世界の底流  
モハメド・アタは米国防省のエイジェントであった?
2005年11月19日

  この記事は、05年8月27日の日付で、『International Relations and Security Network(ISN)』に発表されたチューリッヒ工科大学のDaniele Ganser博士の分析にもとづくものである。Ganser博士は、「秘密戦争」を専攻しており、安全保障研究センターの上級研究員である。
  これは、米国の公式に発表された資料や報告書にもとづいて書かれたもので、9.11事件にモハメド・アタと他の3人がペンタゴンの秘密作戦に果たした役割を明らかにしている。これは、米国政府に9.11調査委員会が提出した公式報告書と真っ向から対立する。
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  9.11事件から4年たった今日、新たに暴露された米国防省(ペンタゴン)の極秘作戦によって、我々の知らなかった新しい事実が明らかになった。
  これまでブッシュ政権、ならびにThomas Kean委員長とFhilip Zelikow事務局長による9.11調査委員会の公式報告書によると、エジプト人の過激派アタは、9.11事件の主犯であるとされた。Kean報告書によると、アタは9.11の戦術的リーダーであった。 
  アタは、2001年9月11日、最初にニューヨークの世界貿易センターの北ビルに突入したAA11号機のパイロットであった、という。アタの顔写真は、イスラム・テロリストのシンボルとして世界中のテレビや新聞に繰り返し掲載された。Kean報告書によると、アタは米国内での作戦の“戦術的司令官”であった。
  ブッシュ政権もKean委員会も、アタは遠く離れたアフガニスタンのオサマ・ビンラディンからの指令で動いていたという。
  4年後、この説はひっくり返ってしまった。アタは、米国内のペンタゴンの特別作戦司令部(SOCOM)の極秘作戦に関係していた。Anthony Shaffer陸軍中佐によると、「Able Danger」という暗号名の極秘のプロジェクトでは、アタと他の3人が、事件の1年前にアルカイダの支部に潜入した、という。Shafferは42歳、カンサスシティ出身で9.11事件当時はワシントンで、国防情報局(DIA)に勤務していた。したがって、ペンタゴンの極秘作戦のことを知ることが出来た。
  Shaffer は、Able Dangerは18カ月に及ぶ極秘の作戦を執行するものであった、という。それはデーター発掘技術を使って、アルカイダの行動パターン、組織図、関係組織などの情報をグローバルな規模で集める任務を託されていた。Shafferがアタたち4人の名前を知ったのは2000年半ばであった、という。
  Shafferは、この極秘情報を漏らすのが非常にデリケートであることを十分に知っていた。そこで、Shafferは、米下院のDennis Hastert議長(共和党イリノイ州選出)と下院情報委員会のPeter Hoekstra委員長(共和党ミシガン州選出)の2人に相談した。この2人は、Shaffer が秘密を暴露するのは正当なことだと保証した。
  Shafferは、今年8月8日、下院軍隊・国内治安委員会のCurt Weldon 副委員長(ペンシルバニア選出・共和党)の事務所で、名前を隠してメディアにリークした。
  Shaffer陸軍大佐が、Able Danger作戦を暴露すると、メディアからは、この極秘作戦にアタが果たした役割についてではなく、アタが9.11を計画していることをペンタゴンの中で誰が知っていたのかということに質問が集中した。
  ペンタゴンはAble Danger作戦の存在を認めたが、アタと3人が1999年に加わっていたということを否定した。
  ここで9.11に立ち戻って考えてみよう。唯一の証人であるアタはすでに死んでいる。しかし、Shafferは生きている。かつて彼は、このことをFBIに知らせて、アタの逮捕を申請したが、ペンタゴンの弁護士が介入し、逆にアタを保護した。その理由は今日に至るまで、不明である。
  567ページに及ぶ9.11調査報告書は、Able Danger作戦、あるいは他のSOCOM作戦について触れていない。逆に、将来テロリストから米国を守るための勧告として、415ページでは、SOCOMは、これまでCIAの管轄下に置かれていたのだが、今後はより大きな権限が与えられるべきだと、書かれている。
  Shaffer大佐は、Kean報告書は9.11事件の真相のすべてを書いていない、という。Shaffer は、Zelikow委員長にAble Danger作戦について報告したが、Zelikowは、これを「時系列的に見て、関連がない」として、このデーターを書き込まないことにした。もしそうならば、そして、報告書に書いてある通り、アタが戦術的なリーダーであるとすれば、そしてさらに、Shafferが暴露したように9.11前にSOCOMがアタを保護したのだとすると、9.11調査報告書は信頼できない。我々は欺瞞と隠蔽の海に放り出さされてきたのだ。