ウリベは捕虜交換交渉の成功を望んでいない
2007年11月26日
ColombiaJournal原文
先週、コロンビア大統領アレバロ・ウリベは、コロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)の間で行われていた捕虜交換交渉を終わりにした。交渉は、ウリベが、仲介者であるベネズエラ大統領ウーゴ・チャベスとコロンビア上院議員ピエダード・コルドバを実質上やめさせたことにより、終演を迎えた。8月に気乗りしないまま交渉を始めたウリベは、交渉中ずっと、捕虜交換が実現されないようあらゆる手を尽くしていた。彼の振るまいからは、ちゃベスとコルドバの仲介が決して成功しないよう意図していたことがはっきりわかる。
6月に11人の県議会議員が死亡したあと、FARCが拘束している社会的地位のある捕虜として残された45人のために、ウリベはFARCと捕虜交換の交渉を行うべきだという大きな圧力にさらされた。7月5日、数百万人の人々が路上に出て、捕虜交換交渉を要求した。また、アナリストたちは、でたらめな救出作戦の中で11名の議員が殺されたのではないかと言い始めていた。その翌日、ウリベは人々からの圧力に従って捕虜解放交渉をはじめ、コルドバとチャベスにコロンビア政府とFARCとの仲介役を依頼した。
ベネズエラ大統領チャベスがずけずけ物を言い、思慮に書くことはすでによく知られていたから、チャベスの助けを求めれば、交渉がメディアの注目を浴びる演出になることをウリベは十分承知していた。したがって、目立った交渉を始めることで批判者をなだめる一方、交渉が進捗の兆しを見せたら、チャベスがウリベに交渉の停止を宣言するための正当化に使える何かを提供するに違いないと、チャベスの性格を知るウリベは考えていた。恐らく、ウリベは、左派のチャベスといえどもコロンビア左派ゲリラFARCとの交渉を前進させることはできないのではないかと思っていたのではないだろうか。
コロンビアの右派はすぐさま、チャベスにコロンビア人の前に現れる機会を与え、正統性を与えたとしてウリベを批判し始めた。ウリベは支持層からの圧力に応えて、交渉を妨害しようとした。彼は一方的な宣言を行い、交渉がそもそも始まることから望んでなどいないことを明らかにした。例えば、コルドバが、米国で投獄されている二人のFARCゲリラ----シモン・トリニダードとソニア----を訪れ、捕虜交換における二人の位置づけを確認したとき、交渉担当者がこの二人をどうするか検討する余地を与えるかわりに、ウリベはただちに、この二人は捕虜交換の範囲には入らないと宣言した。
ウリベはまた、チャベスとFARCが直接顔を会わせて交渉することのないようあらゆる手段をとることをはっきりさせた。ベネズエラのチャベスと会うためにFARC指導者たちが安全に旅行する保証をコロンビア大統領は拒んだ----ELNの交渉担当がキューバとベネズエラに行くときはその保証を与えていたにもかかわらず。当初、FARCのナンバーツーであるラウル・レイェスがカラカスを訪れてチャベスと会うという噂が流れたとき、ウリベはレイェスは自前のルートでベネズエラに行かなくてはならず、コロンビア治安部隊が彼を見つけたら逮捕するだろうと宣言した。次いで、チャベスが、自らコロンビアのジャングルに入ってFARCの最高司令官マヌエル・マルランダと会いたいと述べたとき、ウリベはコロンビア領土でそのような面会を認めることはできないと即座にその要求を拒絶した。
ベネズエラ大統領はそれから、マルランダがカラカスに来て捕虜交換交渉を行い、さらに可能ならば将来の和平交渉の準備をしてはどうかと提案した。ウリベはそのときも、合意を達成する可能性が最も高いこの二人の面会を阻止するために、「マヌエル・マルランダは、姿を現せば殺されるから会談に出ることはできないとのメッセージを送った。彼の推測は正しい」と宣言した。コロンビア大統領はさらに、マルランダが会うべき唯一の人々は「判事と警察で、40年にわたる殺人などの責任を取らなくてはならない」と述べた。
これらの例に見られるレトリックとふるまいは、捕虜交換を真剣に成功させようとする人物のものではあり得ない。ウリベの妨害は、ベネズエラの指導者が捕虜交換交渉を成功させることをウリベが決してまじめに望んでいなかったことをはっきりと証明している。結局のところ、議論の場につくことができないままで、双方が真剣な議論をすることがどうしてできるだろうか? それでも、チャベスとFARCが直接会談することを阻止しようとするウリベのへまな試みにもかかわらず、FARC中央司令部のイバン・マルケスがカラカスを訪れることに成功し、ベネズエラ大統領およびコルドバと面会した。
