原子力規制委員会は再稼働推進委員会・被曝強要委員会!
その258 2023年2月16日
経産省に取り込まれて安全性・独立性・透明性をかなぐり捨てた規制委
〜石渡委員の反対でも原発60年超を容認して炉規法改悪か?〜
原子力規制委員会は2月13日の臨時会議「議題高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討」で、8日の定例会議と同様に石渡委員がしごくまっとうな反対意見を述べたにも拘らず、山中委員長が強引に原発の60年超え運転に向けた新たな規制制度案を決定した。規制委ビル前で私たちが反対の声を上げ申入れをし多数が傍聴したけれども適わなかった。


     2月13日20時過ぎの原子力規制委員会抗議行動

原子力規制委員会が、経産省に取り込まれて、安全性と独立性と透明性をかなぐり捨てた。

1 ATENA(原子力エネルギー協議会)の要望を受けてひそかに「見解」で炉規法改悪目論み
 2020年7月29日の定例会議の議題5「運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解」の最後に「発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない。」を滑り込ませ決定した。ここには次の問題がある。
(1)電力会社の意向に沿う安全規制の改悪であり「規制の緩和」である
(2)規制委が所掌する炉規法の改訂に関わる一言を山中委員が姑息に入れ込みコメントした。
(3)委員間でほとんど議論せずに決定し、パブコメもかけていない。

2 資源エネルギー庁と原子力規制庁と原子力規制委員会による手続きの嘘と茶番劇
 7月から9月にかけての資源エネルギー庁と原子力規制庁との秘密面談やエネ庁3人の秘密併任で炉規法を含む束ね法案を策定し、10月からの規制委定例会議での6回の議論は茶番劇、これらの嘘が公知になったのは12月末。同様に資源エネルギー庁も9月の原子力小委員会で委員に事前策定を隠して嘘の説明をしていた。

3 石渡委員の反対
 2月8日と13日の規制委の会議で、石渡委員が次の様に反対意見を述べた。(1)科学的新知見無しだから炉規法を変える必要なし(2)炉規法の40年60年という枠組みを変えないのだから炉規法を変える必要なし(3)審査が延びるとより高経年化した炉を動かすことになるから炉規法を変えることに反対
これらは至極当然の意見である。さらに13日の会議では杉山委員が「外から定められた締め切りを何か守らなきゃいけないっていう感じでなんか急かされて議論してきた」と、伴委員が「ふわっとしたままこういう形で決めなければいけなくなったということに関しては確かに私も違和感を覚えている」と述べ、スケジュールありきの議論に反撥を示した。

4 三条委員会の独立性の欠如
 原子力規制委員会は、三条委員会であり、高い独立性を保つために予算や人事を自ら決定し、独自に規則や告示を制定することができ、それを命令、公表する権限が与えられている。特に「原子力を推進する組織からの独立性・中立性」(国会付帯決議)を求められている。をれにも拘らず、経産省と相談して岸田内閣の意向を忖度してスケジュールありきの決定をしたのだ。

5原子力規制庁に操られる原子力規制委員会
原子力規制庁担当が、原子力規制委員会の指示を全く受けず勝手に経産省担当と秘密面談をしたと報告されている。そうならば片山原子力規制庁長官の責任が重い。あるいは、山中委員長が就任時にそのことを知っていながら10月から猿芝居を演じたのなら委員長が辞任すべきだ。

この様にして、審査期間をカウントしないで老朽化年月を短くするとは、明らかに規制が危険側に進む。再稼働推進委員会が安全規制を一掃ないがしろにして再稼働促進委員会になる。
私たちは、沢山の嘘で束ねられた束ね法案(原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法)の成立を何としても止めたい。
以上