原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その176  7月18日
複数基の同時被災・同時トラブル発生を考えない「新規制基準」と審査
〜東電福島第一原発事故の最も重要な教訓を無視して再稼働を推進する規制委〜
○東電福島第一原発事故の教訓
 東電福島第一原発事故では、2011年3月11日地震発生直後に稼働していた1号
機〜3号機がスクラム(原子炉緊急停止)、その後1号機・2号機はすぐに全電
源喪失、全交流電源を喪失した3号機は3月13日未明に全電源喪失、そして1号
機水素爆発(3月12日15:36)〜3号機水素?爆発(3月14日11:01)〜2号機放
射性物質大量放出(3月15日06:00)と続いた。
 この数日間の免震重要棟における吉田所長以下東電関係者の必死の闘いの動画
・報告などから、1号機〜4号機の同時被災・同時トラブルとその制御がいかに
大変かを目の当たりにした。

○複数基の同時被災・同時トラブルは審査外
 ところが、今、原子力規制委員会が行っている審査では、複数基の同時トラブ
ル発生を全く考慮していないのだ。
 私は、複数基立地・稼働の問題を指摘(例えば、その137、その152)してきた
が、審査における同時被災・同時トラブルの無視には思い至っていなかった。
 このことは、7月13日の「東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員
会院内ヒアリング集会(3)〜首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな〜」で
発覚した。
 相沢一正さん・山崎久隆さんが東海第二の審査で「再処理工場の事故の影響を
考慮するべき」と追及した時に、原子力規制庁は(冷やし続けないといけない廃
液もある)再処理工場のトラブル発生は考慮していないと答えた。このことは大
問題である。

 さらに、複数基が立地されている他の原発での審査はどうか?と尋ねたところ、
「総て施設毎の審査だ」とはっきりと回答。
 川内・高浜・大飯・玄海と複数基が同時稼働している原発の審査でも「複数基
の同時被災・同時トラブル発生を考慮していない」ことが明らかになった。

 原子力規制委員会は、東電福島第一原発事故の最も重要な教訓である複数基の
同時被災・同時トラブル発生を全く考慮せずに、個々の施設ごとの審査でお茶を
濁しているのだ。
 今の規制委の審査では、複数基立地・複数基稼働の全国の原発はどれも東電福
島第一原発事故と同様の悪夢を生む可能性がある。直ちに総ての原発を止めるべ
きだ。