原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その210 2019年10月9日
電力会社任せの「新検査制度」(2020年4月施行予定)は危険!
〜定検間隔延長と定検期間短縮と出力増強を目論む電力会社と規制委員会〜
 10月5日(土)午後の再稼働阻止全国ネットワークの拡大事務局会議
(学習会)で、長沢啓行さん(若狭ネット資料室長・大阪府立大学名誉
教授)のお話を聞き、参加者一同が驚き原子力規制委員会の再稼働推進
姿勢にあきれ果てた。

 原子力規制委員会が来年4月施行を目指している新たな検査制度は、
次のことを目論んでいる。
1.原発の定期点検検査を事業者任せ(施設定期検査を廃止し定期事業
者検査に)
2.運転期間(定期点検の間隔)を延長(13ヶ月=>18〜24ヶ月)
3.定期点検の点検期間を短縮(3ケ月=>1ヶ月、オンライン
検査導入)
 更に、出力増強をも導入して、既存原発の設備利用率(約81%)を
95%以上に高めようとしているのだ。

 例えば、3年前の次の記事<「原発の優劣」が明らかになる新検査制度
導入 規制委が常時立ち入り可能な検査へ抜本改革(東洋経済online)
  https://toyokeizai.net/articles/-/120772>
 が示すように、多くの報道は米国に原子力規制庁職員を派遣して導入
を図っているこの「新検査制度」がこれ程ひどいものであるとは誰も考
えていず、今でも余り知られていない。

 しかしながら、今原子力規制庁が実施している2つのパブコメ「新た
な検査制度(原子力規制検査)の実施に向けた法令類の整備(第一
段階)(規則)に係る追加の意見募集について
https://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20191003_01.html 」
 他を見ると、政令の改正案では「…で原子力規制委員会規則で定める
ものとする」と付された条項の多くが「削除」されているのだ。正に電
力会社任せを示している。
 そうでなくても、原子力規制委員会の審査が電力会社の説明をそのま
ま鵜呑みにする危険な審査であることを見てきたが、この「新検査
制度」導入により、再起動の点検を電力会社任せにして、電力会社の
裁量で出力増強+定期点検間隔延長+定期点検期間短縮=設備利用
率向上を許そうとしているのだ。

 関電汚職が示す汚れきった原子力マネーで原発推進をはかる電力
会社、福島第一原発事故刑事裁判が示す安全性よりもコストを重視し続
けている電力会社。
 電力会社に対して、彼らの裁量で検査手抜きを可能とするこの「新検
査制度」の導入はあまりに危険である。

 これについては、雑誌「No Nukes voice」21号にも木原壯林さんが
長沢さんのお話を参考にして「来年四月から、原発稼働は電力会社の
意のまま?」を書いている。
 メディアに指摘されることが少ないまま進められている「新検査制
度」を何としても止めねばならない。
 ちなみに規制庁資料には、政令制定の予定は、閣議決定(本年10
月)、公布(11月)、施行(来年4月1日)とある。
 導入を阻止するための期間は残念ながらそう長くはない。