誰か聞いているのだろうか?
断末魔の状態に置かれたガザ
2008年11月28-30日
ソニア・カルカル
CounterPunch原文
この21世紀に、別の民族の基本的人権----食料・水・住まい・安全そして尊厳への権利----を否定する政府とは、いったいどのような政府だろう。
自分の気に入らない政府を選出したからといって、民主的な選挙を行った民族に過酷な制裁を無理やり加える政府とは、いったいどのようなものだろう。
150万人が暮らす人口過密の地域を封鎖し、許可なしでは誰一人出入りできないようにし、漁師に自分の漁場で漁をすることを禁じ、飢えに苦しむ人々に世界の食料援助が届かないようにする政府とは、いったいどのようなものだろう。
燃料と水、電気を遮断したうえで、人々の頭上に爆弾と弾丸を雨のように浴びせる政府とは、いったいどのようなものだろう。
答え:品位のある政府ならば決してそんなことはしない。
それにもかかわらず、イスラエルでは次々と政権の座につく政府がいずれも、自分たちは他の国々よりも優れた第一世界の民主主義国として認められ賞賛されるべきだと主張してきた。国際法を嘲弄し、人権を侵害し、またイスラエル指導者たちは犯罪と汚職に手を染めてきたにもかかわらず。さらにひどいことに、世界は、歴代のイスラエル政権を黙認するばかりか来賓として歓迎してきた。
誰もが、この事態を前に、我らが崇高な独立宣言、人権宣言、倫理、道徳、宗教的信念、市民的自由、法の支配といった理念を改めて考え直すべきであろう。これらすべては単なる見せかけなのか、それとも何か実質的な意味を持つのか? これらは一部の人だけに適用されるのか、あらゆる人々に適用されるのか?
イスラエル大統領シモン・ペレスは、イスラエルの攻撃的な政策と計画を推進したイスラエル指導者の一人だが、英国大統領から爵位を授けられ、また、オックスフォード大学ベーリアル・カレッジは彼の名を冠した一連の講義を設けて彼の栄誉を讃える予定である。まったく疑わしい栄光。というのもこの人物は、1948年の戦争で75万人のパレスチナ人を故国から強制的に追放した人物なのだから。
今日、私たちはガザが、誰もが二度と目にすることはないだろうと考えていたようなゲットーと化しているのを目にしている。この点は、すでに今年の早い時期にイスラエルの国防副大臣マタン・ヴィルナイが、ガザのパレスチナ人に「より大規模なホロコースト(ショアー)」を加えると脅したとき、想起されていたものである。その後、彼は、誰にとってもよく知られている感情的含意を持つこの表現を単に「大きな不幸」の意味で使ったのだと言い逃れを試みた。
ガザに暮らすパレスチナの人々の上に降りかかる緩慢な死は、まず、イスラエルやアラブの病院で緊急治療を受ける必要がありながらガザから出ることを禁じられた重症患者400人を最初の標的とした。また、300種類の医薬品がひどく足りないために、病院で治療を拒否し家に送り返されている患者は数千人にのぼる。
ガザの病院は医薬品も設備もずいぶん前から手に入らないため、ようやくわずかな供給がガザに到達しても、パレスチナの人々の日々の需要最低限をすら満たすことができない状況になっている。同様に、ガザに運ばれるエネルギー燃料は、発電所を1日動かすのにようやく足りるか足りないかといった程度でしかない。
この、断片的にわずかな援助を与える政策は、イスラエル首相補佐ドヴ・ワイスグラスが2006年2月に唱えたものだった。彼は「パレスチナ人にちょっとダイエットさせようというわけだ。ただし、餓死しない程度に」と述べている。
この悪質な政策により、人々は生存に必要な基本食料を奪われたため、栄養失調が増大している。燃料と電力が途切れたために製粉所が操業停止を余儀なくされただけでなく、小麦の提供もまったく途絶えた。ガザで営業しているパン屋72軒のうち、29軒はパン焼きを完全に停止し、残りのパン屋もパンを焼けなくなる見込みである。このことは、あらゆる食べ物の中でも最も基本的なパンさえ、飢えた人々の口には入らなくなることを意味する。
赤十字の報告は、イスラエルによるガザ包囲の影響を「破滅的」と表現している。人口の70%が食料不足に苦しんでおり、また、11月4日以来、ガザの悲惨な状態にあるキャンプに暮らす75万人の難民に対する食料援助配布が中断しているため、それに頼るしかなかったパレスチナ人たちはいっそうひどい状況に追いやられている。
国連も、アムネスティ・インターナショナルも、ヒューマンライツ・ウォッチも、イスラエルのガザ封鎖を「残忍なもの」と呼んでいる。ジミー・カーター米元大統領は、躊躇することなく、この状況を「悪辣な残虐行為」であり戦争犯罪を構成すると述べている。
英国では、オックスファムの代表バーバラ・ストッキングが、イスラエルとパレスチナを最近訪問した折にガザの「絶望的人道状況」に言及しなかったとしてデイヴィッド・ミリバンド外相を強く非難している。
しかしながら、イスラエルの戦略は綻びつつあるかも知れない。
イスラエルによるガザ封鎖があまりに過酷なため、ニューヨーク・タイムズ紙を含む世界最大のメディア諸組織が、自社のジャーナリストさえガザに入ることを禁じられたことに憤りを表明し、書面でイスラエル首相エフード・オルメルトに抗議した。
キリスト教指導者たちもやはりガザ行きを禁じられている。先週イスラエルは、イスラエルの教皇たるフランコ大司教がクリスマスを前にキリスト降臨の始まりを祝福するミサの実行を阻止された。
一方、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸では、イスラエル首相エフード・バラックが、和平プロセス合意をあからさまに無視して不法な入植地を数百箇所に建設する許可を与えた。政権が終わるまでに解決策を見つけようとしている米国政府はこれによりさらなるジレンマを抱えることになった。
