世界の底流  
イスラエルに武器援助しているのは誰か?
2006年9月18日

 
 世界のマスメディアは、ヒズボラにシリアとイランが武器援助していることが、レバノン戦争の主な原因であるかのように非難されているが、一方、米国がイスラエルに巨額の武器を援助していることについてはなぜか沈黙している。
 実際、過去30年間以上にわたって米国はイスラエルに最新武器を供与してきた。そして、イスラエルは米国の軍事・経済援助の最大の受益国である。過去20年間でも、イスラエルは米国から毎年、30億ドルの軍事・経済援助を受けてきた。米国の軍事援助額はイスラエルの国防費の20%以上を占めている。
 イスラエルの人口はわずか700万人である。しかし、過去10年間、米国の軍事援助総額は170億ドルに上る。
 またイスラエルは米国の最大の武器輸出国の1つである。データが明らかにされた1996〜2005年、イスラエルは米国から総額100億1,900万ドルの武器とその部品を購入した。そのうち、85億8,000万ドルは米国の対外武器輸出プログラムによるもので、残りの16億1,000万ドルは民間商業輸出によるものである。
 2001〜2005年、ブッシュ政権時代に、イスラエルは「対外軍事融資(米国防総省の対外軍事援助プログラム)」にもとづいて、105億ドルの軍事援助を受けた。さらに「米国の武器輸出計画」により、63億ドルの武器援助を受けた。この援助額は実際に供与された額よりも大きい。なぜなら、これには、武器援助協定の額であって、その後、供与される武器の部品の供与分を含んでいるからである。そのケースの例の1つに、45億ドルにのぼるロッキード・マーチン社のF-16s戦闘機100機の供与が挙げられる。

 毎年、イスラエルは米国から何十億ドルもの武器援助を受けており、これがイスラエルの武器庫の中枢的な役割をしていることを考えると、米国はイスラエルに決定的な力をもっているはずである。たとえば、ヒズボラとイスラエルの紛争がレバノンの市民に大きな損害を与える以前に、米国はイスラエルに圧力を掛けることが出来たはずだ。しかし、ブッシュ大統領は、あいまいな「抑制を促す」ことしか言わなかった。その代わり、シリアとイランのヒズボラへの武器援助を持ち出してきたのであった。

米国防総省のデータによると、

米国からイスラエルへの武器の販売額 軍事援助額は
2001年 7億7,004万ドル           28億1,364万ドル
2002年 6億3,085万ドル           27億8,800万ドル
2003年 8億6,241万ドル           36億8,245万ドル
2004年12億9,707万ドル           26億2,442万ドル
2005年27億6,281万ドル           26億  957万ドル
2006年(推計)                  25億3,133万ドル
2007年(推計)                   24億6,032万ドル
合計  63億2,318万ドル     195億  973万ドル