原子力規制委員会は再稼働推進委員会・被曝強要委員会! その248 2021年11月12日 原子力規制委員会はなぜ低い基準地震動で原発再稼動を容認するのか? 〜樋口英明氏への共感、島崎邦彦氏への疑問〜 |
岩波科学11月号の特集「3.11後の地球科学」で、島崎邦彦氏(原子力規制委員会元委員長代理、地震予知連絡会会長、日本活断層学会会長、地震調査研究推進本部地震調査委員会委員、同長期評価部会部会長など歴任)が2つの論文で立派な主張を展開している。 〇巻頭言<科学的な議論の行方> 「3.11`以後’には‘前’を修正しようとする力が働く」と警告し、「会議の透明性が確保されなければ、未曾有の災害は繰り返される」、「科学的な議論と政策とを切り離す必要がある」と主張。 〇特集論文<巨大津波と原発事故:ねじ曲げられた科学> 「なぜ巨大津波と原発事故による被害が防げなかったのか? その一因は、日本の原子力利用が、地球科学をねじ曲げたことだと思う」、ねじ曲げの実例として「権威によって優位に立つ」、「専門的な議論で一方的な主張を展開」、「情報を非公開として、不利なことを隠す」を上げ、ねじ曲げを防ぐには「権威を疑う、専門家が監視、情報公開を求める」ことが必須と述べた。 どちらも共感できる主張で、特に12ページにわたる<巨大津波と原発事故:ねじ曲げられた科学>は、福島原発刑事訴訟をしっかりと後押しする素晴らしい論文だ。 また、島崎氏は、原子力規制委員会を退任2年後の2016年夏に「関西電力・大飯原子力発電所の基準地震動は過小評価されている。」と指摘し、原子力規制委員会に大飯の基準地震動見直しを要求した。 しかし私は、島崎氏が原子力規制委員会委員長代理を務めた2年間をなぜご自分で総括しないのか疑問を抱く。 樋口英明さん(元福井地裁裁判長)が著書<私が原発を止めた理由>で指摘するとおり、「我が国の原発の耐震性は極めて低い」にも拘らず原発が稼働している。再稼動容認の元凶が3.11後に原子力規制委員会が作成した「新規制基準」だ。地震・津波・火山などを担当した張本人が島崎氏だ。 「会議の透明性が確保されなければ、未曾有の災害は繰り返される」と主張するのであれば、今からでも遅くはない、樋口英明さんの誰にも分かる根源的な指摘に対してきちんと説明しなければならない。 なぜ「我が国の原発の耐震性は極めて低い」まま稼働が許されているのか? なぜ原発の耐震性が一般住宅より低いのか? なぜ一関で観測した4022ガル(2008年岩手・宮城内陸地震)を原発に適用しないのか? なぜ柏崎刈羽1号機が2017年に経験した1699ガルを全国の原発に適用しないのか? なぜ「既往最大の観測地震動を全原発の基準地震動の下限に」(石橋克彦さん)しないのか? なぜ現「新規制基準」で定める基準地震動で原発の安全性が保たれていると言えるのか? <科学的な議論の行方>を論じる島崎氏は、これらの疑問にきっちりと回答するべきだ。 以上 |