原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その186  11月15日
またまた「国民」に被曝を強要する原子力規制委員会
〜事故時の住民避難計画の目安にICRP緊急時最大値100mSv/年を適用〜
◎ 放射線被曝線量とがんの発生率とは比例関係にあり、しきい値がないこ
と(しきい値無し直線モデル、LNTモデル)は世界の常識である。
 それゆえ、故中川保雄さんが「ヒバクは人民に押しつけ、経済的・政治的
利益は原子力産業と支配層にもたらす国際的委員会である」と批判している
国際放射線防護委員会ICRPでさえ、次を定めている。
(環境省資料から)
【計画被ばく状況」線量限度(一般公衆)1mSv/年、
             (職業人)100mSv/5年、かつ50mSv/年
【現存被ばく状況】参考レベル 1−20mSv/年のうち低線量域、
         長期目標は1mSv/年
【緊急時被ばく状況】参考レベル 20−100mSv/年

◎ ところが、10月17日の定例会議で原子力規制委はとんでもない決定をした。
 次は産経記事。
  「被曝線量100ミリシーベルト以内に 原子力規制委、事故時の住民避難
   計画の目安明確化」2018.10.17 18:40
https://www.sankei.com/life/news/181017/lif1810170043-n1.html
 <原発の半径30キロ圏内に入る自治体が事故に備えて策定を義務付けられ
た住民避難計画に関し、原子力規制委員会は17日、事故発生1週間に住民が
被曝(ひばく)する線量について、計100mSv以内を目指すべきだとする目安を
決めた。避難計画の策定は事実上、原発再稼働手続きの一環となっている。
 被曝線量が100mSvを超えると、がん発症のリスクが高まるとされ、国際原
子力機関(IAEA)も原発事故直後などに許容される目安を20から100mSv
としている。
 現状で自治体の避難計画は住民被曝線量を「100mSv以内」とする国の原子
力災害対策指針に沿って策定されているが、これまで規制委は具体的な数値
を示していなかった。>

◎ 緊急時でも年間20から100mSvに押さえないといけないとICRPが定め
ている。
 ところが規制委は、「原子力災害発生初期(1週間以内)の緊急時を対象
に」、「原子力災害事前対策の策定において参照すべき線量のめやす」を「
実効線量で100mSvの水準とする」と決めたのだ。
 さすがに、石渡委員は最大値100mSvでなく最小値20mSvを採用するべきと
考えるが、多数決にゆずるとした。

 原子力規制委員会は、ここでも「100mSv」を持ち出して、原子力災害事前
対策をより緩やかにすると同時に、またまた年間100mSvで安全という原子力
マフィアの言いぐさを宣伝しているのだ。
 原子力規制委員会は、東海第二の運転延長を認める「再稼働推進委員会」
であるばかりか、「国民」に被曝を強いる「被ばく強要委員会」でもある
のだ。

◎(注1)本シリーズ「その6 2014年6月
(http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno006.html)年間100mSvでも安全を
押し付ける規制委員会〜田中委員長の大ウソを批判する」参照。
(注2)かの山下俊一氏が書いた論文、チェルノブイリ20万人の子どもたち
の大規模調査結果報告「日本臨床内科医会会誌(23巻5号2009年)」で
さえ、「10−100mSvの間でも発がんは起こる」と書いている。
(注3)ここでは内部被ばくにより人体内局所被曝が起こりうることは言及
していない。