ブッシュはコロンビアのパラ(準軍組織)政府を支持し続けている

ギャリー・リーチ
2007年3月5日
Colombia Journal 原文


コロンビア政府が、急展開を見せている「パラ(準軍組織)政治」スキャンダルにますます大きく巻き込まれている中、ブッシュ政権は、コロンビアで民主主義が正当に機能しているかどうかについて疑問を呈しなかった。アレバロ・ウリベ大統領派の国会議員数十人、大統領の元キャンペーン顧問兼コロンビア秘密警察長官、ウリベ政権外相一家、そして軍のトップ数人が、政府関係者と右翼準軍組織「死の部隊」との癒着スキャンダルに関与していたことが明らかになってきているにもかかわらず、アメリカ合衆国政府は、ラテンアメリカにおいて米国ともっとも近しい同盟者であるコロンビアのアレバロ・ウリベ大統領を断固として支え続けている。コロンビアの民主主義に重大な欠陥があることを示す莫大な証拠にもかかわらず、ブッシュ政権はコロンビアにおける民主主義の正当性に疑問を呈したこともないし、米国国務省のテロ組織一覧にリストされているコロンビア準軍組織と密接な関係をもつコロンビア政府と軍に対する膨大な資金援助を検討し直そうともしない。

ブッシュ政権の内外でウリベ大統領の弁解を繰り返す人々は、コロンビア政府とコロンビア自警軍連合(AUC)に属する準軍組織との関係が明るみに出たのは、コロンビア大統領が右翼死の部隊と和平交渉を行った結果であると指摘する。そうした弁解者の一人に、右翼系シンクタンク「世界繁栄センター」の所長アルバロ・バルガス・リョサがいる。バルガス・リョサは最近のコラムで、ウリベは批判ではなく賞賛に値するとして次のように述べている:「多くの政府関係者がAUCと結託していることが最近明らかになったが、これについて語る人々は基本的な点を見逃している。これらが明らかになったのは、ほとんどすべて、ウリベ政権が開始したプロセスの中で政府がAUCに武器を置き、犯罪を告白し、体制との関係を隠蔽している秘密主義のベールを取り去るよう圧力をかけたおかげなのだ」。

このような主張は、単に、誤りである。解散の際の条件のもとで、準軍組織は、大量墓地を初めとする人権関係の問題については貴重な情報を提供したが、「体制との関係を隠蔽している秘密主義」のベールを取り去る重要な証拠は提供していない。実際のところ、AUCの指導者サルバトーレ・マンクソが「正義と平和法」のもとで自分の減刑を得るために犯罪を告白したが、その際に準軍組織と共謀していた政府・軍関係者として挙げたのは既に死亡しているか投獄されている人の名前だけで、現在進行中の癒着にとっては何ら脅威ではなかったのである。

パラ政治の調査が開始されるきっかけとなった情報のほとんどは、準軍組織指導者ロドリゴ・トバル・プポ----ホルヘ40という名でも知られ、やはり解体プロセスに参加していた----のラップトップから出たものである。しかしながら、ラップトップも、そこに含まれていた情報も、組織解体プロセスの一部として当局に提出されたものではない。このラップトップは、ホルヘ40の右腕だった人物が昨年逮捕された際、その持ち物の中から見つかったものである。検察がこの情報を手に入れたのは、刑事犯罪関係でこの人物を逮捕したからであり、それは準軍組織の解体とは何の関係もない。

コロンビア検察庁によると、このラップトップには、コロンビア北部で失業中の農民が準軍組織兵士のように振舞って解体プロセスに参加するために金が支払われ、その間、準軍組織はこれまでと同様に犯罪を続けていたことを示す証拠が含まれていたという。ラップトップに入っていた情報によると、こうした犯罪の中には、解体交渉に参加するために求められていた準軍組織の停戦期間中に、コロンビア北部の一地域だけで558人の個人を殺す行為も含まれていた。ラップトップにはまた、準軍組織と地方および中央の政治家、そして国家治安部隊との関係を示す証拠も含まれていた。パラ政治の調査は、ホルヘ40のラップトップに見つかったこの証拠から始まったのであって、「正義と平和法」のもとで得られた告白や証拠からではない。

ウリベ大統領は、この摘発に基づいてウリベ政権と準軍組織とのリンクを批判した国会議員をテロリストと呼んで非難することで応答した。政府と準軍組織の癒着にもっとも批判的な議員はポロ・デモクラティコのグスタボ・ペトロ上院議員で、15年以上前に解散した元M−19ゲリラの一員だった。ペトロを初めとする元ゲリラだった国会議員について、ウリベは「奴らは単に迷彩服を着たテロリストからビジネススーツを着たテロリストに転身しただけだ」と述べた。自国の民主主義の危機の真相を究明しようとしている大統領の口から、こうした扇動的な非難が出てくることは普通考えられない。

