原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その195  2019年3月20日
【続】エネルギー調査会の指摘を無視する放射線審議会=被曝強要審議会
〜早野・宮崎論文と内藤論文の誤りを指摘されても再検討しない〜
 「その192」で述べたように、原子力規制委員会の中の放射線審議会
が1月25日の第143回総会で、「東電福島第一原発事故に関連して策定され
た放射線防護の基準のフォローアップについて」検討し、「東京電力福島
第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた緊急時被ばく状況及び現存被ばく
状況における放射線障害防止に係る技術的基準の策定の考え方について」
なる主旨が分かりにくい文書をまとめ、会長が次のように終わらせた。

 「○神谷会長 それでは、承認していただきましたので、今後につきま
しては、私と事務局との間で相談しながら資料の取りまとめの作業を進め
たいと思います。最終的に、最終版ができましたら、事務局においては、
審議会のホームページに掲載していただくことと、関係省庁連絡会等を
通じまして、関係省庁等に周知をお願いしたいというように思います」。

 なお、3月19日現在、最終版はまだアップされていない。
 半年間かけたこの検討で引用した2つの論文のうち1つは早野・宮崎
論文で誤りが明らかになり放射線審議会も割愛したが、実はもう一つの
内藤論文も「その193」で述べたように間違いであるにもかかわらず
引用したままだ。
 3月14日夕刻に開催された「第77回国会エネルギー調査会(準備会)
8年目の福島〜被ばく影響/期間困難区域の解除/除去土壌の行方〜」
で、黒川眞一さんと島明美さんが原子力規制庁担当の前で、放射線審議会
が引用した早野・宮崎論文と内藤論文の間違いを指摘した。にもかかわら
ず、規制庁担当はまともに反論しなかった。
 そればかりか、終了後に私が、担当にこれだけの事実が明らかになった
のだから先の1月25日の議論をやり直すべきだと告げたが、担当はそれは
あなたの考えで私はそう考えないと反論した。要するに、間違った論文で
検討したとしても、結果を覆すつもりが全く無いのだ。

 実際、その明くる日3月15日に開催された第144回放射線審議会総会で
は、1月25日第143回総会の議事録が提出されながら、この問題は何ら
言及されなかった。
 1月25日の放射線審議会の結論を「概要版」からピックアップする。

<東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた緊急時被ばく状況
及び現存被ばく状況における放射線障害防止に係る技術的基準の策定の
考え方について(概要版)……
3.教訓を踏まえた放射線審議会における審議の観点
(2)一般公衆の個人線量に関する数値基準を設けようとする場合、線量
限度と参考レベルの意味合いの違いを踏まえたものとなっているかを
確認する。特に、当該数値基準が罰則等を伴う規制的手法によって
運用される場合には、他の手法による担保ができないかどうかを確認
する。…>

 この概要版の終わり<4.補足>には、本資料は<放射線審議会が自ら
の審議に活用する」ばかりか、「関係省庁が参考とするためのもの>で
あり、<国民や放射線防護分野以外の専門家が放射線防護への理解を深
めるための一助>となり、<現存被ばく状況からの復旧・復興の取組の
参考となることも期待する>とある。非常に重要なのだ。
 さらに、<今後、緊急時被ばく状況又は現存被ばく状況で技術的基準を
策定するときには基本的考え方に留意するほか、本資料にも留意する必要
がある。>とある。
 即ち、関係省庁や国民にも影響するものなのだ。なぜ審議し直さない
のだ?!
「公衆被ばくの実効線量限度(1mSv/年)」を回避したいのではないか?