DebtNet通信 (番外編)  
「インドネシアのスハルト債務の帳消しキャンペーンについて」

プレスレリース
2006年6月12日

アジア太平洋資料センター(PARC)/途上国の債務と貧困ネットワーク(DebtNet)

私たちは、1998年10月以来、「貧しい国の返済不可能な債務の全面的帳消し」を求めるジュビリー2000の国際キャンペーンを展開してきました。G7各国をはじめ60カ国以上が参加し、G7首脳ならびに毎年のサミット会議に対して、署名運動や「人間の鎖」行動をもって要請しました。その結果、日本を除くG7各国は2000年までに、これに遅れて日本は2002年12月10日に、重債務貧困国42カ国に対して2国間の債権を放棄しました。さらにIMF・世銀の多国間債務については、IMFは2005年9月の年次総会で、世銀は今年4月の春季会議で18カ国という国の数の制限はありますが、ともかく全面帳消しを決定しました。残りの重債務最貧国に関しては、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)の指標の達成度によって、今後、随時帳消しされていくことになっています。そこで、今後も要請活動を続けていく必要はあります。

しかし、これをもちまして、当初ジュビリー2000が掲げた目的は、限定的にはありますが、基本的には達成されたことになります。

2000年の国連特別サミットは、2015年を最終年とした「ミレニアム開発ゴール(MDGs)」を採択しました。これは2015年までに「貧困を半減する」など国際社会が総力を挙げて、最優先課題として取り組むべきものです。そのためには、まず第1に、途上国が抱えている重い債務を削減しなければなりません。

MDGsの達成のために、私たちは、国際ジュビリー・キャンペーンをさらに一歩前進させなければなりません。したがって、これまでのように重債務貧困国に限定するのではなく、中所得国の不法な債務(Odious/Illegitimate Debt)を帳消しにすることに取り組んでいくことになりました。

中所得国の債務に関しては、すでに、2005年10月、ナイジェリアがアバチャ将軍軍事独裁政権時代(1993〜98年)の不法な債務について、パリ・クラブは帳消しを決定しました。ただし、これには、ナイジェリアがそれに近い額を逆に支払うことが義務づけられるという条件がついています。

また、米国のイニシアティブで、2004年11月、パリ・クラブはイラクのサダム・フセイン時代の債務を80%も帳消ししました。
その他、2000年7月、アルゼンチンの連邦裁判所が、オルモス弁護士の訴えによる裁判で1976〜83年の軍事独裁政権時代の債務を不法なものであるという判決を下しました。

以上の例にもありますように、現在、国際レベルでは独裁政権時代に発生した債務について、「不法」として、帳消しにする趨勢にあります。私たちはこれをさらに推進したいと思います。

私たちは、インドネシアのスハルト時代、フィリピンのマルコス時代の不法な債務を取り上げ、調査し、これを帳消しする国際キャンペーンに取り組むために、以下のような国際会議を開きます。

会議名:「不法な債務の帳消しを求める国際会議」
日時:2006年5月27〜29日
場所:Atlet Century Park Hotel、ジャカルタ、インドネシア
主催者:Reality of Aid、INFID、IBON、PARC
参加者:インドネシア、フィリピン、日本、ヨーロッパ、アフリカ、米国など

日本からの出席者:井上礼子PARC共同代表、大倉純子九州ジュビリー代表、北沢洋子DebtNet共同代表
連絡先:アジア太平洋資料センター 03−5209−3455