ボストン・グローブ紙に掲載された記事中の3つの段落が、コロンビアにおける民主主義の危機の規模をはっきりと示している。この記事は、このスキャンダルがこれまで生んだ影響の中でもっとも重要なものをリストしている。

ウリベ派の議員8人が準軍組織との共謀で逮捕され、全国および地方レベルの政治家数十人----その一部はすでに国外逃亡したらしい----が取り調べを受けている。・・・・・・勲章を受けたことがある軍の大佐が地位を剥奪され、他にも複数の軍士官が取り調べを受けている。

月曜日、ウリベ政権の外相マリア・コンスエロ・アラウジョが辞任した。最高裁が彼女の弟でウリベ派の上院議員を政治上のライバル誘拐に関与していたとして逮捕したあとのことだった。元州知事だった彼女の父と別の兄弟と従兄弟もやはり取り調べを受けている。

木曜日、最悪の打撃がやってきた。ウリベの選挙キャンペーン・マネージャーを担当し、のちにコロンビア秘密警察の長官となったホルヘ・ノゲラが検察庁に逮捕されたのである。ノゲラは、労働組合員と活動家の名を挙げた暗殺リストを準軍組織に提供し、それに基づいて準軍組織が殺人を犯していたとして告発されている。別の元秘密警察職員は、準軍組織と麻薬商人に関する警察の記録を破棄したとして禁固18年の刑を受け服役中である。

ブッシュ政権は、繰り返し、ウリベ大統領の側近の一部は犯罪で告発されたが、ウリベ大統領自身がこれらスキャンダルに直接関与したことは示されていないと指摘してきた。けれども、これは、最近米国政府が懸命に非民主的であると非難しようとしてきた他のラテンアメリカ政府に対する米国の態度と矛盾している。ベネズエラとハイチ----両政府の汚職やそうした汚職が人権侵害に関係しているレベルとしては、コロンビアとは比べ物にならないほど小さい----がそうした例である。2004年4月、アメリカ合衆国は、ハイチで民主的に選出されたジャン・ベルトラン・アリスティド大統領に対するクーデターを後押しした。民主主義に欠陥があるとして4年間にわたりアリスティド政権下のハイチに経済制裁を加えたあとのことであった。しかしながら、コロンビアのウリベに関する今回のケースと同様に、アリスティド派のグループによる選挙の不正や人権侵害をアリスティド本人と直接結びつける証拠はない。

2002年4月、アメリカ合衆国は、ベネズエラの民主的に選出されたウーゴ・チャベス大統領政権を転覆したクーデター政府をまっさきに承認した。クーデター政府を承認したのは米国を含めほんのわずかだった。そして、その二日後にチャベス政権が復帰して以来、ブッシュ政権は、ことあるごとにチャベスには「権威主義的傾向」があり「民主的な統治を行っていない」と示唆している。実際には、ブッシュ政権が権威主義的で非民主的であるとして非難しているベネズエラ政府の政策の多く、たとえばメディア法や最高裁の改革は、大統領令によって発布されたものではなく、ベネズエラ国会の賛成多数で採択されたものである。事実として、このプロセスは、アメリカ合衆国のジョージ・W・ブッシュ共和党大統領が共和党が多数を占める議会でお望みの法案を採択させるのと比べて少しも非民主的なものではない。

米国政府が繰り返す、ベネズエラの民主主義が脅威にさらされているという主張はまったく馬鹿げており、ブッシュ政権がコロンビアにおける民主主義の危機をまったく認めようとしないことを考えると、信憑性もまるでない。ヒューマンライツ・ウォッチのマリア・マクファーランドが最近ブッシュ政権について指摘したように、「彼らは意見を異にする指導者たちについては喜んで非常に厳しく非難するが、自分の仲間については見て見ぬふりをする」。

歴史的に言って、コロンビアでは、右翼準軍組織と癒着していた政府や軍の職員が罰を受けることはなかった。けれども、稀にではあるが、仕事熱心な検察官が人権侵害を明るみに出し、ときには裁きを実現することもあった。そうした検察の努力と同じく、今回、パラ=政治スキャンダルの調査にあたった人々が政府と準軍組織の関係を明らかにしたのは、ウリベ政権の政策によってではなく、それにもかかわらず、なのである。コロンビアで正義が実現されてきたのは常にこのようにしてであったし、今回のスキャンダルがそれらと違うことを示す証拠はほとんどない。

コロンビアの民主主義の暗部を掃除しようとしているという信頼をウリベが本当に得たいと考えているのならば、マンクソのような指導者たちが知っていることすべてを告白しない限り、準軍組織解体合意のもとで彼らが手にしている恩恵を剥奪すべきである。ホルヘ40のラップトップには現在も準軍組織と政府・軍の癒着が活発に続いている証拠があるにもかかわらず、マンクソが、死んだり投獄された政府・軍職員との関係しか明らかにしていないという事実は、批判者がこれまでもずっと指摘していたように正義と平和法が偽ものであることを示している。このことはまた、準軍組織を解体し、政府と死の部隊の癒着を終わらせることにウリベが真剣ではないことを示している。

