2月18日、ニジェールのMamadou Tanjdja大統領がクーデターで倒れた。クーデターを起こした軍人グループの長はSalou Djibo 少佐であり、「民主主義回復最高評議会」と名乗っている。
2月20日には、ニジェールの労働組合連合の呼びかけで、10,000人が、「Tandja 打倒」を支持する集会を開いた。またこの集会は、軍事政権に対して、選挙を行なうことを要求した。
しかし、軍事政権が、ニジェールの極度の貧困の原因に真剣に取り組むことはないだろう。ニジェールの貧困は、IMFや先進国が押し付けたネオリベラルの緊縮政策と、環境・社会を破壊するニジェールの天然資源、とくにウラン資源の、略奪にある。
今回のクーデターは1974年以来、4回目である。そして、Tandja 自身軍人であり、その中で少なくとも2回のクーデターに関与している。Tandjaは1999年と2004年に大統領に選出された。その10年間、ニジェールは飢饉、民族紛争、人権侵害の下に置かれた。
今回の軍事クーデターは、昨年5月、Tandjaが一方的に国会を解散したことに遡る。これは、Tandjaが提案した新しい憲法草案についての国民投票に対して、連立政党が反対して、連立から離脱したことに対する報復であった。そして昨年6月26日、Tandjaは非常事態を宣言し、8月4日、国民投票を強行した。
野党連合と労働組合は不法な国民投票に反対し、ボイコットを呼びかけた。そして、ストやデモが続いた。今年2月14日には、10,000人がデモをして、Tandjaの退陣を要求した。軍事クーデターはその4日後に起った。そして、軍事政権が政治権力の交代を図るはずはない。なぜならTandja自身と同じ将校たちだからだ。彼らは、Tandja と共に以前のクーデターを計画した仲間であった。
このように、ニジェールに軍事クーデターがしばしば起る理由は、地下に埋蔵するウラン鉱にある。1960年、ニジェールがフランス植民地から独立した時、すでに、鉱物資源に対するフランスの優先的開発権と、引き続きフランス軍の駐留を認めるという密約を結んだ。したがって、ニジェール軍はフランス軍によって訓練され、フランスの武器で武装し、フランスが費用を支払っている。
独立当時は、フランスのカイライだったDiori Hamani が大統領の座に着いた。しかし、70年代に入ると、Hamani は政治路線を変え、フランス軍の撤退交渉をはじめた。そあいて、彼は1974年のクーデターで倒された。ウラン鉱の支配を目論むフランスの報復であった。
フランスは、最大の原子力エネルギー国である。電力の80%を原子力に依存している
ばかりでなく、近隣の国にも原発電力を輸出している。またフランスは核兵器を保有している。これらは、ニジェールのウランに依存している。
一方、ニジェールは世界で第3位のウラン輸出国である。ウランの輸出先はフランスばかりでなく、米国、南アフリカ、中国、カナダ、オーストラリアにも開発権を与えている。しかし、ウランの開発はフランス籍「アレバ社」が行なっている。アレバ社は、世界最大の原子力複合産業であり、フランス国営「アトミック・エネルギー委員会(CEA)」が一部株式を保有している。1960年、独立の際、アレバ社は市場価格より低い価格で取引するという秘密協定を結んでいる。アレバ社が輸入するウランの45%はニジェール産である。
フランスのアレバ社との秘密協定の結果、ニジェールにもたらされるカネは僅かなものある。しかし、このわずかなカネを巡ってクーデターが起った。さらに米国などの参入により、ニジェールのウランが急速に枯渇するという危険がある。
ウラン鉱は、ニジェールの北部の荒地にある。ウラン鉱の採掘には、地下水を多量に使い、放射能で水、空気、土壌を汚染し、さらに放射能に汚染された廃鉱石を道路建設に使うなど、環境汚染の問題は深刻である。しかし、Mohamed Aketey 環境大臣は『アルジャジーラ』テレビに対して、「政府には、鉱山の環境汚染をモニターする能力がない」ことを認めている。 |