原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その228 2020年7月21日 20mSv/年超えへの立ち入りを認めて県民に被曝を押しつける原子力規制委員会 〜飯館村長瀞地区帰還困難区域の放射線防護対策を緩めるな〜 |
7月1日の原子力規制委員会定例会議において「帰還困難区域の 放射線防護対策について」と題する内閣府原子力被災者生活支援チーム からの意見伺いに対して、原子力規制委員から次の驚くべき発言が あった。 <議事録から委員の発言ピックアップ ○伴委員 帰還困難区域も含めて汚染地域へのこれまでの対応を考えたときに、 線量基準あるいは除染といったものは放射線防護の手段にすぎない。 今回、20mSv/年を下回ることを確実にすることが可能だとおっしゃる のならば、当然その場所を生活に組み込んでいく、そして生活と被ばく のバランスを考えるということはあってしかりだと思います。 更に言うと、3.8μSv/hをほとんどの区域で下回っていて、恐らく 近い将来、全ての区域でそれを下回るであろうと。3.8μSv/hの場所で いろいろな活動をしたからといって、年間20mSvに達するわけではないと いうのはこれまでの経験から十分に分かっているわけです。 もしも仮にそういった状況を十分に理解した上で、それでも自分は そこに暮らしたいという方が仮におられるのであれば、それもありかも しれない。 今後具体的な防護対策を御提案なさるということなのですけれども、 相当地元の御意見をしっかりお聞きして、それを熟慮した上で、かなり 個別柔軟に対応していかないと意味のある防護対策にならないと 思います。 ○更田委員長 安全・安心対策にも記されていますけれども、長期的に年間1mSvを 目指すという方針は堅持する。 それから、個人線量をより重視していくべきであろうと。空間線量率 3.8μSv/hが、ここにたとえ居住したところで年間20mSvに及ばないと いうことはこれまでの様々な実例、計測から示されていて、 この提案は、例えば長泥地区でいえば、私としてはたとえ居住をした としてもこれまでの方針の枠を出るものではないと思っています。 ただ、その上で、御地元(ゴジモト)の要望もあって、具体的な要望 に対処するために考えていくことというのは、より慎重なアプローチだ と私は思っています。 > 二人の発言には、原子力ロビーの意向を汲んで、福島の人たちに 被曝を押しつける原子力規制委員会の嘘が沢山隠されている。次だ。 1.公衆被曝限度1mSv/年未満が世界の常識でICRPが認めざるを 得なかった基準で日本も守る義務があり、政府は総ての国民に1mSv/ 年未満を保障するべき(更田委員長も冒頭で言及して責任逃れ)。 2.それにもかかわらず、原子力規制委員会は100mSv/年で安全、 20mSv/年で帰還を提言し、国も県もそれを福島県民に押し付けて いる。(本シリーズその6、7、71、188) 3.ところが、自分たちが緩めて決めた20mSv/年をも守らないのだ。 ・長泥地区の一部で空間線量が20mSv/年を超える地域があるにも かかわらず、そこへの出入り・居住を認めようとしている。 ・空間線量率3.8μSv/hは単純に24h×365日を乗ずれば、33mSvを 超える。屋内では被曝がより少ないことも予想されるが「たとえ居住 したところで年間20mSvに及ばない」とは絶対に言えない。 ・個人被曝線量を空間線量率に比して過小評価するために、原子力規制 委員会も放射線防護委員会ももろもろの非科学的提言を出してきた (本シリーズその192、その193)。 この様に見てくると、原子力規制委員の中で原子力ロビー出身では 無い石渡委員の発言だけがまともだ。 < ○石渡委員 今回の件なのですけれども、実際に長泥地区の空間線量というのが 2〜3μSv/hぐらいですよね。この値は福島第一原子力発電所の事故で 汚染されていない東北地方の普通の日本の地域に比べると10倍ないし それ以上高い線量のところだと思います。そういう意味で、やはり普通 の場所とは違うということはよく考えていただく必要がある。 もう一つ、ここの放射性物質というのは、基本的に表面にあるわけ ですよね。地表にあります。ごく浅い、ほとんど地面そのものにある わけですから、特に利用頻度が高いようなところについては、浅い ところを取り除けば、かなり被ばく量が低下するわけですよね。 ですから、そういう努力はするに越したことはないと思います。 > 石渡委員も私たちが指摘している問題点を感じ、除染をも進めている のであろう。 しかしながら、原子力規制委員会としては、この会議で飯館村長泥 地区の「20mSv/年で帰還」を更に緩めようとし、他の地域への適用も 容認しようとしているのだ。 まさに、原子力規制委員会は被曝強要委員会・被曝押付委員会だ。 |