「東電と共に脱原発をめざす会」 質問書 2022年8月3日に提出した質問書 |
3.11事故が起こる前から隔月で開催されている 「東電と共に脱原発をめざす会」 に私も数年前から参加。 遅まきながら順次公開する(できれば過去にも遡って) <私の質問書(8月3日)> 2022年8/30対話会向け事前質問 東京電力HD(株)立地地域部原子力センター 渡井様 2022年8月3日 木村雅英 東電福島第一原発(イチエフ)事故後11年5カ月。福島は全く終わっていません。ウクライナ戦争下のチェルノブイリ原発の状況を見ても、福島県民や国民の不安は募るばかり。事故を経験し現状を目の当たりにしている東京電力が、相変わらずトラブルを起こし続けながら未だに原発推進することに憤りを覚えます。皆さんが注力するべきことは福島第一原発です。 地球上の総ての生き物に傲慢でない施策を東電に求めます。納得できる回答をお願いします。(余談ながら、国の税金をふんだんに使っている東電の皆さんが夏休みをとる為に、暑いさ中クーラーも点けずに4週間も前に質問拙文を書いていると怒りが増します。)質問1 【全般】 皆さんの受けとめ 前回の文書回答と6月15日会合を受けて感じたことを以下に再掲します。 ・東電の原発推進政策会社としても社員一人ひとりとしても「コメントは差し控え」られ残念です。 何度もいいます『あれはあれ、これはこれ」は成り立ちません。 ・放射能汚染の影響事故年3月末日までの総放出量が一千ペタベクレルを超えるとの回答。11年間の総放出量を分かりやすく説明してほしい。 ・イチエフ中長期ロードマップ 「復興と廃炉の両立」の回答では具体的姿が不明確で展望も見えない。廃炉作業も頓挫している今、ロードマップ見直しが急務です。 ・イチエフ汚染水対策希釈も拡散も解決にならない、地元漁協との約束を無視してIAEA・規制委頼みの「海洋放出」計画と工事強行に怒りを覚えます。原子力規制委員会による反対意見無視、問答無用の「審査合格」を私たちは信じません。 ・地下水流入対策汚染水「放出」よりも優先して取り組んでいただきたい。 ・イチエフ事故責任「3つの誓い」「7つの約束」を守ってほしい。 司法判断を考慮すれば、賠償審査会の中間答申も改訂が必要。 東電株主訴訟の「13兆円余の賠償命令」を東電は重く受けとめるべき。 ・イチエフ事故原因追求 原因追及は道中半、11年経って事故調査委員会の立上げが必要。 ・柏崎刈羽原発「一連の不適切な事案」が続いている。原発を断念する勇気を持って。 ・被ばく労働について何度も言います、個人情報保護口実の被曝隠蔽をしないで。 ・東電のコンプライアンス 東電は率先して原発をやめて再生可能エネルギーに専念すべき。 質問1ー1 以上のそれぞれについて、東電として、あるいは対話会ご参加の皆さんとして、受けとめと反論をお聞かせ願います。 以下は、前回までのご回答を受けて及び最近の動きからの質問です。 質問2 【東電の原発推進政策】 事故直後と、その後の11年間と、今 前回にお答え頂けなかった部分を踏まえ、新たにお聞きします。 質問2−1 3.11直後事故直後「最悪のシナリオ」(近藤駿介)に対して、「全力を投じ、災害規模の拡大を防ぐことができた」と回答されました。最悪シナリオが起こりえたことへの東電の受止めを再度お尋ねします、今東電に残っている皆さんの真摯な受けとめをお尋ねします。 質問2−2 ウクライナの戦争により原子力発電所が核兵器同様に危険であることが明らかになりました。チェルノブイリ原発をいち早くロシア軍が征圧し、山火事が起こり、多数のロシア兵が被曝し、ザポリジャ原発もロシア軍が征圧し、どちらもその後一帯を弾薬の集積場所や司令部の拠点にしていると報じられ、世界中を不安に陥れています。 また、更田原子力規制委員会委員長は3月中旬に 「直接的な武力攻撃については、軍事情報にアクセスする立場になく、対策についての議論は事実上無理だ」、「大きな爆発力を持っていれば、攻撃を受けただけで放射性物質を飛び散らせるので防護する手段は事実上ない」と答えています。 これに対して前回東電は「外交上・防衛上の観点から対処されることであると認識しており、事業者がお答えする立場にありません。」と回答されました。 事業者として無責任ではありませんか? 上記リスクについての東電の責任範囲を明示してください。 質問2−3 司法判断と事業者責任についての質問です。 〇6月17日、避難した住民らが国相手に起こした集団訴訟で、最高裁が事故を防ぐ時間がなかったとして国の賠償責任を否定する判断をくだしました。 最高裁の判決をどの様に受けとめましたか?国に賠償責任は無いと東電は考えていますか?一方、三浦守裁判官が、国が東電に規制権限を行使しなかったのは「国家賠償法1条1項の適用上違法だ」とする反対意見を書きました。この反対意見について東電はどう受けとめましたか? 〇7月13日、東電の株主代表訴訟で、勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長ら元役員4人に13兆3210億円の支払いを命じる判決が言い渡されました。東電はこの判決をどの様に受けとめましたか?旧4経営陣と現東電との関係、特に金銭関係を確認させてください。