原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その200 2019年6月6日
バックフィットも特重5年猶予も厳格に実施して稼働原発を止めよ!
〜福島第一原発事故を招いた規制行政の過ちを繰り返してはいけない〜
○川内・高浜・伊方・大飯・玄海の稼働は危険
 2013年7月に施行した「新規制基準」は、福島第一原発事故の検証を
しないまま、既存の原発の稼働を早める為に約8か月で策定された
不合理な基準であり、「世界最高水準」は大嘘だ。

 その「新規制基準」に基づき、例えば石橋克彦さんから「違法」と
まで指摘される緩やかに過ぎ合理性を欠く審査をして安易に合格とした
為、各現地住民が多くの稼働差止の訴訟を起こした。
 それでも、「社会通念上妥当」と「国と事業者にとって屈辱的である
と受け止められるべき」(佐藤暁、岩波科学5月号)非科学的判決に
擁護されて、今9基の原発が核のゴミを増やしながら稼働している。
総て本来稼働しては危険な原発だ。
 さらに、規制委は高浜・美浜・東海第二と稼働後40年以上の老朽原発
の運転延長・再稼働まで認め、「例外中の例外」を「当たり前」にして
しまう愚かな規制行政で多くのメディアからも叩かれた。

○大山噴火の新知見
 そんな中で、規制委として今まで同様には見過ごしにくい事態が
起こった。「その198」で書いた大山火山の新知見による高浜・大飯の
審査問題だ。火山灰の層厚が審査時の10cmでなく25cm近くと予想
されたのだ。
 そして、5月29日の定例会議で設計変更の命令を出す方針を決めた。
 例えば、時事通信は「関電3原発、設計変更命令へ=大山噴火の想定
引き上げ−規制委」
(時事:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052900924&g=soc )
と報じた。

○バックフィット
 これは「新たな規制基準の既存の施設等への適用」でバックフィット
と呼ばれている。バックフィットは、「設置許可された原発に対して
遡って適用する法的仕組みは何もなかった。(国会事故調)」と、
福島第一原発事故が発生したことに対する反省から生まれた制度だ。

○すぐには稼働原発を止めないバックフィット?
 規制委が2015年11月に定めた「新たな規制基準のいわゆるバック
フィットの運用に関する基本的考え方」には、「当該規制基準を即時に
適用することもありうる」とか「当該規制基準を満足していない施設に
ついては、運転の前提条件を満たさないものと判断する」などの厳しい
文言がありながら、次のように対応時期に逃げ道を設けている。

・新たな規制基準を既存の施設等に適用する場合には、規制基準の
決定後一定の期間を確保した施行日を定めるか、又は、当該規制基準の
施行後の経過措置として当該規制基準に対応するために必要な期間を
設定することを基本とする。
・これらの期間は、原子力規制委員会が、当該規制基準の新設・変更の
安全上の重要性、被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に
判断して、個別に設定する。>

 すなわち、新知見が出ても即時に原発を止めることをしないつもり
だ。これでは、「15m以上の津波」との新たな知見がありながら、
防潮堤対策を厳しく要求しなかった原子力安全・保安院と、工事費と
原発停止の不利益を恐れて防潮堤工事を先延ばしした東京電力と同じ
ではないか。福島第一原発事故大惨事を招いた過ちをまたまた繰り
返すことになる。
 なお、5月30日付けで原子力規制庁原子力規制部が「実用発電用
原子炉に関する審査業務の流れについて」
( http://www.nsr.go.jp/data/000183859.pdf )をまとめている。
 この問題を、緩やかなバックフィットの先行事例にしてはいけない。

○原子力規制委員会よ、稼働原発を止めてみよ
 過去に規制委が稼働原発を止めたことが全く無い。この大山の新知見
によるバックフィット問題にしても、特重の5年猶予問題にしても、
原子力規制委員会が原発を即時に止めるべきであるのに、残念ながら
それを期待できない。
 強く直ちに原発止めろと訴えたい。

○原子力規制委員会の点数稼ぎ?
 それにしても、原子力規制委員会は、4月24日の「特定重大事故等
対処施設の5年猶予」延期無し、5月29日の「大山新知見バック
フィット」命令方針、「リアルタイム線量測定システムの配置見直し」
断念など、原子力規制委員会が点数稼ぎの対応を見せている。
名誉挽回策あるいは選挙対策であろうか。
 一方で、私への5年に渡る傍聴拒否、東海第二の審査請求に対する
意見陳述引き伸ばし、危険なリラッキングの審査開始、核燃料施設・
特重施設の審査を継続している。引き続き厳しく監視して、総ての原発
を止めさせないといけない。