原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その246 2021年8月16日 「原発敷地に限っては強い地震は来ない」をあなたは信じますか? 〜樋口英明「私が原発を止めた理由」から〜 |
原発の再稼働を止めるには、お湯を沸かすために核分裂を起こす愚かな装置である原子力発電の根本的な問題点をしつこく訴え続けることが大事だ。 樋口英明氏(元福井地裁裁判長)が最新書「私が原発を止めた理由」(旬報社)に「原発の本当の危険性」を実に明快に誰にも分かるように書いているので紹介する。 まず「はじめに」の結論を御覧いただきたい。 <原発の運転が許されない理由 第1 原発事故のもたらす被害は極めて甚大。 第2 それゆえに原発には高度の安全性が求められる。 第3 地震大国日本において原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということにほかならない。 第4 我が国の原発の耐震性は極めて低い。 第5 よって、原発の運転は許されない。 > その根拠を示すべく、「第1章」で、原発の格納容器の中にヒロシマ型原爆1000発の死の灰が含まれ、火力発電所のバックアップが必要、福島原発事故の被害は2号機・4号機の奇跡・免震重要等の存在などで、半径250km・5千万人避難の「最悪のシナリオ」を免れた。原発事故の“被害が大きい”ことを説明。 そして、次に日本の原発の耐震性が極めて低いことを指摘している。 〇2000年以後の地震観測からでも、20年間だけで700ガル以上の地震が30回、1000ガル以上の地震が17回ある。 〇原発の耐震設計基準は、当初より引き上げられているがせいぜい数百ガルから千ガル、それも耐震確認はコンピュータシミュレーションによる。三井ホームや住宅林業の家の耐震基準はそれぞれ5115ガル、3406ガルで実際に実験して耐震確認。 〇例えば、大飯原発(405ガルで設計、700ガルに引き上げ)は、震度6クラスのありふれた地震で危うくなり、震度7の地震で絶望的な状況になる。建築基準法は、一般住宅も震度6強〜震度7にかけての地震に耐えられるように建築することを命じている。 〇推進側が言う「地震動は地下と地上と違う」は間違いで、地上の揺れが地下の揺れよりも大幅に大きくなるという法則性はない。すなわち、地上の揺れ(観測記録)と地下の揺れ(解放基盤表面)に大差がない。 以上、日本の原子力発電の耐震性が非常に低いことが分かる。 最後に樋口さんは次の2つを添える。 「原子力規制委員会は原発事故から国民を守るために規制基準を作ったのではなく、国や電力会社の意向と住民の安全を天秤にかけてこれらを調整するために規制基準を作ったことを田中俊一委員長は自白しているのです。だから、国民の命と生活と環境を守ることができるのは裁判所しかないことを裁判官には忘れてほしくない」 「無知は罪、無口はもっと罪」 私が本シリーズで縷々書いてきた(例えば「その3地震国日本で地震評価は最低水準」)ことを樋口氏は実に明快に「原発の運転が許されない理由は極めてシンプルで当たり前」と断じている。 原子力規制委員会と経産省を責め続け、原発をとめよう。 以上 |