原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その244 2021年4月20日 発足直後から東京電力を甘やかし続けた原子力規制委員会! 〜東電に原発稼動の「適格性」無し、他の電力会社も〜 |
4月14日午前の原子力規制委員会定例会議で、原子力規制委員会が東京電力に対して柏崎刈羽原発のテロ対策不備で「運転禁止」命令を発出した。柏ア刈羽の運転を事実上禁じる命令だ。 一見、原子力規制委員会が東電に対して厳しく接している様に見える。しかしながら、原子力規制委員会発足以来の東電への対応を考えれば、この命令措置は原子力規制委員会の問題点を一層明らかにした。 1 東電を甘やかし続けた原子力規制委員会 規制委発足後の東電対応を振り返ってみよう。2011年3月に東京電力存続を決めた経産省と同様に、原子力規制委員会は発足以来8年半の間東電に甘かった。 (1)東電福島第一原発(イチエフ)事故調査は後回し 原子力規制委員会は、発足後に原子力災害対策指針の改訂や「新規制基準」の策定を最優先で進めて早期原発再稼働をし、「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」(2013年5月発足、中間取りまとめ後中断、2019年10月再開)や「福島第一原子力発電所廃炉・事故調査に係る連絡・調整会議」(2019年10月発足)を後回しにしてきた。 (2)沸騰水型原発(BWR)の中で柏崎刈羽原発を優先審査 「あれはあれ、これはこれ」とは行かないと話していた更田委員(当時)が、他より遅く審査請求された柏崎刈羽を何とBWRの中で最優先で審査した。 (3)更田委員長が東電を礼賛 更田委員長は、何度も東電の技術者の対応がしっかりしていると礼賛してきた。そればかりか「その236」等に書いた様に規制委臨時会議での東電トップあるいは元東電トップを称賛してきた。 (4)核物質防護違反を隠して柏崎刈羽6・7合格 規制委は、「7つの約束」(廃炉やりきる、柏崎刈羽原発の安全対策投資、原発安全性の確保、不確実・未確定でもリスク低減、さらなる安全性向上、社長に原子力安全の責任、社内関係部門の異なる意見や知見を一元的把握)を全く果たしていない東電に対して、核物質防護違反が起こってもそれを隠して、柏ア刈羽の再稼働審査「合格」を与えた。 (5)汚染水の「海洋放出」を東電に推奨 更田委員長は、他の多くの核種も残っている放射能汚染水のことを「処理済水」と呼び、東電自らが積極的に「海洋放出」するように促した。 2 東電に「適格性」無しは明らか 原子力規制委員会の甘い規制を悪用したのか、東電のひどさは明らかだ。 (1)事故加害者で、かつその後の対応がひどい 事故を起こしたばかりか、その後の事故原因追及でも、廃炉・汚染水対策でも、賠償においても、他のイチエフ事故対応においても、多くの裁判においても、法人としての良心もコンプライアンスも全く欠如していることを示してきた。 (2)核物質防護違反とその放置・隠蔽 IDカード不正使用のみならず核物質防護設備の不備を長期間放置し隠蔽してきた。イチエフにおいても地震計故障の放置・隠蔽。 (3)イチエフで放射性汚染物のずさん管理 イチエフ構内の廃炉作業に伴って汚染された資材やがれきなどが収められたコンテナ約8万5000基のうち、約4000基は中身が分からない状態にあることが本年4月に発覚。 (4)イチエフ対応をなおざりにして柏崎刈羽の再稼働目論見 あれだけの事故を起こし、10年間かかっても地下水の流入を止められずに汚染水対策が破綻、デブリの写真を撮っただけで「廃炉」の姿も工程も見えない。それにも拘らず、あろうことか再び柏崎刈羽原発を稼働しようとしている。 (5)2.13福島沖地震で連絡遅れ 2021年2月13日の福島県沖地震(M7.3)において、規制委と東電(イチエフ)とのテレビ連絡がすぐに取れず、東電からの地震被害の情報発信も遅れた。何が起こったのか、何か隠されていないか? (6)汚染水対策も嘘だらけ 菅政権が放射能汚染水の「海洋放出」を決定したが、これは東電と県漁連との約束違反だ。東電が2015年に処理水の処分を巡り県漁連に「関係者へ丁寧に説明し、理解無しにはいかなる処分もしない」と約束していた。また東電は、ALPS処理水には他の多核種が残っているにも拘らずトリチウムのみと偽ってきた。こんな会社に長期大量の「海洋放出」を認めたら何するか分からない。 すなわち、原子力規制委員会はずっと東電に甘い対応をしてきた。その結果、今回の核物質防護違反が発覚し、他の多くの問題がより明らかになった。「運転禁止」命令で原子力規制委員会を信用してはいけない。まともな原子力規制行政機関であるならば、東電の再稼働「適格性」無しを受け、他の電力会社に「水平展開」して「適格性」を確認するべきであるのにしていない。 例えば関電は、原子力マネー還流問題を起こし、高浜・大飯でトラブル続き、福井県との約束を破って営業運転開始後44年も経過した高浜1・2や美浜3を稼働しようとしていて、原発を動かす「適格性」は全く無い。 あるいは、川内や玄海を稼働させている九電も、やらせメール事件の前科があり、今も原発稼動して再生エネルギーを制御し、延岡市の新電力構想を妨害する、などコンプライアンスが全く欠如している。 原子力規制委員会は総ての電力会社の原発稼動の「適格性」を審査し直すべきだ。 それをしない原子力規制委員会には原子力規制行政の「適格性」が無い。 以上 |