それから2週間も立たないうちに、ウリベは突然、チャベスが捕虜交換合意に到達するまでに残された時間は6週間であり、12月31日を最終期限とすると発表した。チャベスは、自分とコルドバによる仲介は、この3カ月で、過去5年間にコロンビア平和評議員が行ってきたよりも大きな進捗を見せたのだから、そうした性急さは不合理であると指摘した。
けれども、まさに成功の可能性が高まったからこそ、ウリベは非現実的な期限を設けて交渉を確実に失敗させようとしたのである。7日後、コロンビア大統領は、コルドバがコロンビア軍司令官マリオ・モントヤ将軍に電話をかけて電話をチャベスに渡し----これはコロンビア大統領が表明した意図に反して行われたものだったという----たという事実を、交渉を終わらせる理由に持ち出した。コルドバとチャベスがモントヤに連絡を取ろうと決めたことは無責任だったかも知れないが、この重要かつ成功の見込みの高い交渉を終わらせることを正当化できるほどの問題ではない。
FARC側の要求のいくつかも合意の成立を阻む障害となっていたが、双方が顔をつきあわせて交渉する前に交渉そのものを反故にすると脅したことはなかった。例えば、ゲリラ側は実際の捕虜交換を行うためには軍事解除地域を儲けるべきだと主張したが、これは困難な問題であり、交渉で調整を必要としていた。それでも、この要求は交渉そのものを反故にするようなものではなかった。また、FARCが捕虜が生きているという証拠をすぐに提示しなかったこと---- FARCはそれを年末までに提示すると約束していた----は失望の的であるが、ゲリラが交渉を迅速に行うと考えるなら、それはまったく非現実的である。
チャベスをお役ご免にしてから、ウリベはチャベスの動機を批判して、「貴方の発言も立場も、コロンビアの平和に関心がないこと、そしてコロンビアがFARCというテロ政府の犠牲になることに関心があることを示している」と述べた。ウリベはまた、コロンビアの進歩的グループ、とりわけ人権団体に対してくり返し使ってきたと同じ戦略を持ち出し、チャベスをテロリストを支持しているとして避難した。交渉中、チャベスはFARCの正統性についてまったく発言しておらず、FARCの指導者の一人と一度面会しただけにもかかわらず、ウリベは「我々が求めているのはテロリストとの仲介者であり、テロリズムに正統性を与えようとする輩ではない」という馬鹿げた発言を行なった。
結局のところ、ウリベは捕虜交換交渉の成功を一度も望んでいなかった。決して成功しないだろうと考えた交渉を開始して宣伝することで、国内の批判者をなだめただけだった。そして、チャベスに交渉の仲介を求めることで、彼は、捕虜交換合意に到達しなかった責任を自分自身ではなくベネズエラ大統領のせいにしようとした。
一方、交渉が成功の兆しを見せたときには、外交プロトコルに従わないことで名を馳せていたチャベスが、ウリベに交渉を終わらせるために必要な言い訳を提供してくれることを知っていた。結局のところ、捕虜交換合意の成功はチャベスとFARCにより大きな点数をもたらすが、ウリベ- ---交渉では自ら側面に退いた----それほどの得点とはならないのである。したがって、コロンビア大統領の観点からは、交渉が成功の兆しを見せ、それによりFARCの国際的な立場が改善されることになりそうだったら、交渉をやめなくてはならないのである。
■ 12月1日・緊急シンポ
「究極の貧困を問うーー不安定雇用と住居喪失」
日時:12月1日 13時より16時まで
場所:山谷労働者福祉会館
(東京都台東区日本堤1−25−11)
主催:せ場野宿者運動全国懇談会
連絡先:神戸の冬を支える会
神戸市中央区中山手通1−28−7
078−271−7248
■ 首都圏青年ユニオン
首都圏青年ユニオンHPがあります。
■ 反戦平和映像作品一挙上映
日時:12月2日(日)13:30〜20:30
場所:東京八王子労政会館・第6会議室
入場:無料/途中入退場自由
主催:平和力フォーラム
連絡先:八王子市宇津貫町1556
東京造形大学・前田研究室
Tel:042-637-8872 E-mail:maeda@zokei.ac.jp
<上映予定作品>
『ブッシュを裁こう 』(2003年)
『ブッシュを裁こうPart.2 』(2004年)
『ブッシュを倒せ! 』(2004年)
『シンディ・シーハン――アメリカに響く呼び声』(2005年)
『イラク市民レジスタンス 』(2005年)
『進めイラク自由会議』(2006年)
『サナリアのメッセージ』(2006年)
『手をつなぐ人々 』(2006年)
『Jan.27ワシントン 世界へのメッセージ 』(2007年)
