原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その194  2019年3月7日
「規制委員会の地震動想定は大きな安全裕度」と吹聴して対策先延ばし規制委員長
〜30年内にM7「90%以上」・M9「30%」(地震調査委員会)に東通も東海第二も福島1―2も影響無し!?〜
 2月26日に政府の地震調査委員会(地震本部、地震調査研究推進本部)
が「日本海溝添いの地震活動の長期評価」を発表した。
 3.11東北地方太平洋沖地震発生後に発表した「三陸沖から房総沖に
かけての地震活動の長期評価(第二版)」を8年かけて改訂したものだ。
 今後30年以内の地震発生確率(2019年1月1日現在)を見ると恐ろしい。
・プレート間巨大地震(M7.9):青森県東+岩手県北沖(30%)、宮城県沖(20%)
・プレート間地震(〜M7.5):青森県東+岩手県北沖=90%、岩手県沖
南部=30%、宮城県沖=90%、福島県沖=50%、茨城県沖=80%、…
・海溝寄りのプレート間津波地震(〜M9):青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄り=30%
・沈み込んだプレート内の地震(〜M7.5):青森・岩手沖〜茨城県沖(60〜70%)
・海溝軸外側の地震(M8.2):海溝軸外側(7%)

 東京新聞によれば、平田委員長は「大震災があったので、しばらく
大きな地震は起きない、とは考えないでほしい」と警戒を呼びかけた。
 一方で、島崎邦彦氏(東大名誉教授地震学、元原子力規制委員会委員長
代理)が、評価不能を理由に最悪の事態から目を背けてはいけないと「11
年の地震の北と南で別の超巨大地震が発生しうるということは、もっと全
面に出して伝えるべきだ」と調査委の慎重姿勢を危ぶんでいる。
 それにしても、今回の発表に対する更田規制委員長の反応が、規制委が
誰に向けて仕事をしているかを如実に示している。記者の質問に
「共通理解として一般化された理解として影響を与えるようなものか
どうかは、今の時点でお答えしかねる」と逃げながら、
「規制委員会の地震動の想定というのは、大きな安全裕度を考えて設定
されているもの」と大嘘を述べた。さらに、女川、東通、東海第二の審査
への影響を尋ねられて
「今のところ、いずれの感触も持ってはおりません。」と検討を先延ばし・あるいは避ける意向。

 規制委の基準地震動が甘い甘い設定であることは、本シリーズで何度も
述べてきた。柏崎刈羽原発敷地で2000ガル以上、一関で4000ガル近くを
観測している事実を忘れてはいけない。一方、東海第二の審査では明らか
に不合格である数値を見ても合格させていた。
 更田委員長は、負担増になる防災想定の見直しに消極的な電力各社を
思いはかって、「地震動に大きな安定裕度」などと大嘘を述べた。

 それにしても、東電刑事裁判では、地震調査研究推進本部(地震
本部)が2002年7月に発表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の
長期評価について」で福島沖で大津波をもたらす地震が発生する可能性が
あると予測していたにも拘らず、東電トップが対策を回避したことが破局
を招いたと糾弾されている。
 同じ過ちを、原子力規制委員会が繰り返すことにならないか?!