原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その160   3月5日
新規制基準は既存原発を動かすための穴だらけ「珍既成基準」
〜東海第二原発・院内ヒアリング集会と定例記者会見で再確認〜
 2月22日の「東海第二原発の再稼働審査を問う」原子力規制委員会院内
ヒアリング集会では、改めて「新規制基準」の問題点を確認した。

(1)「立地審査基準は取り入れていない」
 東海第二原発の原子炉設置許可についての質問に規制庁担当が「立地審
査基準は取り入れていない」と答えた。新規制基準では、従来の原発規制
指針体系の基本的な指針の一つである「原子炉立地審査指針」を適用しな
いのだ。
 同指針では基本的目標として「重大事故の発生を仮定しても周辺の公衆
に放射障害を与えないこと」、「重大事故を超えるような技術的見地から
は起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい
放射線災害を与えないこと」、「仮想事故の場合には集団線量に対する影
響が十分に小さいこと」を定めている。
 本来ならば、3.11東電福島第一原発事故を経験して、各原発立地に
おいてこれらの基本的目標が達成できるかどうかを見直すべきであるのに、
そうすると敷地境界での被ばく積算線量100mSVをはるかに上回ることが明
らかだから立地評価自体をやめたのだ。

(2)原子力災害対策は審査対象外
 原子力規制委員会は原子力防災計画を審査対象としていない。IAEA
深層防護の第5層を「新規制基準」は対象外としていることをここでも確
認した。原子力規制委員会の初仕事が原子力災害対策指針の策定であった
にも拘らず、これを審査対象とするといずこの原発も動かせなくなるからだ。

(3)複合基立地と稼働
 新規制基準は複数基の立地と稼働を認めている。が、集会で災害時のア
クセスルートの検討で東海原発からの放射能汚染を考慮していることが判
明した。そこまでして、東海原発や再処理工場と関連施設や核のゴミに囲
まれた東海第二を動かす必要は無い。
 また、7年前の東電福島第一原発1−4号機の収束作業の悪夢を思い起
こせば、複数基立地と同時稼働を許してはいけない。

 2月28日の記者会見でNHK記者から「事故の検証の必要性」を問われ
て、更田委員長は「検証して、分析をして、その結果を諸外国に向けて発
信するのは、これは事故の当事国として日本の義務であろうと思っていま
す。」と答えた。
 ところが、記者が「なぜこういう事故が起きたのか検証して規制に生か
していく」ことがあるのかの問いに対して、津波の話を持ち出したり長々
と答えながら、国会事故調が指摘した地震による配管破断については全く
言及しなかった。これも新規制基準で逃げている重要な課題だからだ。
 54基あった「既成」の原発を再稼働するための新規制基準は、「珍既
成基準」だ。