原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その214 2020年1月9日
「迫りくる巨大地震と巨大噴火」を放置するな
〜規制委が「合格しても安全と言えない」のは当然?〜
 去る12月5日に開催された「原発・核燃料サイクルの即時中止を!
省庁・全国市民・議員の院内集会」(主催:脱原発政策実現全国ネット
ワーク、共催:ストップ・ザ・もんじゅ)は、多数の市民や議員が参加
しとても興味深いものであった。
 ここでは巽好幸さん(神戸大学)のお話「迫りくる巨大地震と巨大
噴火」を紹介する。

◎日本列島では地震はいつどこで起きても不思議ではない
 「1%の地震発生確率」だから大丈夫ではない

 例えば、1995.1.17兵庫県南部地震の事前の発生確率は0.03〜8%
 (約1%)、2019.6.18山形沖地震の事前の発生確率は1.3%であった。
 「地震動予測地図2019」(地震本部)は最低レベルの確率に過ぎない

○南海トラフ巨大地震
 フィリピン海プレートが南海トラフから沈み込み、陸側の地盤に
溜まった歪みが一気に解放され、九州・四国沖から紀伊半島・東海沖で
地震が連動して発生(M9クラス超巨大地震)する。
 大都市圏のライフラインがストップし想定被害者数32万人以上(
東日本大震災は2万人強)、経済被害額220兆円(東日本大震災は
17兆円)が、今後30年間に70%起こりうる。

○首都直下地震
 地球上で最も地震が多発する首都:2つのプレートが沈み込み、
海溝型・プレート表面・内陸型の3つのタイプの地震が起こりうる。
(30年に70%ゆえ)1年以内の発生確率は約5%で、2人に1人が
被災者になる。

○東北沖アウターライズ地震
 海溝型地震の発生でプレート境界の歪みが解放され海洋プレートが
引っ張られてアウターライズ(海溝外縁隆起帯)が破断して起こる
地震。陸から遠いので揺れは小さいが、断層の運動により津波が発生。
 1896年明治三陸沖地震の37年後、1933年昭和三陸沖地震では大船渡で
約29mの津波。2011年大平洋東北沖地震のあと20××年にアウター
ライズ地震で巨大津波が再襲来する?

◎日本列島にいつ噴火してもおかしくない火山が300!

○111ある活火山も300ある待機火山も、いつ噴火しても不思議ではない
○火山の寿命は100万年以上
○マグマ溜りを直接かつ正確にイメージングした例はない
=>にもかかわらず、規制委との審査会合で、例えば日本原燃は
「巨大噴火が可能な量のマグマ溜りが存在する可能性は十分
小さく、…」と評価。

○火山災害は次の7つ
 1.溶岩流、2.火山灰(降灰)、3.噴石(火山弾・火山岩塊)、
4.火砕流、5.火山泥流、6.山体崩壊、7.火山ガス・噴煙=>
火山の冬

○大山火山と若狭湾原発の評価で、勾配の影響(50cm)が風向きに
よって異なるのに評価が不十分。評価基準の見直しが必要。
○超巨大噴火は「今後100年間に約1%の確率で発生」
 平均周期は統計的にまちがい!現状では科学的予測は不可能。
 超巨大噴火の発生確率は、阪神淡路大震災前日の地震発生確率
と同程度。
 鬼界カルデラ噴火による南九州縄文人絶滅事件。

 巽さんは、最後に首都直下地震・南海トラフ地震の30年発生確率70%
と、超巨大噴火の100年発生確率1%を確認し、「首都機能移転難航・
2020年東京オリンピック・2025年大阪万博・誤った社会通念」の
刹那主義的無常観が日本人の災害観かと憂えた。
 鬼界カルデラ噴火の縄文時代には、原子力発電も死の灰も無かった。
福島第一原発事故を経験しながら、再び9基もの原発の稼働を容認し、
計16基に合格を与えた原子力規制委員会もこの「無常観に根差した刹那
享楽主義」に陥っているのだろうか?
 歴代の原子力規制委員会委員長が<合格しても安全とは絶対に言わ
ない、稼働させるかどうかは国と電力会社の問題>と責任逃れをする
のも当然か。