原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その212 2019年11月13日
田中俊一<日本の原発はこのまま「消滅」へ>と島崎邦彦<葬られた津波対策…>
〜規制委の前委員長と前委員長代理は間違った原子力規制行政を造っておいてなぜ今ごろ発言?〜
  田中俊一前原子力規制委員長が月刊「選択」11月号の巻頭インタ
ビュー<日本の原発はこのまま「消滅」へ>はなかなか強烈だ。
 以下に田中氏の発言を引用する。


○福島第一原発での事故を踏まえて考えると、原子力業界が姿勢を
徹底的に正さなければ、日本の原子力に先はない。残念ながら原子力
政策の見直しもされないままなので、この国の原発はフェードアウト
する道を歩んでいると眺めている。
○日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた。結果論も含め
本当に嘘が多い。最大の問題はいまたに核燃料サイクルに拘泥して
いること。
○日本の原発は…嘘で世論を誤魔化しながらやるという風土があった。
そこにつけこまれて、今回のように、原発マネーを狙う汚い人間が
集まってくる原因にもなった。
○(再処理工場について)世界でそんなことをやろうとしているのは
日本だけだ。米国をはじめ多くの国は当面、使用済み燃料を乾式容器に
入れて原発敷地内に蓄積し、いずれ直接処分する道を目指している。
○日本が安定して必要な電力を確保するための方策を多面的に議論する
ことである。その上で原発の必要性について国民の判断を求める
べきだろう。
○しかし、政治・行政は本質的な議論から目を背け、センセーショナル
な部分ばかりを取り上げるマスコミの責任も重い。今回の関電の問題は
犯罪にも近い行為だと思うが、これを表面的に批判しても意味がない。
○…今のままでは原子力利用を支える人材がいなくなるが、…、残念
ながら日本の原発は一回なくなるんじゃないかとみている。>

 よくぞ言ってくれた!私たちが3.11以後にずっと訴えたきた
ことが間違っていないことの証明だ。
 それにしてもよく言うよ!
 「原子力規制委員会設置法」の目的や衆議院・参議院の附帯決議を
無視して既存原発54基の再稼働を推進してきた原子力規制委員会の
委員長がなぜ在職中にこの発言どおりの規制行政をしなかったのだ?
 規制委が発足する前2012年9月に日本学術会議が、国民が核のゴミ
問題についてしっかり議論してから原発再稼働を論じるべき、と提言
していたではないか!

 一方で、島崎邦彦前原子力規制委員長代理も退任後にはまっとうな
発言をしている。

 大飯裁判で、関電による基準地震動の予測手法が不適切だとし「予測
が過小評価となっている」と証言したり、東電裁判で「(政府機関の)
長期評価に基づいて対策をとっていれば、原発事故は起きなかった」
などと証言した。
 さらに、「岩波科学」に「葬られた津波対策をたどって」を連載
(既に11回)しており、11月号では東電トップ無罪判決について
詳述し、<判決が述べた「長期評価」の根拠は十分ではないという
のは、全くのデタラメである。>と書いている。
 学者として筋を通した発言をしているつもりかも知れないが、原子力
規制委員会の「新規制基準」と地震対策審査の問題点について
本シリーズで縷々述べたことには、まともに釈明していない。

 それにしても、規制委の前委員長も前委員長代理も職を離れると割と
まともな発言をする。自民党議員はじめ多くの国会議員にも頻繁に
見られた挙動だ。
 だからこそ、私たちは厳しくかつ自信を持って、現職に原発の
愚かさを訴え続け現職にまともな施策をとるように訴え続けねば
ならない。