米国とコロンビア・テロリストの関係



ブッシュとコロンビアのテロリストとの関係

CounterPunch
2003年7月10日


米国大使館の上級官僚とテロリスト・グループの代表とが会談したという事実は、全国ニュースの大見出しを飾ると考えるかも知れない。けれども、先月、コロンビアの主要二紙が、ボゴタの米国大使館政治主任アレックス・リー及び大使館人権部の部長ステュアート・タトルが、5月4日、過去10年間、コロンビアで反対派や貧しい人々を恐怖に陥れてきた、コロンビア軍と強い関係を持つ準軍組織、いわゆる「コロンビア自警軍連合」(AUC)の代表と面会したと報じたとき、米国でそれに注目した者はほとんどいなかった。

米国国務省は、AUCを公式に海外テロリスト組織と指定している。すなわち、AUCと米国大使館スタッフとの面会は、完全に、テロリストとは交渉しないという米国国務省の政策に違反しており、「愛国法」にも違反しているかも知れない。匿名で話をしたある大使館の職員は、この会談の目的は、ひとえに、AUCの指導者サルバトレ・マンクソとカルロス・カスタニョという麻薬貿易のために米国で指名手配されている2名を逮捕し身柄引き渡しすることを望むという、米国国務省の希望を繰り返すことが目的だったと語った。

けれども、この説明は、全く説明になっていない。オサマ・ビン・ラディンの逮捕と身柄引き渡しを望むと改めて知らせるために、国務省は、アルカイーダの代表と面会するだろうか?今回の会談と比べれば、アルカイーダ代表との面会のほうが意味がありさえする。というのも、ビン・ラディンは隠れているが、カスタニョは繰り返し報道とのインタビューに答え、昨年はベストセラーになった本を出版し、最近ではトークショーにさえ出て、コロンビアのアレバロ・ウリベ大統領に反対する者たちに暗黙の殺害脅迫を発したりしているのである。米国が本当にカスタニョ逮捕に関心を持っているならば、カスタニョの次のメディア・イベントの際、コロンビア国家警察に、その場に行って彼を逮捕するよう要請すればよい。

準軍組織は、この会談は、カスタニョとマンクソに対する恩赦を交渉するために持たれたものであると主張している。これは、AUCと「平和合意」を交渉するというウリベの計画と整合性が取れている。このウリベの「平和合意」計画については、多くの人々が、準軍組織を合法化し、政府・軍の内部で準軍組織に新しい役割を与えるための隠された手段であると考えている。

テロリズムとの戦いに関しては、何が起きたのだろうか?ステュアート・タトルが執筆した、2003年の米国国務省によるコロンビアの人権報告によれば、2002年、準軍組織は、労働組合指導者たちや人権活動家たちを殺し、人々を誘拐し、一般市民を「人間の盾」として強制的に使い、村々を、根こそぎ、土地から追放した。報告はまた、米国の支援を受けたコロンビア軍と準軍組織との間に広範な協力関係があると認めている。

それにもかかわらず、米国国務省は、コロンビア軍が人権において十分な進歩を見せたため、コロンビアへの軍事援助を名の区ドルも送ることは正当化できると結論した。サウジアラビア軍の一部がアルカイーダと関係しているとするならば、国務省は、サウジアラビアに対して、その行為を浄化するために、第二・第三のチャンスを与えはしないだろう。なぜ、異なる基準が用いられているのか?答えの一部は、国際通貨基金(IMF)による、コロンビア経済再編の勧告に見られる。

IMFは、ある国の経済状態を改善する最上の方法は海外からの投資を促すことであるとの前提に立っている。そのために、IMFは、コロンビアに対し、貸付を受け続けるためには、コロンビアは「緊縮財政」(社会支出の削減)を行い、社会保障と労働者の年金を「構造改革」し、国営企業を私営化しなくてはならないと述べている。これにより、海外企業は、コロンビア政府が売却したビジネスを買い取り運営することにより膨大な利益を得る機会を手にすることになる。しかしながら、人口の半分以上が1日2ドル以下で暮らしている国で、これらの政策は、今でも不十分な経済的セーフティ・ネットを撤廃し、大量の公共部門の解雇を生みだすことになる。

IMFの政策と組み合わせになっているのは、「自由貿易」合意である。これにより、海外企業が、安い砂糖やコーヒー、穀物を市場にダンピングすることができるようになり、小規模農家を「失業」させる。コロンビア中で、小規模農家や教師、公益企業労働者、石油労働者、その他の人々が、こうした破滅的な経済政策に反対して立ち上がっている。政府は、こうした社会運動の指導者の一部を、政府転覆を狙う左派ゲリラを支援しているといった偽の罪状で投獄して黙らせたり、労働組合組織家たちを仕事から引き離し、より従順にするために「カウンセリング」を強制したりしている。けれども、準軍組織は、そうした中で、政府ができないことを引き継いで、反対派に対する殺人や脅迫、失踪などを行なっている。

コロンビア政府がいかなる犠牲を出しても「秩序」を維持しようと、準軍組織との取引を行なっている間、米国はそれを見ないことにしている。企業の利益を助けるならば、テロリズムはオーケーであるというのである。その観点からは、国務省がテロリストと面会したことは、全くニュースではない。



