアリズム[ママ]だと思う。アメリカは全ての人の心を引き寄せようとする傾向があるが、イラクでは、そうできない心がいくらかある。人権の許す範囲内で、ある村で先例を作れば他の村でも注目される。そして、そうした地域での攻撃は減ったのだ」。
エリート部隊から構成される新たな対ゲリラ部隊はタスクフォース121と呼ばれるとニューヨーカー誌は12月9日号で報じた。
この攻撃の背後にいる計画立案者の一人は極めて疑わしい人物であり、ムスリムの世論に火を付ける可能性が高い。ウィリアム・「ジェリー」・ボイキン准将である。
2003年10月、彼がオレゴン州の教会の集会で米国は、「我々キリスト教徒軍を破壊しようとしている」サタンと戦っていると述べ、辞任を求める声が挙がった。
ピーターズは「彼は自分の能力以上に昇任した」、「将軍の中には戦場で優秀だが権力中枢に近づくと破滅的な者もいる」。
米国がイラクでやっていること。不法占領と大規模で体系的な掠奪(イラクの石油を奪い、米国市民の金も使って、ハリバートン等に不当に高い契約で仕事をやって金儲けをさせている)。ここに述べられた米軍の行為は、一言で言うと、人殺しです。イラクの傀儡政権は、子供の死者を集計しないようにしたとの情報もあります。自分たちが殺した人の数を曖昧にするために・・・・・・
そしてイラクやパレスチナでは、不法占領者の米国とイスラエルにより、ますますワルシャワ・ゲットーを思い起こさせるような、フェンス・壁・鉄条網が作られています(フェンス/壁が、物理的にだけでなく社会的に意味するところについては、ナオミ・クライン『貧困と不正を生む資本主義を潰せ』(はまの出版)が参考になります)。
そうした人殺し、不法占領に荷担して自衛隊を送り込もうというのが日本政府で、「ようこそ日本人」と書かれたサマワのアラビア語が(意図的な?)誤訳で「ようこそ自衛隊」と日本語で書かれていたことを「自衛隊歓迎」であるかのように伝えるのが自称、「不偏不党」の「公共放送」局。どうやらこの局の「不偏不党」は、子供の殺人や強姦をめぐり賛成派と反対派をバランス良く紹介するというのと同じような感覚らしい(しかしNHKが入らないTV受信機を作ったら売れるでしょうに)。
12月11・12日の日本ASEAN特別首脳会議では、アチェで人権侵害を進め、パプア州に東ティモールで人道に対する罪を犯した人物を警察長官にするというテロ屋のメガワティが「インドネシアは地域の対テロ戦争の先駆者」と述べ(インドネシアのNGOはテロの文字通りの定義に従えばインドネシア軍がテロリストと明言していますが)、小泉首相は「アチェで問題があるからというだけで、ODAは止めるべきではない」と述べ(人権侵害を行う国にはODAは提供しないという原則があったはずですが)、破産したインドネシアが殺人を継続できるよう、1000億円にのぼる円借款を約束した。
そして日本国内では数万人の自殺者。それも、実存的な悩みとか言うのではなく、単に、失業して生活苦で、家族に保険金を残すために。
代わり映えしませんが、日常的に出来ることとして、次のようなことがあります。
マスコミ。「おかしな報道には抗議しよう日記」というページは、参考になります。まっとうな記事を褒めることも。
戦争を支援する企業。「イスラエル支援企業リスト」というのがあるが、ここに掲載されている企業の少なからぬものは、一般に戦争やら人権侵害を支援しています。普通の人々が金をわんさともった企業に対して積極的な立場に立てるのは消費の場でです。それを利用して、企業に、丁寧に伝えていきましょう。かわりに、フェアトレード品を買うとか。
政府。小泉首相や川口外相にメールやFAXで反対の意志を伝える。メディアも含め、色々な連絡先。公明党に働きかけようという動きが強まっています。
自衛隊派遣に反対する意見広告運動も、12月13日が一次締切ですが、まだ続くと思います。
他に、直接行動等については、例えばこんなところから情報が入手できます。さらに、ちょっと使いにくいけれど、イベントの通知もできる「ラヂカレンダー」なんていうのも。