それにもかかわらず、コロンビア政治の準軍組織化を批判するかわりに、ブッシュ政権は来年度、コロンビア向け支援として5億8600蔓延を要求している。しかも、そのうち75%がコロンビア政府治安部隊に割り当てられている。米国の対コロンビア支援について真面目な見直しがないならば、既に崩壊しているブッシュ政権の「世界中での民主主義促進」政策には、さらなる大きな打撃が加えられることになるだろう。


最近、ブッシュ米大統領がコロンビアを訪問してウリベ大統領と会談したことを踏まえての記事です。

コロンビアのヌカク人が故郷に戻ることができるようアピールを求めるキャンペーンがあります。サバイバル・インターナショナルのHPをご覧下さい。

●改憲手続き法

STOP ! 改憲手続き法  3・26国会へ行こうアクション 日時  3月26日(月) 18:00 〜 19:00
場所  衆議院第2議員会館前
   (地下鉄永田町駅、または国会議事堂前駅下車)
関連情報は許すな!憲法改悪・市民連絡会をご覧下さい

●イラク侵略から4年

ワールド・ピース・ナウ あいち(2007)

日時:2007年3月21日(水・春分の日)
 午後1時30分〜午後2時30分(集会)
 午後2時40分〜午後3時30分(デモ)
名古屋・伏見・白川公園(名古屋市科学館・南の公園)
(地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」下車・5番出口から南へ徒歩約5分)
呼びかけ/有事法制反対ピースアクション

名古屋4月14日シンポジウム

爆弾を落とし続けるアメリカ・平和を装い続ける日本

日時:4月14日(土) 10:30〜16:30
場所:名古屋YWCA
参加費: 800円
午前の部(10:30〜12:00)
 ビデオ上映
 『基地はいらない どこにも』 
 『ファルージャ2004年4月』
午後の部(13:00〜16:30)
 シンポジウム
 テーマ:『爆弾を落とし続けるアメリカ
      平和を装い続ける日本
      でも、只今 再編中
      〜米軍再編・イラク派兵・改憲〜』
 *板垣雄三さん(アラブ・イスラム研究者)
  イラク・中東情勢から
 *田村順玄さん(岩国市会議員)
  空母艦載機の受入れを拒否する岩国から
 *中谷雄二さん(弁護士)
  すすむ改憲の流れを止めるために

ワールド・ピース・ナウ3・21熊本

日時:3月21日(水・春分の日)
   10時30分 集会 辛島公園
   11時30分〜12時30分 パレード

ワールド・ピース・ナウ3・21長崎

日時:3月21日(水)14:00〜16:30
場所:教育会館2階大会議室
内容:講演 野中章弘(アジアプレス・インターナショナル代表)
 「イラク戦争報道のウソと真実?何が情報操作されたのか」

ワールド・ピース・ナウ3・21東京

日時:3月21日(水)13:30開会 15:00パレード出発
場所:日比谷野外音楽堂 パレードは銀座をまわって行くそうです


アラブ現代作家展

期間:2007年3月19日(月)〜31日(土)
場所:銀座 中和ギャラリー
   〒104-0061 東京都中央区銀座6−4−8曽根ビル3F
主催:特定非営利活動法人PEACE ON

●STOP六ヶ所 イベント

TOKYO 天空 NIGHT !!

日時:3月20日(火)
詳細はTokyo 天空 NIGHT!!をご覧下さい

六ヶ所村ラプソディ&ヒバクシャ上映

日時:4月14日(土)および5月13日(日)
   4月14日は六ヶ所村ラプソディを午前・午後2回上映
     京都大学の小出裕章さんの講演付き
   5月13日はヒバクシャを午前・六ヶ所村ラプソディを午後上映
     制作者の鎌仲ひとみさんの講演付き
入場:前売り2日券1500円・1日券1000円・当日券1300円
詳細はももんがともだちネット

●共謀罪に反対する院内集会

とき:2007年3月20日(火)12:30〜13:30
ところ:衆議院第2議員会館第1会議室
お話
 佐高信さん(評論家)
 石井小夜子さん(弁護士)
 寺中誠さん(アムネスティ・インターナショナル日本)
国会議員からの発言
アピール
 土井登美江さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)
 星川淳さん(グリーンピース・ジャパン)
 法律学者、市民団体、ほか
共催
 共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール
 共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会
 共謀罪に反対するネットワーク
連絡先
 アムネスティ・インターナショナル日本:Tel.03-3518-6777
 反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC):Tel.03-3568-7709
 日本消費者連盟 Tel.03-5155-4765
益岡賢 2007年3月18日

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