原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その192  2019年2月12日
放射線審議会(原子力規制委員会内)は被曝強要審議会
〜間違った早野・宮崎論文を2回も引用、削除しても結論は個人被曝線量過小評価のまま〜
 原子力規制委員会の中の放射線審議会が、宮崎真・早野龍五論文を2度も
引用して議論しておきながら、その論文の間違いが国際専門誌で明らかに
なったら引用を引っ込め、しかし「まとめ」の結論をそのままにした。
放射線審議会は被曝強要審議会だ。

 宮崎・早野論文が、伊達市の住民同意なしにガラスバッジ個人被曝線量
データを使い、累積線量を3分の1に過小推定し、さらにその元データを
捨ててしまった。詳しくは「原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを
拒否しよう!」
(http://www.jca.apc.org/~kimum/HIBAKU006.html、/HIBAKU009.html)や
「その157」(/NRAno157.html)や多くの報道をご覧いただきたい。
 この大失態を演じている宮崎・早野論文の狙いは、空間線量と個人被曝
線量とを比較して個人被曝線量が低いと主張すること。

 放射線審議会の「東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた
緊急時被ばく状況及び現存被ばく状況における放射線障害防止に係る技術的
基準の策定の考え方について」の議論を2回(第141回:2018年6月22日、
第142回:9月28日)行ない、2回とも宮崎・早野論文を引用した。
 ところが、宮崎・早野論文の間違いと不正使用と倫理規定違反(例えば
岩波科学2月号参照)が明らかになった後の第143回会議(2019年1月25日)
では、事務方佐藤暁放射線防護企画課長が次のように説明して宮崎・早野
論文を「まとめ」から割愛した。

 「事務局としては、当該論文の学術的な意義について全否定されるもの
ではないと考えるが、論文の筆者が対象となるデータの影響を認めている
こと、またこの論文を根拠としない場合でも本審議会の今説明している資料
の他の3つはその信頼性を確認しているので、この審議会の結論には影響を
与えないのではないかと考える。したがって、当該宮崎・早野論文の引用を
差し控えることが適切ではないかと認識している。学術論文としての信頼性
が確認された場合には再度掲載するとしてどうかというのが事務局の考え
です。今回は引用を差し控える。」

<嘘がばれた論文は割愛するが結論は変えない、可能なら宮崎・早野論文を
再掲する?!>
 案の定と言うべきか、9月の会議では活発に発言した委員が、事務方の
この提案に対しては何も言及しなかった。
 さすがに放射線審議会は原子力ムラ委員たちによる被曝強要審議会だ。
(なお、「内藤ら」の論文を含めた他の3つの論文にも問題が指摘されて
いる。)
   
 同論文を削除しておきながら、宮崎・早野論文の主張と同様の次の結論を
導いた「まとめ」を誰が信じようか?信じてはいけない!


・個人線量は、個人の生活行動が反映されるため、今回確認した資料や論文
では、調査手法等の違いはあるものの、航空機モニタリングなどの測定装置
で測定される空間線量と個人線量計で測定される線量の関係には相当程度の
ばらつきがあった。
・ また、そのようなばらつきがあることを前提としても、個人線量の平均値
は空間線量率から換算式で推定される被ばく線量に比べて低い傾向にあった。
・ これらを踏まえれば、空間線量率と実効線量が関係付けられている基準
は、元々安全側に立った仮定が置かれていたが、結果としてさらに相当
程度の裕度があったといえる。>
 さらに、まとめの「概要編」では、
<【整理から分かったことの概要】・事故後に策定されたいくつかの技術的
基準では、「追加被ばく線量年間1mSv」を規制的手法によって義務付けて
いるものがあること>
と書き、あたかも「追加被ばく線量年間1mSv」を否定しそうな文を滑り込
ませている。騙されてはいけない!

 なお、放射線審議会の事務方トップの片山啓核物質・放射線総括審議官は
「その14」(http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno014.html)で書いたように
旧原子力安全・保安院の筆頭課長(企画調整課長)で福島第一原発事故に責任
がある。
(参考)放射線審議会ページ
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html