日本語で読めるコロンビア関係基本図書
益岡賢
2003年11月4日
以下で紹介するのは、日本語で読めるコロンビア関係図書を網羅するものではありません。実際、私自身が目を通した中でも、『何とか記者の何とか』等、趣味的判断により、紹介していないものがいくつかあります。
- 『コロンビア内戦 ゲリラと麻薬と殺戮と』
伊高浩昭著・論創社・2003年10月・2500円
コロンビアについて、歴史から現状、内戦の背景分析、米国の関与と「対テロ戦争」の中での位置づけ等を丁寧にかつ読みやすくまとめた本。コロンビアに少しでも関心を持っている方だけではなく、世界状況の展開を別の視点から眺めるためにも必読の書。是非、読んでみて下さい。このテーマ・内容の340ページで2500円は高くない値段だと思います。
私のHPで紹介しているコロンビア関係の記事は、時事的な出来事をそのときどきに紹介するかたちになるため、ともすると全体の流れが見えにくいのではないかと危惧しています。それをカバーし、コロンビアの基本事情を理解するために最も適した、ラテンアメリカで永年取材活動を行なってきた著者ならではの、文献と直接取材と著者の立場のバランスの取れた、最良のコロンビア入門書。
- 『コロンビアの河馬とボリビアの不眠猫』
丸山富美子著・築地書館・1995年3月・1700円
1991年から2年間、青年海外協力隊員としてコロンビアとボリビアで暮らした著者の「ハイ・スピード・ノンフィクション」。「スラムでの社会開発にとりくむなかで出会う同僚の殺害、はじめて握ったピストル、秘密警察による拷問の犠牲者たち」と帯にあるが、中身はなかなかセンチメンタル。個人的には売れて欲しい本だと思っています(でも売れなさそう)。メデジンでの出来事を中心に扱っている。『コロンビア内戦 ゲリラと麻薬と殺戮と』の次に読むとしたら、これ(かしら?)。
- 『暴力の子供たち コロンビアの少年ギャング』
アロンソ・サラサール著・朝日選書・1997年11月・1400円
その後値段は変わったかも知れません。メデジン市の「少年ギャング」を取材した良書。コロンビアでベストセラーで、ガブリエル・ガルシア・マルケスもお奨めの本。やはりメデジンの事情。
- 『誘拐』
G・ガルシア・マルケス著・角川春樹事務所・1997年12月・2800円
ちょっと高い。1990年から91年のコロンビア「麻薬戦争」を扱ったもの。ジャーナリストたちがコカイン密輸組織に誘拐された事件を追ったルポ。ジャーナリストとして出発した作家ガルシア・マルケスの筆力が発揮されている。
- 『百年の孤独』
G・ガルシア・マルケス著・新潮社・1972年
コロンビア北部アラカタカの町をモデルにした架空の都市マコンドを舞台とする小説。
- 『百年の孤独の国に眠るフミオに』
伊藤百合子著・現代企画室・1992年
「幼児期からスペイン、エクアドル、キューバ、メキシコ、コロンビアと異邦で暮らすことの多かった青年が、自然と身につけた、<世界性>の果てに抱いた絶望と夢。コロンビアで客死した一青年の生と夢」。母親が語る。今の日本で、できるだけ多くの人に読んでもらいたいと思う本。
- 『それでも私は腐敗と闘う』
イングリッド・ベタンクール著・草思社・2002年
FARC(コロンビア革命軍)に誘拐された議員が書いた本。フランスで出版された。私の若い知人は、これを読んでコロンビア取材に飛び込む決心をしたという。興味深い内容の本だが、最初に読む本ではない(ついでに古本で買うべき本)。