原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その224 2020年6月3日 柏崎刈羽6・7号機を不合格にせよ、「あれはあれ、これはこれ」とは行かせない 〜「保安規定変更認可申請」で示した廃炉も賠償もやり切る姿勢がない東電〜 |
5月28日(木)の原子力規制委員会の議題2「東京電力ホール ディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所発電用原子炉施設保安規定の 審査状況について」では、結構まともな議論がなされた。 柏崎刈羽6,7号機の適合性審査の合格を出す折に、規制委が 「東京電力が事故を起こした当事者であることを踏まえ」「原子炉 設置者としての適格性」についても審査し、東電に「7つの約束等」 文書を確約させて保安規定で審査することとしていた。 ところが、「7つの約束等」への回答として東電が保安規定変更 認可申請として示した「原子力事業者としての基本姿勢」は オウム返し・手抜き・空証文のひどいもの。 会議では、田口安全規制管理官が、福島事故の教訓として津波に 関する知見が存在していたのに的確な判断がとられなかったという 反省を元に取り組む、「7つの約束等」が守られなければ保安規定 違反となる、として東電の「基本姿勢」の再検討を求める対応案を 提示し、続いて各委員がもっともな発言をした。 (伴委員)経営責任者が的確な判断ができるように。安全性に関する 重要な決定に透明性を確保し説明責任を有する。積極的に切り込め。 (石渡委員)どの事業者もやっていることを書いている。福島事故の 当事者として意識が低い。不確実・未確定な段階でもリスクに取り 組むべきで不満。 (山中委員)7つの約束をどう守っていくのか明確でない。福島事故の 大きな教訓として社長の責任を明確に。保安規定違反への対応も考える。 会議の結果、この事務局案のとおりに東電柏崎刈羽6・7号機の 保安規定の審査を進めることを確認。今後の審査を期待させた。 しかし、これに騙されてはいけない! 一見厳しい審査を期待させて裏切りっぱなしの原子力規制委員会だ。 既に「7つの約束等」の「1.福島第一原子力発電所の廃炉を 主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すことができない 事業者に、柏崎刈羽原子力発電所の運転をする資格は無い。」を東電は できていないではないか! 廃炉工程は4回も延期、トリチウム等放射能汚染水対策も全く先が 見えない。ADRや裁判所の仲裁和解案を拒絶し数々の損害賠償裁判で 敗訴。中間貯蔵は他人ごと。東電に廃炉と賠償をやり抜く姿勢が 全くない。 更田委員長が以前に話したように「あれはあれ、これはこれ」とは 行かない。 原子力規制委員会が「原子力ムラ」代弁者で無いなら、曖昧な審査を 続けずに直ちに事故当事者東電の柏崎刈羽の審査に不合格を 突きつけるべきだ。 (追記資料) 【「7つの約束等」基本的考え方】(2017年7月10日規制委) 1. 福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すことができない事業者に、柏崎刈羽原子力発電所の運転をする資格は無い。 2. 福島第一原子力発電所の廃炉に多額を要する中で、柏崎刈羽原子力発電所に対する事業者責任を全うできる見込みが無いと、柏崎刈羽原子力発電所の運転を再開することはできない。 3. 原子力事業については、経済性よりも安全性追求を優先しなくてはならない。 4. 不確実・未確定な段階でも、リスクに対する取り組みを実施しなくてはならない。 5. 規制基準の遵守は最低限の要求でしか無く、事業者自らが原子力施設のさらなる安全性向上に取り組まなくてはならない。 6. 原子力事業に関する責任の所在の変更を意味する体制変更を予定しているのであれば、変更後の体制のもとで柏崎刈羽原子力発電所について再申請するべき。 7. 社内の関係部門の異なる意見や知見が、一元的に把握され、原子力施設の安全性向上に的確に反映されなければならない。 【原子力事業者としての基本姿勢】(2020年3月30日東京電力) 1.福島第一原子力発電所の廃炉を進めるにあたっては,地元をはじめ関係者に対して理解を得ながら,廃炉を最後までやり遂げていく。 2.福島第一原子力発電所の廃炉をやり遂げるとともに,柏崎刈羽原子力発電所の安全対策に必要な資金を確保していく。 3.安全性をおろそかにして経済性を優先することはしない。 4.世界中の運転経験や技術の進歩を学び,リスクを低減する努力を継続していく。 5.原子力発電所の安全性を向上するため,現場からの提案,世界中の団体・企業からの学びなどによる改善を継続的に行っていく。 6.社長は,原子炉設置者のトップとして原子力安全の責任を担っていく。 7.良好な部門間のコミュニケーションや発電所と本社経営層のコミュニケーションを通じて,情報を一元的に共有していく。 以上 |