コロンビアの殺人「民主主義」
CounterPunch原文
2010年4月26日
15万人以上が殺された可能性:コロンビアの殺人「民主主義」
イエズス会司祭で長年にわたりコロンビアで人権活動を行ってきたハビエル・ヒラルド神父は著書『Colombia: the Genocidal Democracy』(コロンビア:ジェノサイド民主主義」の中で、1988年から1995年の間に、コロンビア内戦の結果、6万人以上のコロンビア人が ----そのほとんどがコロンビア正規軍あるいは国家が支援する準軍組織によるかたちで国家の手により----命を落としたと推定している。
コロンビア政府が準軍組織----「死の部隊」とも呼ばれる----を支援してきたことはよく知られている。米国国務省が年次人権報告で結論しているように、準軍組織はコロンビア政府及びコロンビア軍から積極的な支援を受け、コロンビア軍からは武器や弾薬、兵站支援、さらに場合によっては兵士さえ提供されてきた。2000年以来、米国はコロンビア軍に軍事援助を70億ドル以上提供してきたこと、その期間を通してコロンビア軍が残虐な準軍組織と密接な協力関係にあったことを知っていたことを考えると、米国自身も準軍組織の犯罪に加担してきたと言うことができる。
コロンビア政府と準軍組織との深い結びつきは、元準軍組織の司令官が準軍組織に対する政府の大きな支援を暴露するなど、繰り返し明らかにされてきている。例えば、元準軍組織司令官サルバトーレ・マンクソは、現コロンビア副大統領フランシスコ・サントス及び国防相フアン・マヌアル・サントスが準軍組織と緊密な関係を持っていたことを暴露した。フアン・マヌアル・サントスは次期コロンビア大統領の有力候補である。
最近まで、準軍組織に殺された民間人の数は約3万人だろうという推定が一般的であった。これに対し、ヒラルド神父は、コロンビア検察庁自体の統計を引用し、コロンビア検察庁が現在準軍組織による超法規的処刑として捜査しているケースは15万件にのぼると発表して従来の推定を打ち砕いた。捜査対象となっている殺害は、1980年代後半から現在までのものである。従来の推定によってさえ、コロンビアは最近のラテンアメリカでは最悪の人権侵害国家であり、アルゼンチンのファシスト軍事政権やチリのピノチェト独裁政権よりも多くの民間人犠牲者を出してきた。
今回の新たな推定犠牲者数により、コロンビアは西半球で突出した人権侵害国家の地位を確立することになる。さらに、コロンビア紛争の結果家を追われた国内避難民の数----400万人以上----で言うと、世界中を見てもコロンビアよりひどいのはただスーダンだけである。それに加えて、米国がこれまで常に最悪の人権侵害政府を支持してきたことを考えると驚くにはあたらないが、フアン・フォレロは2010年4月19日付ワシントン・ポスト紙の記事で、コロンビアは「南米大陸における米国政府の最も緊密な同盟国である」と報じている。
ワシントン・ポスト紙の同じ記事の中で、フォレロは、コロンビアに対して米国は大規模な支援をつぎ込んでいるにもかかわらず----むろんそのほとんどが軍事援助である----コロンビアの貧困は悪化の一途をたどっており、現在では人口の43 パーセントが貧困、23パーセントは「極貧」の状態で暮らしている。ワシントン・ポスト紙も説明しているように、「国連ラテンアメリカ経済委員会の報告によると、ラテンアメリカ主要国の中でここ数年で貧富の差が増大したのはコロンビアのみ」である。
もちろん、ヒラルド神父が『The Genocidal Democracy』----残念ながら現在は絶版となっている----で述べるように、これは、コロンビアが有する石油や石炭、果物、花、貴金属、宝石などの膨大な資源、そしてほとんど生存にぎりぎりの賃金でもとにかく仕事があればという絶望的な労働力を飽くことなく求める米国企業が何の制約もなくこれらを搾取できるようコロンビアを属国にしようという米国の政策によるものなのである。
米国のオバマ大統領がコロンビアと新たな協定を結んで両国との関係を強化し、コロンビア国内の軍事基地7カ所を米軍が使用することができるようになり、さらに公約に反してコロンビアとの間で自由貿易協定を推進している中、コロンビアの殺人ゲーム計画は衰えることなく続いている。米国の破壊的な外交政策を終わらせるためには、米国で大規模な抗議行動を展開するしかない。
* * *
本記事が公開される際、我々は、ハビエル・ヒラルド及びその人権団体フスティカ・イ・パスが準軍組織に関する上述の暴露に対する報復として殺害脅迫を受けているとの情報を受け取った。少し時間を取って、ヒラリー・クリントン(ファックス:+1-202-647-2283)及びワシントンDCのコロンビア大使館気付でアレバロ・ウリベ大統領(ファックス:+1-202-232-8643)にハビエル神父の身を案じるメッセージを送ってください。
ダニエル・コバリクは労働・人権を扱う弁護士で、ペンシルヴェニア州ピッツバーグ在住。
【在日コロンビア大使館へは、http://www.colombiaembassy.org/ja/の右上「問合わせ」からメールを送ることができる】
■ 辺野古通信
辺野古通信ご覧ください。
■ 軍事用無人シャトル打ち上げに抗議を
核とミサイル防衛にNO!キャンペーンからの要請。
4月22日、米空軍は不気味な軍事用無人シャトルを打ち上げました。サンケイ・エクスプレスの記事(4月24日)によれば、AP通信が「謎の宇宙船」と形容した軍用無人シャトル「X37B」は、再利用型で宇宙からの偵察、早期警戒や戦時の宇宙での指揮センターとしても活用でき、軍事的価値が高いとされているそうです。
日米政府は外務・防衛審議官級協議という秘密協議の中で、「日米同盟深化」の一環として「宇宙利用」を議題の一つ(他にミサイル防衛、情報保全、「核の傘」含む拡大抑止)にしています。その内容が公開されるべきです。また、宇宙の軍拡競争を促進する今回の打ち上げに対して、鳩山政権はオバマ政権に抗議を表明すべきです。前原誠司・宇宙開発担当大臣と泉健太・内閣府宇宙担当政務官(「宇宙基本法」審議の際、宇宙軍縮を主張)に対して、声を届けてください。短いものでも構いません。「知っていますか
? どう考えますか?」というような質問でもOKです。
抗議・質問先:
宇宙開発担当大臣 前原誠司
(FAX)03-3592-6696
(E-mail) http://www.maehara21.com/form/index.php
内閣府宇宙担当政務官 泉健太
(FAX)03-3508-3805
(E-mail) office@iKENTA.net
米国の宇宙兵器開発、日本の宇宙軍事化については、『宇宙開発戦争』(ヘレン・カルディコット、クレイグ・アイゼンドラス/作品社)をご参照ください。