裁判費用などはどう扱われるのですか? 質問2−4 日本原電の東海第二の為の資金支援について 東京電力は2019年秋に日本原子力発電への2200億円の資金支援を決めました。東海第二は司法により稼働を止められ稼働予定も延期続きです。資金支援のその後の経緯を確認させてください。直ちに回収することはできないのですか? 質問3 【放射能汚染の影響】 質問3ー1 イチエフ放射能汚染の実体 前回の回答urlに該当PDFが見つかりませんでした。それにしても改めて、各年の気体・液体・固体の年間推定放出量を明示していただけませんか? また、前回「海に排水している地下水バイパス及びサブドレン他の浄化水に含まれる放射性物質としては、セシウムは測定結果は不検出(ND)が続いており、放出量としては0(ゼロ)としております。」とご回答いただきましたが、実際の海への放出量をゼロと断定できる根拠を再度説明してください。セシウム以外はどうでしょうか? 質問4 【イチエフ中長期ロードマップと実施計画】 前前前回のご回答で、イチエフ「廃炉」が全く姿も見えず定義もされず、「30〜40 年後の廃止措置終了を目標に、燃料デブリ取り出し等の廃炉作業や研究開発等の進捗状況を踏まえ、地元の方々をはじめとする関係者の皆さまや国、関係機関等と相談させていただきながら、検討を進めていくことになる」状態であることを確認しました。 前前回は「復興と廃炉の両立」の目論みについての質問に「より一層のリスク低減や安全確保を最優先に、地域とともに、廃炉を着実に進めていくことが重要と考えており、廃炉関連産業の活性化を通じて、福島の復興に力を尽くしてまいります。」との回答でした。 さらに前回のリスク低減についての質問に「燃料デブリや使用済燃料プール内の燃料等が主なリスクとして存在し、リスク低減対策に取り組み、より管理された状態にしてまいります。」とのご回答でした。 質問4−1 以上の状態を長らく放置する理由を教えてください。 今後のロードマップの見直しのスケジュールについての東電の考えを教えてください。 質問4−2 福島の方々の願いは「事故前の生活を取り返して欲しい」だと私は考えます。東電はそう考えませんか? もしそうだとしたら東電はどう答えますか?質問4−3 「廃炉中長期実行プラン2022」を拝見しました。向こう3年の計画を確認し向こう10年までの実行プランなのですね。皆様のご苦労は大変だと思います。特に、真夏にも防護服に身を包み汗拭きも排便も制限されている労働者のご苦労はいかばかりかと想像します。皆さんが当面実施すべきことをされていると信じたいです。 だからこそ、「廃炉」の姿・定義を法律で明確にして、しっかりとした「廃炉」ロードマップを早急に作り直すことが必要だと思います。次の世代に負債を押しつけてしまうことは確かですが、今生きている「国民」を欺いて嘘のロードマップを続けないでいただきたい。 責任主体である東電が早急にロードマップの見直しを提案・推進することを強く要望します。 質問5 【イチエフ汚染水対策】 汚染水海洋投棄(「海洋放出」)計画 東電が<「ALPS処理水の海洋放出に係る放射線影響評価報告書(設計段階)」に対する意見募集>に400件余りの意見が出て修正し、7月22日に<東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画 (ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)の変更認可>に対しては1200件余りの反対意見が出たにも拘らず原子力規制委員会が審査合格を決定しました。パブコメにも書いた様に、IAEAレビューを含めてこれらは私たちにはとても納得できることではないことをお伝えしておきます。特に東電の放射線影響評価報告書では、この「海洋放出」の環境影響評価に全くなりえていません。また、漁協・水産業・地元ほか私たちを含め多くが反対していることを再度お伝えします。 質問5−1 福島港内の海底土の汚染状況をどう把握しているか教えてください。今後の「海洋放出」による影響をどう推定していますか? 質問5−2 世界三大漁場のひとつである北西太平洋漁場への影響をどう予測しているのですか? 質問5−3 漁協は今も反対 次の報道をご覧願います。 <7月27日は、東京電力の担当者が海洋放出の計画の説明のためにいわき市で開かれた県漁連の会議に出席しましたが、会議の冒頭、野崎会長は「処理水の海洋放出については反対であるということはいささかも変わらないということを改めて表明しておきたい」と話し、海洋放出という処分方法をとるかぎり反対する姿勢は変わらないとする考えを強く示しました。>(NHK) 東電はこれ以上ごり押しを続けるべきではありません。直ちに「海洋放出」を断念してください。 質問5−4 この問題に関してIAEAレビューなど国際的な協力を得ている様ですが、東電はどの様な海外原子力関係会社や国際的原発関連組織と交流しているのか概要を教えてください。質問5−5 8月2日に福島県知事と大熊町長と双葉町長が海底トンネルなど放出設備の本体工事開始に同意したと報道されました。漁業関係者や県民や国民の合意形成無きままの工事推進に強く抗議します。