原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その153   2017年12月15日
広島高裁の「伊方原発差止決定」を受けて何も答えない更田委員長
〜「コメントする立場にない」「科学的・技術的」を振り回す当事者〜
  12月13日(水)に広島高裁が、火山噴火リスクについての原子力規制委員会の判
断を「不合理」として、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じた。
 当然この日の更田規制委員長の定例記者会見で記者が何度もコメントを求めた
が、次のようにまともに答えない。
 更田…「本件は民事訴訟なので、原子力規制委員会は本件の当事者ではないの
で、この訴訟に直接コメントする立場にない」「私たちは状況にかかわらず、科
学的、技術的な知見、理解に基づいて私たちの責任を果たしていく」

 さらに、「阿蘇カルデラ噴火の火砕流についてしっかり想定していないと。今
の火山の最新の知見で判断すれば、それは想定されるべきだということを言って
いる」との技術的質問にも
 更田…「個別の民事訴訟に関して、その内容にコメントする立場にありませ
ん。」、「火山灰についてもそうですけれども、新しい知見、新しい理解に基づ
いて、改めるべきところはそれをより改善していっている。」と逃げる。

 規制委の審査が「不合理」と指摘されているのであるから、より踏み込んだコ
メントを出すべきであるのに回答しなかった。判決直後の記者会見であったので、
今後より詳しく説明責任を果たすことを求めたい。
 それにしても、高裁が稼働差し止めを初めて認めたこと、その理由として火山噴火リ
スクを掲げたこと。そして原発から100km離れた人びとの稼働差し止め請求を認めたことは画期的だ。特に、阿蘇カルデラ噴火リスクを評価しているのであるから、伊方原発より近くにある川内原発や玄海原発の審査をも見直すべきだ。
 一方、報道によれば、広島高裁の今回の決定では、新規制基準や基準地震動の
判断を「合理的」としたそうで、私たちには全く納得できない。
 また、運転差し止め期間を2018年9月までと限定したことも不満だ。司法の独
立性が問われている中で、退官前裁判官でもここまでが限界なのだろうか?

 なお、2016年の福岡高裁宮崎支部の決定では「火山ガイドが不合理」と指摘し
ている。次をご覧いただきたい。
その90 2016年4月9日 http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno090.html
「火山ガイドが不合理」を認めない田中委員長!
福岡高裁宮崎支部の棄却「決定」にはしゃぎ「安全文化」欠如を露呈させる
 また、今回の広島高裁決定は次の主張に近いのだと思う。
その59 2015年8月19日 http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno059.html
カルデラ噴火で九州の人が住めなくなったら原発はどうなってもいい?
科学者としても責任者としても全く信用できない田中委員長
 さらに、次も参考に。
その27 2014年11月13日 http://www.jca.apc.org/~kimum/NRAno027.html
火山学会に「頑張ってもらわないと困るんだよ」の暴言
牙をむき出した田中委員長