■ パトリオットミサイル配備に抗議する12・1集会・デモ
日時:12月1日(土) (雨天決行)
抗議集会:午後1時〜2時「津田沼1丁目公園」
(JR津田沼駅北口下車 徒歩2分)
デモ行進:午後2時〜2時30分 津田沼駅周辺
午後3時〜4時 薬円台公園⇒習志野基地⇒習志野演習場
■ PAC3ミサイルはいらない!1都4県交流集会
日時:12月2日(日)午後6時15分より
会場:東京・文京シビックセンター 3階AB会議室
(後楽園駅2分、春日駅3分、水道橋駅10分)
TEL:03-3812-7111
内容:問題提起:
「MD配備はどうなっているのか」(杉原浩司)
発言:各地の取り組みと課題
交流:今後の連携に向けた討論 など (ビデオ上映も予定)
資料代:500円
主催:12・2交流集会実行委員会
呼びかけ:
核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
平和の声・行動ネットワーク(入間)
パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会
非核市民宣言運動ヨコスカ ヨコスカ平和船団
連絡先:核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
■ 反戦と抵抗の祭<フェスタ>
日時:2007年12月1日(土)13時〜21時
場所:東京都千駄ケ谷区民会館・2F集会場
(東京都渋谷区神宮前 1-1-10)
主催:反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉2007実行委員会
tel: 070-5587-3802
blog: http://blog.livedoor.jp/r_festa/
e-mail: war_resisters_fes(at)yahoo.co.jp
■ 辺野古
真喜志好一さん講演会
「辺野古基地建設の真相を暴く」
日時:12月2日(日) 午後7:00〜(開場午後6:30)
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
住所&連絡先: 〒600-8216
京都市下京区西洞院通塩小路下ル
(JR京都駅ビル駐車場西側・京都中央郵便局西側)
TEL(075)353-9111
FAX(075)353-9121京都市下京区西洞院通塩小路下ル
最寄駅:JR京都駅
資料代:500円
どうか、辺野古からの緊急情報、辺野古からの緊急情報(携帯版)、基地建設阻止(毎日更新)、基地建設阻止(毎日更新携帯版)、高江の現状をご覧下さい。
カンパ振込先
振込先 郵便振替口座 01700-7-66142
加入者名 ヘリ基地反対協議会
■ “壁”の向こうに、耳を澄ませる
パレスチナ・ヨルダン川西岸〈占領地〉からの声
ファトヒ・クデイラートさん スピーキング・ツアー
パレスチナ反アパルトヘイトウォール草の根キャンペーンのファトヒ・クデイラートさんのスピーキング・ツアーが開催されます。
日時:2007年12月1日(土)開場18時・開始18時30分
場所:文京区民センター 3A会議室
東京都文京区本郷4 −15−14
東京メトロ丸の内・南北線「後楽園」駅から徒歩3分
都営地下鉄三田・大江戸線「春日」駅・A2出口直上
JR中央・総武緩行線「水道橋」駅より徒歩15分
資料代:1000円
日時:2007年12月2日(日)18:30〜20:45
場所:広島市まちづくり市民交流プラザ
資料代:500円
主催者:広島でファトヒさんと交流する会
協力:(社)アムネスティ・インターナショナル日本ひろしまグループ
連絡先:090-3177-7336(野間)
■ アジア・太平洋戦争を忘れない! 証言集会(14回目)
日時:12月8日(土) 午後3時〜
場所:横浜 エル・プラザ
(JR根岸線 石川町駅 徒歩3分)
参加費:1000円(高校生以下無料)
主催:アジア・フォーラム横浜
証言者:簫文虎さん(マレーシア・当時7歳)
『銃剣は母を貫いた』
講演:林博史さん(関東学院大学)
■ 南京事件70周年国際シンポジウム 東京
「過去と向き合い、東アジアの和解と平和を」
日時:2007年12月15日(土)〜16日(日)
会場:明治大学駿河台校舎・リバティタワー
参加協力券
一般:2日間 2500円、大学生・高校生:1500円
当日:一般 1日日1500円、2日目1500円
学生 1日目1000円、2日目1000円
15日(土) 10時開会
会場:明治大学駿河台校舎・リバティタワー6階 1068号教室
詳しくは南京事件70周年・国際シンポジウム実行委ブログをご覧下さい。