真に驚くべきなのは、これらすべてを前に世界が沈黙していることである。イスラエルにあたうる限りの名誉を与え理解を示し、それによってパレスチナ社会の破戒を入念に行ってきたイスラエルの歴史的不名誉を糊塗しようとするのは、途方もなく不道徳である。
ソニア・カルカルは「パレスチナのための女性たち」の創設者で代表、またオーストラリアのメルボルンで「パレスチナのためのオーストラリア人」の創設に加わり、幹部を務めている。 http://www.australiansforpalestine.comを編集しているほか、様々な場所でパレスチナに関する記事を寄稿している。
メールはsonjakarkar attoma-ku womenforpalestine dot org
■ パレスチナ支援に関わるNGO
日本国際ボランティアセンター、パレスチナ子どものキャンペーンなどがあります。パレスチナ関係の情報は、パレスチナ情報センター、P-navi infoをご覧下さい。
パレスチナ子どものキャンペーンが、ガザの封鎖解除を求める署名を12月1日から始めます。ガザの封鎖解除をイスラエル政府に求めるよう日本政府に働きかけるものです。署名用紙のダウンロードを含め、案内は、パレスチナ子どものキャンペーン・ガザの封鎖解除を求める署名にご協力くださいをご覧下さい。
■ 「継続されるパレスチナのユダヤ化」講演会
講師:早尾貴紀氏
日時:2008年12月3日(水)
午後6時半開始 (開場6時) 8時半過ぎ終了
場所:京都大学文学部新館第一講義室
資料代:500円(学生400円)(ほか相談に応じます)
主催:さぼてん企画
連絡先:saboten1948(アットマーク)mail.goo.ne.jp
090-9692-0231(ハセガワ)
■ 辺野古・高江
辺野古浜通信-photo-、辺野古情報をご覧下さい。
■ 池子米軍住宅追加建設に反対する市民集会
日時:12月21日(日) PM1:30~4:00
場所:横浜市金沢地区センター中会議室
京浜急行「金沢駅」から徒歩5分(ダイエー前)
主催:戦争反対・平和の白いリボン神奈川(TEL045-788-0838)
すべての基地にNOを・ファイト神奈川
参加費500円
■ 湯浅誠さんと考える格差・貧困問題
講師:湯浅 誠さん
(NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長)
日時:2008年12月1日(月曜日)18:30-20:30
会場:東京都港区立港勤労福祉会館 第一洋室
〒108-0014 東京都港区芝5-18-2
交通:JR田町駅三田□下車徒歩5分 第一京浜国道沿い(芝5丁目交差点かど)
都営地下鉄三田駅下車、A7出口でてすぐ左隣
(http://www.3710pic.com/mkf/web/map.html参照)
TEL: 03-3455-6381(代)
参加費:700円
お問い合わせ先:Keiss1979@aol.com
■ レイバーフェスタ2008(東京)
12月20日、東京ウィメンズプラザホールで開催されます。レイバーフェスタ・ブログに詳しい情報があります。
■ 多国籍住民と日本の議員でつくる多文化フェスタ
日時:2008年11月30日(日)13時~16時(開場12時半)
場所:新宿区 東京韓国学校 4F 体育館(東京都新宿区若松町2-1)
内容:
一部
主催者挨拶・基調報告・ゲストスピーカーからの発言
多国籍住民のアピール、議員からのアピール、他
二部
MC、KP(RAP)、サムルノリ、フィリピンソング
ロックンロールバンド、よさこいアリラン、他
主催:在日本大韓民国青年会中央本部
定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク
フォーラム平和・人権・環境
在日コリアン青年連合
HAKMI GROUP
賛同:市民団体・労組・個人など
■ 反戦と抵抗のフェスタ
11月29日・30日、東京です。反戦と抵抗のフェスタHPをご覧下さい。
■ 貧困から考える死刑
日時:12月14日(日)午後1時半~4時半(開場午後1時)
場所:東京・明治大学リバティタワー1013
(最寄り駅 JR 地下鉄丸の内線お茶の水駅
千代田線 新御茶ノ水駅)
講演
トレーシー・パビコ(フィリピン人権情報センター)
パネリスト
坂上香(映像作家)
今野晴貴(NPO 法人POSSE 代表)
主催:死刑に異議あり!キャンペーン
詳しくは以下をご覧下さい。
http://www.jca.apc.org/cpr/2008/Dec14.pdf
■ 「米兵リクルート状況、ブートキャンプの実態、
帰還兵たちの声からイラク戦争と米軍の実像を明らかにする
日時 12月5日(金)18:45~21:00(開場18:20)
会場 文京区区民センター3C会議室(都営三田線春日駅A2出口真上)
参加費 500円(資料代)
内容 1.「この本の意義と感動したこと」伊藤美好(本書・翻訳協力)
2.「ブートキャンプでいかに若者たちを戦う兵士に仕立て上げ
るか」
映像と話:影山あさ子
3.「米軍はイラクだけではなく、自国の兵士の心をも破壊した
実態について」
トークショー:影山あさ子&高遠菜穂子/聞き手:吉岡一
申込 要予約(当日参加も可能ですが満員の場合は入場できない場合も
あります。ご了承下さい)
申し込み受付・問い合わせ:TEL 03-3294-3506(合同出版・八尾)
協力 日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)
■ VIDEO ACT! ドキュメンタリー祭
東京・渋谷のアップリンクにて、11月29日から開催されます。詳しいスケジュール等は、Video Act! ドキュメンタリー祭HPをご覧下さい。