原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その201 2019年6月11日
新「行政不服審査法」による東海第二の審査請求から逃げまくる原子力規制委員会
〜予定した口頭意見陳述会を延期、半年経っても「審理員」未定〜
 原子力規制庁の提案で6月19日に予定していた口頭意見陳述会を、
予定の10日以上前に原子力規制庁自らが延期を申し出てきた。

<東海第二にかかる口頭意見陳述会(平成30年11月27日付けで提出され
た審査請求の口頭意見陳述会と平成31年2月7日付けで提出された審査
請求の口頭意見陳述会)につきましては、同陳述会の審理人の選定に係
る調整を現在行っているところでございまして、先日山田からご提案さ
せていただいておりました6月19日(水)13時半〜16時半の日時での開催
が難しい状況にございます。>と。
 私たちの意見陳述を恐れているのだろうか?

 私たちは、2018年11月27日に東海第二原発の適合性審査(設置許可
工事計画)に対して、2019年2月7日に運転延長認可に対して、「行政
不服審査法」に基づき原子力規制委員会に審査請求を提出した。
 ところが、「その197」でも述べたように、合格処分を決めた「処
分庁」原子力規制委員会が三条委員会である為、同じ原子力規制委員会
が審査請求に対する「審査庁」を務めることになっているが、未だに
審査に入れない。
 昨年10月に沖縄県の辺野古埋立承認撤回処分に対する防衛省の審査
請求に対して国交大臣が数週間で執行停止の決定を出したのと大違いだ。

 それでも、窓口役の山田さんから4月末に口頭意見陳述会の日程調整
のメールが入り、希望日をこちらから提示し、6月19日に行うと通知し
てきたのが5月29日。
 そこで審査請求に連名している人たちから出席者を募り、詳細確認の
為に6月5日に山田さんに電話したら、暫らく不在との応答。代わって
電話に出てきたのが山田さんの上司で院内ヒアリング集会でなじみの
正岡さん。審理をするべき「審理員」が決まったかと尋ねると、まだだ
と言う。東海第二の審査に多くの人が携わったので関わっていない人を
指名することが難しい、と漏らす。そう言えば、窓口役の山田さんも
東海第二の審査をしたので「審理員」になれないと話していた。
 そこで翌6月6日に、新「行政不服審査法」の審査請求マニュアル等
を参考に3人の総代で協議し、口頭意見陳述会の確認とともに、次の
質問を原子力規制庁に送った。

質問1 審理員が決まりましたか? 名前と所属を教えてください。
質問2 処分庁の弁明書の提出をお願いします。まだならいつ出せるか
教えてください。審査請求してから半年以上経過しているので早急な
対応をお願いしたいです。また、できれば弁明書を見た上で意見陳述
したいと考えていました。
質問3 弁明書に対する反論書を提出したいですが、いつ提出すれば
いいでしょうか?
質問4 口頭意見陳述の原子力規制庁側の出席予定者を教えてください。
審理員のほかに、処分庁からの出席を求めます。
また、処分庁への質問もしたいと考えています。

 これに対して、原子力規制庁が明くる6月7日に口頭意見陳述会
延期を連絡してきたのだ。梅雨入りの日に口頭意見陳述会が露と消えて
しまった。茨城現地から出された審査請求の意見陳述会予定(6月18日
午前)も延期されたそうだ。
 旧「行政不服審査法」による川内や高浜の異議申立では、審査担当
2人と文字起こし補助者を前に一方的に意見陳述をした後、1年近く
経って既に原発が稼働した後、異議申立却下の文書が総代に到着した。
そんな空しい異議申立であった。

 今回は、2016年4月施行の新「行政不服審査法」に基づき、早急に
「審理員」決定・処分庁側からの弁明書提出・処分庁への質問などを
要求した結果、このまま口頭意見陳述会を開催するとまずいと原子力
規制庁が判断したのであろう。

 それにしても、昨年は原子力規制庁の多くの人が東海第二の審査に
関わる言わば「特急審査」で強引に運転延長まで決めておきなから、
審査請求に対しては未だに「審理員」も決められない「鈍行審査」だ。

 総務省の資料には、新「行政不服審査法」を紹介して、次の3点を
挙げている。
1 審理員による審理手続き・第三者機関への諮問手続きの導入
2 審理手続の充実等(審査請求人が適切な主張・反論を行える)
3 審理の迅速性の確保等(標準審理期間の設定、透明性の向上)
 しかしながら、1の「審理員」による手続が未だにできず、3の
迅速性が全く守られていない。
 多くの連名者や連名団体とともに、より厳しく原子力規制委員会・
原子力規制庁を追及し、東海第二の合格を撤回させたい。