なぜ強引に工事を強行するのですか? 質問6 【地下水流入対策】 「海洋放出」の前に、汚染水とALPS処理水の増加を止めること、すなわちイチエフ建屋への地下水流入量を減らす方策の重要性は理解され、2025年までに約100m3/日にまで抑制するべくご努力されると理解しました。 質問6ー1もう一度、過去の流入水対策の目論みと最近の流入量を確認させてください。確か2021年の実績は160?と発表されたのに、今は130?まで低減と発表されています。 質問6ー2東電が計画どおり「海洋放出」する場合に、今後のタンク汚染水(処理水)の量がどう変化するのかの目論みの図を示してください。まずは、東電が掲示しているポータルサイトのタンクの図で毎年どの様に保管水が減っていくのかを示してください。なお、同サイトでは8月2日時点で3月31日現在の数値しか出ていません。もう少し頻繁に増減を示すべきではありませんか? 質問7 【イチエフ事故責任】 <「3つの誓い」、「7つの約束」、「福島原発告訴団」裁判、あらかぶ裁判、多数の損害賠償裁判などから、前前前回のご回答「当社が行ってきた原子力安全改革の原点に立ち返り、何が不足していたのか、何が間違っていたのか、途中で劣化していたのか等、徹底的に調査し、対策を講じることで、自律的に改善できる組織に生まれ変わることが重要であると考えております。」を信じることができません。会社として態度で示してください。>と前回に書き、「改めてお詫び申し上げ」られました。 質問7ー1 イチエフ事故対策費用が当初5兆円から22兆円と約4倍に達したことについての質問に対して、「東電改革提言で示された金額は、当社が行った見積もりではなく、確たることは申し上げられません」との回答。あまりに無責任ではありませんか? 組織間の多くの祖語があったとしても、当初どう考えて5兆円と見積もり、その後どのような見込み違いで4倍に達したのかきっちり説明してください。その総括が無い限り、今後の見込みも全く信用できないことになります。経産省も東電も、税金を消費しながらあまりに無責任ではありませんか。 質問8 【イチエフ事故原因追求】 質問8ー1 「福島原子力事故発生後の詳細な進展メカニズムに関する未確認・未解明事項の調査・検討結果」取りまとめの予定をお教え願います。次回(第6回)は公表されたのでしょうか? 質問9 【柏崎刈羽原発について】 質問9ー1 「核物質防護違反」の他にも、柏崎刈羽でもイチエフでも多くのトラブルが続出しています。これらからも汚染水「海洋放出」を東電に容認することが非常に危険だと考えます。私たちの心配を理解できますか?質問9−2 柏崎刈羽6,7号の原子力規制委員会審査はどのような状態で再稼働はいつを目指していますか? 質問10 【被曝労働について】 質問10ー1 前回教えていただいた「福島第一原子力発電所作業者の被ばく線量の評価状況」から月々の表を見ました。東電としてはこの11年間の被ばく線量推移をどの様に評価されているのでしょうか? 質問11 【東電のコンプライアンス、原発やめて再生可能エネルギーを】 質問11ー1 前回の質問を少し加筆して再掲します。<大事故を起こし「廃炉」までの先も見えない。また国の「エネルギー基本計画」でも「可能な限り原発依存度を低減」と決めたはず。ウクライナ戦争でエネルギー切迫を口実に原発推進は火事場泥棒。逆に、戦争は原発が自国に向けた原爆になりうること、使用済み核燃料プールも冷やし続けないと危険なことが明らかになりました。 日本原燃(社長は増田元東電副社長)の六ケ所再処理施設が26回目の完成延期を発表、危険な廃液を抱えた東海再処理施設でもガラス固化が難航、核燃料サイクルが破綻。 今こそ、事故を起こした東電が脱原発・再エネに方針転換するべきと考えます。> これに対して、天候に左右されない、燃料資源が世界に分散、地政学的リスク受けず安定的に燃料確保、それゆえバランスよく最適な電源ポートフォリオ実現の為に原子力発電が必要、と答えられました。でも、この程度の理由の為に、非常に危険で核ゴミを貯め人と生物と地球を放射能汚染する原子力発電を残すことは、ナンセンスだと思います。 ご回答で紹介いただいた東京電力グループ<長期的な安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた事業構造変革について>(2022年4月28日)をざっと拝見、素晴らしい事業構造変革の計画と感じました。東電も原子力に固執しているのでなく、私たちから見て当然と思われることも考えられていると感じました。 この資料で、原子力の文字をカウントしたら9、風力14,太陽光29,蓄電35と比較して非常に少ない。エネルギー基本計画でベースロード電源とされているからやむなく原子力を残している様に見えます。言い換えれば、この資料から原子力を取り除いても、何ら問題が無いと言える資料だと思います。 原子力センターのみなさんには厳しいこととは存じますが、東京電力がいち早く原子力から撤退することを切にお願いします。そしてイチエフの廃炉、汚染水対策には丁寧に対応していただきたいです。ご回答を期待します。 (夏休み中に良いご回答をご準備いただくと嬉しいです。) 以上 |