原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その223 2020年5月18日
六ヶ所再処理の「事実上合格」で「死のサイクル」を復活するな
〜安倍政権と同じ「コロナ緊急事態宣言」下の火事場泥棒規制委に抗議のパブコメを〜
 原子力規制委員会は、5月13日(水)の緊急事態宣言下の傍聴無し
定例会議で「日本原燃株式会社再処理事業所再処理事業変更許可
申請書」の合格案を認めた。安倍政権と同じ火事場泥棒だ。

 「もんじゅ」廃炉決定が示すように核燃料サイクルは完全に破綻
している。
 約46トンのプルトニウム、使用済み核燃料内にある約144トンの
プルトニウム、約18000トンの高レベル放射性廃棄物。
 これらの保管・管理の方法も場所も決まらない中で、プルトニウム
とともに膨大な核のゴミを製造・排出する六ヶ所再処理工場の稼働は
認められない。

 再稼働阻止全国ネットワーク及び原子力規制委員会毎水曜昼休み
抗議行動は、この日11時半から抗議・申入れ行動を実施し12時に原子力
規制庁に申入れしたが、同時刻に原子力規制委員会が審査書案を
承認した。

 <再処理は「死のサイクル」の終着点>と高木仁三郎が30年も前に
書いている。「下北半島六ヶ所核燃料サイクル施設批判」(七つ森
書館1991年)からその一部を紹介する。

 <…再処理工場が各種の核施設のなかでも、とびきり多くの危険性を
潜在的にもつものである…。とりわけ、六ヶ所再処理工場は、使用済み
燃料の年間処理能力が800トン(ウラン換算)という、世界最大級の
工場であり、その立地上の不適さも加わって、日常的な放射能放出
という点からも巨大事故の可能性という点からも、最大級の危険性を
もつものであり、世界的に憂慮の声が多く上がっています。
 にもかかわらず、事業者側の申請書では、信じられないほど甘い
危険性評価しかなされておらない。…
 そして、その工場が日常的に空・海にたれ流す放射能によって、
住民と農作物(農民)、海産物(漁民)が深刻な被害(事業者側の
評価の100倍以上もの汚染と被曝)を受ける可能性がある。
 さらに、独自の事故想定と計算によって、最大級の事故が起こった
場合には、青森県下は全域にわたって壊滅的な打撃を受け、気象条件
次第では放射能の影響は、遠く首都圏の人たちにも許容線量以上の
被曝をもたらす。

 以下が再処理工場の問題点。
○再処理は、各工程において、大量の気体・液体・固体の猛毒性放射性
廃棄物が発生し、その一部は直接、大気や海洋の環境中に放出する
○再処理工場は、地上の核施設の中でも最大級の放射能取扱い施設
であり、化学工場であり、環境汚染の源。
○再処理工場の最大の問題はなんといっても、環境に対する放射能の
放出量の大きさ。大型原発に比べてさえ、再処理工場の放射能放出が
大きく“たれ流し”。
○六ヶ所再処理工場で大事故が起こったら、永遠に日本の土地の多くと
その上に生きる生命を失うことになる。例:ヨーロッパ中央部で
起こったら何千万人という死者(IRS-290報告)。
○ドイツのヴォツカースドルフ再処理工場の計画崩壊(1989年)が示す
ように、再処理に経済性はない。
○六ヶ所再処理工場計画は最初からか、途中からかは別にして、ダミー
計画と化し、電力会社にとって真に欲しいのは使用済み燃料置き場(
再処理工場のプール部分)のみ。六ヶ所再処理工場は、文字通り、
原発のゴミため以外の何物でもない。…>

 確かに、27年前に着工後24回の竣工延期で再処理工場は完成せず、
六ヶ所村が「原発のゴミため」と化している。
 今回、原子力規制委員会が適合性審査合格とするのであれば、前述の
総ての問題に対して、きっちりと説明できないといけない。2019年4月
に航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが訓練中に
三沢沖海上に墜落した事故を忘れたのか?
 福島第一原発事故を経験、「もんじゅ」も廃炉決定、分離型
プルトニウム46トン保有、危険で経済性が無いプルサーマル発電も4基
稼働のみ、何よりも核燃料サイクルが破綻。
 このような状況で、原子力規制委員会が事実上の合格を認めるという
ことは、原子力規制委員会が「国民」や日本列島の安全を保障しない
デタラメ組織であることの証明だ。

 原子力規制委員会は、5月14日にパブコメ日本原燃株式会社再処理
事業所における再処理の事業の変更許可申請書に関する審査書(案)に
対する科学的・技術的意見」募集を開始した。
https://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20200514_01.html
 何としても六ヶ所再処理事業を動かさせてはならない。抗議の声を
パブコメ意見として提出しよう。