コロンビアの殺人者たちは米国で訓練を受けた

SOA Watch
2003年7月14日


7月13日は、「プラン・コロンビア」として知られる米国の対コロンビア軍事援助パッケージの3周年記念にあたる。これにより、人権に破滅的な影響を及ぼしたパッケージである。3年前、米国議会は「麻薬戦争」を戦うとして、コロンビアに13億ドルの援助を送ることを承認した。

米国法律修正は、現在、人権侵害に関係している部隊への軍事援助を禁止している。公式にコロンビア軍によるものであるとされる人権侵害は減ったが、ヒューマンライツ・ウォッチも米国国務省報告も、軍と準軍組織との共犯・共謀関係について明言している。

軍の支援を受けて、準軍組織は、軍の肩代わりをする「死の部隊」として、ギャング集団として活動を行なっている。国連報告もこの傾向を確認し、「軍のメンバーが、虐殺に関与し、準軍組織を組織化し、殺害脅迫を広めている。治安部隊はまた、対策を行なっておらず、このことが、準軍組織による殲滅作戦を可能にしていることは疑いない」と述べている。

これらの報告で名前が言及されているコロンビア軍士官の多くは、スクール・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)の卒業生である。SOAは、ラテンアメリカの兵士たちに対する米軍の訓練機関であり、SOAの生徒たちにとって、軍の汚い仕事をさせるために準軍組織を用いることは、全く新しいことではない。

ロベルト・ダビッソンは、1980年代のエルサルバドルにおける暴力の大部分を行なった「死の部隊」を設立した。ベネディクト・ルカス・ガルシアは、グアテマラで「市民防衛隊」の設置の親玉だった。SOAのエリート司令官コースを卒業したメキシコのホセ・ルベン・リバス・ペナは、「自警団をはじめとする準軍組織をチアパスで訓練し支援すること」を提唱している。

1998年の国務省人権報告は、SOAの卒業生であるコロンビアのヤニネ・ディアス将軍を告発している。ディアス将軍は「軍が行うことが禁止されている、対ゲリラ活動を行わせるために準軍組織を用いる戦略を実施したと非難されている。政府は文民統制のもとの法廷で彼を裁判にかけようとしたが、軍は力を伸ばし、治安部隊の最下層兵士以外の全ての兵士・士官は、不処罰の伝統の恩恵に被っている」。

ヒューマンライツ・ウォッチの報告書は、SOAの卒業生ヘスス・マリア・クラビホ少佐とアルヴァロ・コルテス・モリーヨ少佐が、準軍組織と、携帯電話やビーパー通信、そして軍基地での定期的な会合によりつながっていると述べている。宣誓証言において、コロンビア軍の第四旅団元兵士は、クラビホが、1999年に準軍組織が行なった殺害に関与しており、準軍組織が運んできた死体に賞金を与えることで「合法化」していると語っている。この目撃証人は、検察に対し、「クラビホが行くところはどこであれ、失踪、殺害があり、彼がいる場所ではどこでも、人権侵害の報告に溢れている」と述べた。

ヒューマンライツ・ウォッチは、SOAの卒業生でありコロンビア軍第三旅団の司令官でもあるハイメ・エルネスト・カナル・アルバン准将が、1999年南部コロンビアで「準軍」組織を創設し、それに武器と情報を与えたと述べている。

SOAの卒業生カルロス・オスピナ・オバージェは、コロンビア軍第四旅団と人権侵害を行なっている準軍組織との間に「全面的な関係があるという包括的な証拠」があった時代に第四旅団を司令していた。1998年から1999年に続けられた不法行為の証拠もある。オスピナ・オバージェの司令下で、第四旅団は、準軍組織とともに、1997年のエル・アロ虐殺に関与したとされている。

「我々は、これらの殺害に関与したとされる将軍たちや上級士官たちの名前を知っているが、何もなされてこなかった」とコロンビアの平和活動家ルイス・エデュアルド・グエラは述べる。彼のコミュニティは繰り返し、準軍組織の標的とされてきた。「我々は、準軍組織を訓練した士官たちがスクール・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)で訓練を受けたことを知っている」。



イラク特措法が衆議院を通過し、米国が始めた不法戦争に、自衛隊が参加し、人を殺しまた自らも殺される危険の中に派遣されようとしています。小泉首相は、揚々としていて自慢げです。異様なことですが、参議院の各議員や小泉首相に、反対の声を諦めずに提出していくことが必要だと思います。議員の連絡先は、ここにあります。

たまたま書店で見つけて、太田昌国著 『「拉致」異論---あふれ出る「日本人の物語」から離れて』(太田出版・1700円)を読みました(編集は前田年昭さん)。私(益岡)のページは海外事情の紹介が中心で、紹介する情報が、ともすると、米国の最近の振舞いに対して、歴史的な日本の位置を見ない心情的な「反米」型に消費されてしまう恐れがあるのではないか、と時に危惧しています。『拉致異論』は、朝鮮民主主義人民共和国の「拉致」問題に対する態度を直接のテーマとするものですが、(1) 日本の(一国平和主義を含む)国家主義の歴史的背景と (2) 日米関係の今日的形態、(3) 日本の植民地主義といった問題について、とても重要な視点を提出しているもので、とても勉強になり、考えさせられる必読書です。

益岡賢 2003年7月15日

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