原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その158   2018年2月17日
原子力規制委員会は<原子力ムラ>の一員
〜新藤宗幸「原子力規制委員会−独立・中立という幻想」(岩波新書)から(上)〜

 2017年末発売の岩波新書「原子力規制委員会―独立・中立という幻想」
が面白い。
 行政に詳しい新藤宗幸さんが、5年余り前(2012年9月)に国家行政組織
法第3条にもとづく行政委員会として発足した原子力委員会が独立性も中
立性も維持できていないことを分かり易く説明している。
 以下に引用するようにこのシリーズで表現が違う拙文で述べてきたこと
も多く、皆さんも共感できると思う。

○2013年に安倍首相がブエノスアイレスで原子炉と汚染水は完全に「アン
ダーコントロール」と演説したが、この直前の8月に政府は福島第一原発
からの汚染水漏洩についてIAEAの原子力事業評価尺度でレベル3と認
定したばかりだった。
○モラルを欠いた政権の行動は、外見的に独立かつ中立にみえる「装置」
(原子力規制委員会)に支えられている。
○原子力規制委員会・原子力規制庁の設置法案は、民主・自民・公明の3
党が拙速にとりまとめ、ドタバタの審議・国会通過で超短期の法案成立。
原発再稼働にむけた制度的体裁を整えることのみを追及したから。
○原子力基本法と原子力規制委員会設置法に「我が国の安全保障に資する」
が加えられたが、核兵器開発をも視野に入れた軍事的「安全保障」を意味
しているのではないか。
○3.11前の原子力安全・保安院と原子力安全委員会のダブルチェック
が原子力規制委員会のみのチェックになった。
○スタート時の委員長と委員に欠格要件(不適格)に該当するのではないか。
委員の入れ替えで新たに選任された田中知は原子力推進学者の「ドン」。
○島崎委員長代理の退任により巨大地震襲来が予測されるなかで地震学の
専門家は姿を消した。
○スタート時の原子力規制庁の職員は原子力安全・保安院から350人、原子
力安全委員会から41人、文科省から40人、環境省から10人、その他14人と、
原発推進機関からの横滑り人事で、幹部7人のうち5人がシビアアクシデ
ントにいたる原子力行政を担ってきた。「衣を替えた」原子力安全・保安
院と言った様相。
○公安警察幹部が初代長官、警察官僚が地域安全総括官と警察庁等との連
携を図り、脱・反原発市民運動の動向把握や情報取得が目的ではなかったか。
(続く)