原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その154 2018年1月15日 福島県民健康調査から見える県・国・世界の被ばく被害隠し 〜岩波「科学1月号」があばく被ばくによる小児甲状腺がん〜 |
岩波「科学1月号」に書かれた4つの小児甲状腺がんについての論文が、県・国・世界が被ばく影響隠しをしていることをあぶりだしているので簡単に紹介する (1)木野龍逸(ジャーナリスト)「県民健康調査の情報公開」(東京電力原発事故の情報公開NO.36) ・当初の予想をはるかに超えて発生している小児甲状腺がんについての見解が混乱している。・チェルノブイリ原発事故で唯一放射線との因果関係が一般的に認められている甲状腺がん。・1017年11月資料では避難指示区域等13市町村と中通りで発見率が高く、委員からも4地域に有意差があるという意見が出た。 ・現状では福島医大が情報を独占し、自分たちの研究成果発表のために利用している。 (2)牧野淳一郎(神戸大学院理学研究科)「3.11以後の科学リテラシーNO.61」 ・本格検査1回目がほぼ確定し、2014年対象地域では2015年対象地域の2倍程度の悪性率で統計的に有意な差 ・実行線量推計値が1mSv以上の人たちの悪性判定を受ける割合は、1mSv未満の人たちの2倍以上で統計的に有意な差 ・県から公表されていない患者が相当数あることが明らかになり、スクリーニングによる「過剰診断」論の根拠はゆらいできている (3)津田敏秀(岡山大学院環境生命科学研究科)「甲状腺がんデータの分析結果と疫学理論」 ・本格検査・検査3回目では、避難区域など3市町村と中通りにおいて、標準化発生率比が有意に高くなっている ・チェルノブイリでの経験では、事故による甲状腺がんの増加数は、年少者よりも年長者における方が極めて多いので、19歳以上の甲状腺がんデータの収集、福島県外地域の甲状腺がんデータの収集、WHOも予測している甲状腺がん以外のがんのデータ収集、がん以外の甲状腺並びに重篤患者のデータの収集、が必要。 (4)平沼百合(米国在住医師)<甲状腺がんと放射線の影響に関するIARC国際専門家グループ「TM-NUC]について> ・フランスリヨンの国際がん研究機関IARCの国際専門家グループの会議(2017年度〜)に環境省が約5000万円拠出、“Don't check neck”など過剰診断論の著者が多い。 ・2015年12月に発動した非科学的で政治色の濃いSHAMISENプロジェクト(核緊急事態での医学的および健康的サーベイランスの改善)で、福島県のデータに関して基本的に1巡目のデータしか解析せずに偏ったデータを分析して勧告「R-25」を構築。「政治的な施策決定への提言」協力者には、山下俊一(長崎大)、高村昇(同)、緑川早苗(福島県立医大)、大津留晶(同)の名前。一方、「過剰診断・治療を否定」「甲状腺検査の継続」を提案している鈴木眞一の名は無い。 ・「TM-NUC」から2018年春に提出される提言は、「科学的な中立性」を保つものではなく、「政治的な提言」になると予測される。しかも、日本国内で正式なアナウンスがなされないままで。 これら4つの論文は、福島における被ばくによる小児甲状腺がん多発が明らかであるにも拘らず、それらを否定する国内、国際的動きを暴いている。 杜撰な除染で大手ゼネコンに税金をばらまいている環境省が長瀧委員会(東電福島第一原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家 会議)を仕切って調査範囲を狭めていた。環境省の外局である原子力規制委員会は100mSV/年安全、20mSv/年帰還を提唱した。その原子力規制委員会の田中前委員長が飯館村に引っ越し、1月12日に更田現委員長が福島に入ってトリチウム汚染水の海洋投棄を推奨している。しっかり監視しないといけない。 以上 |