原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その219 2020年3月21日 関西電力に原発稼働の資格は無い、高浜・大飯を直ちに止めろ 〜関電第三者委員会の報告が示す、関電の「安全文化」欠如〜 |
3月14日(金)に関電第三者委員会が報告を公表、関電が役員人事・ 経営責任処分・「経営刷新本部」設置を発表、16日に経産省が電気 事業法に基づく大臣からの業務改善命令を出した。第三者委も関電も 経産省も新聞休刊日(15日)を挟んで用意周到の原子力ムラ出来レース だ( https://www.kepco.co.jp )。 ところがこの出来レースに原子力規制委員会は登場しない。第三者 委員会報告には規制委が好きな「安全文化」の欠如を示す情報が満載 なのに、更田委員長は3月18日の記者会見では、「現時点で直接的な 安全に関わるようなもの、例えば、炉規法の下で気にしなければなら ないようなことが起きているというような認識を持っているわけでは ありません」と逃げた。 しかしながら、第三者委員会の金品受領に注目した調査であっても、 同報告が次のことを示している。 1.関電にガバナンス上の深刻な問題が存在 第三者委員会でさえも「関西電力からの受注確保による安定収益」の 仕組みを見抜き、「本件問題の重要性や関西電力の取締役会規則の内容 等に鑑みれば、ガバナンス上重大かつ深刻な問題が存在する」 としている。 2.再発防止策の提言 第三者委員会でさえも再発防止策として次を提言している。 ・ユーザー目線でのコンプライアンス意識の醸成 ・内向きの企業体質の是正 ・地元を重視する施策についての透明性の向上 ・取引先関係者からの金品受領に関する明確なルール設定 ・悪しき情報が早く伝わり、現場に直接メスが入るためのガバナンス 体制の再構築 3.調査報告の中に「保安活動を阻害」する(「安全対策」欠如) の証拠 2011年1月7日に長谷高浜発電所長が豊松原子力事業本部長ほかに 送信した電子メールをご覧頂きたい。 <…1月21日の3号機本格運転に向けてやるべきことが多々ある中、 それこそこんな対応は、発電所の保安活動を阻害するもの。 その典型は、昨年の※※※※当日。事故対に詰めてまさに奮闘中に、 柳田への追加1億円工事の実績報告を要求され、その対応に肝心の保修 関係者を使うありさま。発電所運営に支障。いつまでこんな対応をして いるのか、大いに疑問。毎月京都で一対一の対話、月に10回程度( つまり2日に1回程度)の電話。エスカレートしている? 以上、愚痴でした。…> これだけの事実が明らかにされ関電の「安全文化」欠如が明らかに なったにもかかわらず、更田委員長は「経済産業省が出した業務改善 命令に対して、どのように改善計画が出され、そして、実行状況の報告 がどのようにされるかというのを見ていく」と答え、高浜も大飯も 直ちに止める気は全く無い。 さすがに、原子力規制委員会は再稼働推進委員会だ。 なお、上記3などについて共同通信の記者が更田委員長に丁寧な 表現ながらしっかり食いついて質問したことを添える。 一方、別件だが次の2点の報道はいただけない。 ○朝日新聞(3月17日) <稼働でも規制 電力会社直撃 既存原発にも最新の知見 「バックフィット」> 記事では「テロ対策施設」(特定重大事故等対処施設、特重)を バックフィットとしている。 しかし、特重は「新規制基準」と一体のものであり、当初 「新規制基準」施行から5年以内の猶予、その後本体工事計画認可から 5年以内の猶予に延ばされたもの。新知見に基づく「バックフィット」 とは異なる。原子力規制委員会を甘やかす報道はまずい。 ○東京新聞(3月18日)こちら原発取材班 「節目の汚染水問題」として137万トンの放射能汚染水とトリチウム 1000兆ベクレルの詳しい説明はとても分かり易くて良いが、「汚染水の 浄化処理」欄の記述 <…一部をデブリ冷却に再利用し、残りは多核種除去設備 (ALPS)でトリチウム以外の放射性物質を国の基準を下回る濃度迄 取り除き、構内のタンクで保管している>は間違いだ。 本シリーズ「その217」で示したように、タンクに保管されている 108万立方mの放射能汚染水のうち、トリチウム以外の核種の告知濃度比 総和が1倍以下であるのは約30万立方mで、108万立方mのうち7割以上 は告知濃度比総和が1を超えている(2019年12月31日現在、 http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/ )。 このことは、長らく東電と経産省が隠していた嘘(2018年8月 に報道)であり、そのことを知りながら、更田委員長はこれらの放射能 汚染水を「処理済水」と呼べと言い、「海に流せ」と 主張しているのだ。さすがに被曝押付委員会だ。 |