原子力規制委員会は再稼働推進委員会・被曝強要委員会! その251 2022年1月14日 東海再処理の負の遺産「核のゴミ」を確認せよ、「危機回避」できるのか? 〜定例会議「再処理施設の廃止措置」が示す原子力ムラの無責任〜 |
2022年1月5日の原子力規制委員会定例会議で、議題2「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設の廃止措置の状況」を聞いて驚いた。 「廃止措置」の議論のはずが、「ガラス固化」がうまく行かない理由の議論ばかり。おまけに更田委員長から「緊急時対応」、「リスク低減」、「危機回避」、「決して他の施設の廃止措置と同様に捉えてはいけない」との意外なコメントが出されたのだ。 原子力規制庁の資料は文字ばかりで再処理施設の施設や「核のゴミ」の状況が示されていない。核燃料サイクル工学研究所のサイト(https://www.jaea.go.jp/04/ztokai/index.html)から次のことが分かる。 ■核ゴミの保管状況 下表の様に再処理で出てきた高放射性廃液は200リットルドラム缶換算で15万本。 ■再処理施設の安全性について =>危険性 同施設の安全性についての記述項目は次のとおりで、同施設の危険性を表している。臨界事故を防止するための対策、火災爆発を防止するための対策、停電を防止するための対策、放射性物質や放射線を施設外に漏らさないための対策、被ばくを防ぐための対策、熱を逃がす工夫、核物質の核兵器等への転用を防止するための対策。 ■廃棄物の取組 =>大気放出、海洋放出、海中放出 廃棄物についての記述には、気体廃棄物は「大気中に放出」、液体廃棄物は「海洋等に放出」・「海中へ放出」、「ガラス固化体管理」、固体廃棄物は「濃度に応じて処分される計画」とこともなげに記載。 「週報」には次の様に「放出放射能」が記載され、放射性物質の排出が日常化している。 (排気筒)クリプトン (海洋放出口)α線を放出する核種、β線を放出する核種、トリチウム そして、この再処理施設の廃止処置は図の様にこれから70年もかかる。おまけに、廃液が危険な状態なのだ。更田委員長は定例会議でこう述べた。 「東海再処理施設(TRP)は廃止措置と呼んでいるけれども、他の原子力施設の廃止措置とは扱いも位置付けも違うものだということをとにかく明確にしてほしいと思っています。これは運転が終わって、もう使わないというものを廃止しようとしているのではなくて、ガラス固化なんて正にここの施設の運転の一部どころか肝の部分です。新規制基準に適合していないのだけれども、適合させるよりも、さっさとそれをガラス固化してしまった方がリスク上の観点からは望ましいということで、日本原子力研究開発機構(JAEA)が自らリスクの高止まりを何とかしたいと言ってきて、そこで原子力規制委員会としては特別な判断をして、新規制基準に適合はしていないけれども、さっさと高レベル廃液、ガラス固化してもらいましょうということで、ガラス固化を認めた経緯があります。ですから、他の施設の廃止措置と横並びで捉えないでほしい。」 要するに大量の廃液が危険だから緊急時対応として新規制基準不適合のままガラス固化を容認しているのだ。ところがガラス固化がずっとうまくいかず、昨年度の実績は13本。 <高放射性廃液は 1 滴(0.05m?)で致死線量 7,000mSv に達するとされ、「廃液タンク 1 つ(120 ?)の漏出で 1 億キュリー以上の放射能を含み何十億人もの致死量にあたる」(木(1977))とされる。>(大石光伸さん)にも拘らず、廃液の処理がずっと遅れているのだ。 周辺住民の心配はいかばかりか? 皆さん、不思議に思いませんか? 危険な廃液のガラス固化の目途も立っていないのに約28年間も使用済み燃料の再処理を続けてきたのですよ。70年以上かかる「廃止措置」の目途が立っていないのですよ。 おまけに、東京新聞<崖っぷちの日本原燃核燃再処理工場26度目の完成延期は必至 工事計画不十分で規制委審査進まず2022年1月13日06時00分>(https://www.tokyo-np.co.jp/article/153868)が示すように、30年前から25回も延期している六ケ所再処理施設を、未だに経産省も原子力規制委員会も日本原燃も稼働させようとしているのだ。再処理後の「核のゴミ」のことを考えずに。 東海再処理と六ケ所再処理には原子力ムラの愚かさが凝縮している。「核のゴミ」を考えずに再処理施設を動かしてはいけない、「核のゴミ」を考えすに原子力発電所を動かしてはいけない。 以上 |