原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その204 2019年7月16日 「原子力緊急事態宣言」下であることを世界に報告しない規制委 〜「原子力の安全に関する条約」の日本国第8回報告のウソ〜 |
7月10日の規制委定例会議で「原子力安全に関する条約の日本国第8 回報告」が提示されて承認され、翻訳して8月15日に条約事務局に報告 されることとなった。 ところが、長文(155ページ)の報告文には、日本が今「原子力緊急 事態宣言」下にあることも、その緊急事態状況がどのように変化してき ているか、今後の見通しは、などの説明が全くないのだ。 https://www.nsr.go.jp/data/000276748.pdf 一方で、内閣府原子力災害対策本部は、つい先日、日本が「原子力 緊急事態宣言」下にあり、帰還困難区域が存続する中で「原子力緊急 事態宣言」が解除される見込みは無く、来年のオリンピックは「原子力 緊急事態宣言」下で行うことになる、ことを認めた。 原子力規制委員会の報告はこの現実を世界に説明する責任を放棄して いる。 例えば、同条約の次の条項に違反しているのではないか。 <原子力の安全に関する条約 前文?U 締約国は、 (i) 原子力の利用が安全であり、十分に規制されており及び環境上適正 であることを確保することが国際社会にとって重要であることを認識し、 (ii) 原子力の安全の水準を世界的に高めていくことを継続する必要性を 再確認し、 (iii) 原子力の安全に関する責任は原子力施設について管轄権を有する 国が負うことを再確認し、 (iv) 原子力安全文化を十分に醸成することを希望し、 (v) 原子力施設における事故が国境を越えて影響を及ぼすおそれがある ことを認識し、 (vi) 核物質の防護に関する条約(千九百七十九年)、原子力事故の早期 通報に関する条約(千九百八十六年)及び原子力事故又は放射線緊急 事態の場合における援助に関する条約(千九百八十六年)に留意し、 (vii) 既存の二国間及び多数国間の制度を通じ並びに各締約国の取組を 奨励するこの条約の作成を通じて原子力の安全を向上させるための国際 協力を行うことが重要であることを確認し、… 次のとおり協定した。 ……?? 第十六条 緊急事態のための準備 1 締約国は、原子力施設のための敷地内及び敷地外の緊急事態計画(適 当な間隔で試験が行われ、かつ、緊急事態の際に実施される活動を対象 とするもの)が準備されることを確保するため、適当な措置をとる。 この計画は、新規の原子力施設については、当該施設の運転が規制 機関によって同意された低い出力の水準を超える水準で行われる前に、 その準備及び試験が行われる。 2 締約国は、自国の住民及び原子力施設の近隣にある国の権限のある 当局が、放射線緊急事態の影響を受けるおそれがある限りにおいて、 緊急事態計画を作成し及び緊急事態に対応するための適当な情報の提供 を受けることを確保するため、適当な措置をとる。 3 自国の領域内に原子力施設を有しない締約国は、近隣の原子力施設に おける放射線緊急事態の影響を受けるおそれがある限りにおいて、自国 の領域に係る緊急事態計画(緊急事態の際に実施される活動を対象とす るもの)を準備し及びその試験を行うため、適当な措置をとる。> https://www.nsr.go.jp/activity/kokusai/jyouyaku.html もちろん、世界の原子力ロビーたちが申し合わせてやっていることで あろうが、日本の唯一の原子力規制行政組織である原子力規制委員会が このように現実を無視した偽りの報告を世界に発信することは 許されない。 |