原子力規制委員会は再稼働推進委員会・被曝強要委員会!
その263 2024年5月18日
能登半島地震が教える「活断層評価を見直せ!」
〜「想定外」を繰り返すな、変動地形学を尊重せよ〜
天を恐れよ
能登半島地震が私たちに教える地震の怖さに原子力規制委員会は目をつむっている。これで
は私たちの命と健康と環境を守れるはずがない。そのことを、小野有五さん(地理学、北海道
大学名誉教授)と鈴木康弘さん(日本活断層学会会長、名古屋大学減災連携研究センター教
授)が警告している。ところが、原子力規制委員会は技術情報検討会を経てからと、原発を止
めようとも地震審査を見直そうともしない。「天を恐れよ」の警告を無視している。
沿岸の活断層が地震性隆起を起こす・変動地形学を尊重せよ
小野有五さんが、能登半島地震が「沿岸の活断層が地震性隆起を起こすことが実証された」、
「海底活断層の認定について、従来の音波探査だけでは不十分で、変動地形学的手法によら
なけらばわからないことが明らかになった」と語った。
(「ZOOMで語ろう脱原発」、4月29日、再稼働阻止全国ネットワーク)
繰り返される「想定外」
 以下は雑誌「世界3月号」の「能登半島地震と活断層」(鈴木康弘)から。
能登半島地震は「想定外」ではない。政府の地震調査研究推進本部の地震調査委員会におい
て、海域の活断層の地震発生予測が遅れ、津波の原因としては考慮されながら10年以上も放
置されていた。
沿岸活断層が見過ごされた科学的理由は、活断層が5km以内に近接する場合には一連で活
動すると予測されているのに審査では必ずしもこの考えが採用されなかった、沿岸海域の調査
の主流が音波探査であった、沿岸部では最近数十万年間の新しい地層が削られ薄くなってい
て判断が難しい、沿岸海域の詳細な地形学的調査がされているのは3%に過ぎない。
沿岸活断層が見過ごされた社会的理由は、地震対策費が高額になることを恐れて海底活断層
のデータは沖合いには長い断層が数多く認定されているのに沿岸の活断層はいずれも短い、
大津波の危険性をできるだけ考慮しなくてすむようにしようという関連業界・学会の動き、従来
の調査手法や判断のあり方に問題。
長大活断層の活動頻度が過少に見積もられていた、大規模な地震が起きると、ひとつの断層
だけが活動するのではなく、遠く離れた活断層も同時にずれる。
これからどうすべきか?
(1)沿岸海域の活断層が盲点。沿岸活断層をこれまでとは異なる手法で調査して、陸上と同様
に国土地理院の活断層図を示すべき。
(2)海岸地形を見直し、海成段丘が標高の高い場所にあるのにその原因が明らかになってい
ない地域をリストアップし、沿岸に海底活断層がある可能性を見極め、調査戦略を熟慮する必
要がある。
(3)活断層評価をまとめる地震本部の体制を見直し、組織そのものの位置づけと体制を見直
すことが必要かもしれない。

この様に、能登半島地震が、変動地形学の重要性を明らかにし、沿岸活断層が見過ごされて
きたことを専門家が指摘している。にも拘らず、原子力規制委員会は原発を止める気も、耐震
再評価をする意欲も全くない。まさに再稼働推進委員会だ。以上