原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その245 2021年8月12日
「原発を動かせ」と言いながら廃炉にする方法
〜古賀茂明「官邸の暴走」の脱原発アプローチ〜
 原発の再稼働を止めるには、お湯を沸かすために核分裂を起こす愚かな装置である原子力発電の根本的な問題点をしつこく訴え続けることが大事だ。
 古賀茂明氏の最新書「官邸の暴走」(角川新書)に興味深いアプローチがあったので紹介する。

<「原発を動かせ」と言いながら廃炉にする方法>(P.298〜P.303)
<再エネ普及の最大の障害である原発は止めるべきだ。しかし単に原発止めろと言ってもいわゆる「原子力ムラ」は強大な力を持っていて、政治的にはなかなか進まない。…
 そこで私は、少し違ったアプローチで脱原発にもっていく方法を考えた。それは、「原発はどうぞ動かしてください」と言うところから始まる。>
 国会に大手の電力会社の社長を呼んで国民の前で議論するのだ。そこで、絶対に安全な原発だけを動かしてくださいと言えば、社長は「もちろんです」と答えるだろう。そして次の4つの質問をする。
@御社の原発は民間の耐震住宅並みの強度ぐらいは達成できているのでしょうね?
 社長たちは一瞬沈黙するだろう。
日本では2000年以降、最大で1000ガル以上を記録した地震が18回、700ガル以上は31回起きていること、そして住友林業、三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルというレベルであると指摘する。
 一方、原発の基準地震動は伊方570ガル(後に650ガル)、大飯856ガルだ。
           

A万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために民間の保険に入ってください
  社長たちは、そんな必要はないと言い、さらに追及されると、そんな保険を引き受ける保険会社がいないと言う。
 現在の法律では、国営の保険のような制度があるのだが、支払われる金額は1200億円に過ぎない。そんな保険を引き受ける保険会社がいないのだ。ちなみに東電福島第一原発事故の事故処理費用は50兆円以上!?
B「原発の避難計画は安全ですか」と聞く
 社長たちは、「完全ではないが、徐々にブラッシュアップして行きます」、「政府も確認してくれています」と言う。
 避難計画が万全でないまま動かすのは問題だから、これを原子力規制委員会で審査してもらうべきだと言う。国民は「避難計画は規制委の審査を受けたんじゃないの?」と驚く。
 (IAEA深層防護第五層にも拘らず)今の避難計画のままでは審査は通らないはず。
C原発のゴミも適切に処分できるのですよね、と社長に聞く
 社長はそうする計画と答えるが、処分計画は出てこない。
普通の工場では、製造過程で出たゴミは適正に処分しなければならない。処分できないゴミがあると言えば、工場を動かすことは許されない。
そして
<こうした議論を経た上で、耐震性を民間住宅並みに高める、上限のない損害賠償責任保険に入る、避難計画の規制委による審査を通す、そして、最終処分地が合意済みの、「核のゴミ」最終処分計画について、規制委の審査を通す、という4条件で原発稼働を認める法案を提出するのだ。
 ……
 コストがかからない「脱原発政策」になるはずだ。>

 細かい点には異論があるかも知れないが、次の国会で是非実現してもらいたい。
それにしても、この@耐震性低い、A損害賠償保険無し、B避難計画実効性無し、C「核のゴミ」未解決は、どの原発にも当てはまる重要な問題点だ。
 これらを指摘し続けて脱原発を実現したい。
以上