原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その141 2017年7月24日 田中俊一放射能アドバイザーが主導した市民を守らない除染 〜『「心の除染」という虚構』(黒川祥子)が明らかにする伊達市の実験〜 |
◎ 田中俊一規制委員長が主導して世界の常識に反する「年間100mSvで安全」、 「年間20mSvで帰還」の国の復興政策の為の提言を出したことは前に述べた。 それ故、私たちは「再稼働を推進するな」のみならず「被ばくを強要するな」 といつも原子力規制委員会に訴えている。 ◎ 『「心の除染」という虚構〜除染先進都市はなぜ除染をやめたのか』(黒川祥 子、集英社インターナショナル)にも田中俊一が何度も登場するので驚いた。 NPO法人「放射線安全フォーラム」田中俊一副理事長は、2011年に伊達市の 放射能アドバイザーに就任して除染を主導していたのだ。 そういえば、2011年秋の環境省の除染を検討する会(ゼネコン傍聴者多数)の委 員でもあった。 福島県伊達市では、近隣に先駆けて除染に取り組み、次の施策を実施した。 ・特定避難勧奨地点 家ごとに特定に避難を勧奨するという制度を適用し地域社会をズタズタに切り 裂いた。 ・個人線量計(ガラスバッジ) 約5万3千人の全市民に1年間装着させて実測値を得て、個人の被ばく量を過 少測定し、被ばく管理基準を緩和する為に使われようとしている。 ◎ 伊達市で、原子力推進勢力にとって都合よく、使い勝手のいい「前例」を作 るための「実験」が行われたのだ。 市民の本当の願いは「震災前に、戻してください」なのに、伊達市の後継アド バイザー多田順一郎(NPO法人「放射線安全フォーラム」理事)は「被災地の人 に、被災者の立場を卒業していただくことがゴール」と話したそうだ。 本書で描かれた家族の甲状腺がんへの恐れ、誰もが抱く被ばくした身体の心配、 伊達市から放射性物質が完全に無くなるのは300年後との市報、を無視して。 住民や特に子どもたちの命や健康を軽視し、原発事故被害を小さく見せて原発 推進する原子力マフィアたちのやり口を許せない。 ◎ 同書は、伊達市の5家族を軸に原発事故被害をそれに対する国や行政の姿を 克明に記し、「福島に寄り添い」といいながら体験しないとなかなか理解できな い真実を明らかにしてくれるすぐれたドキュメントだ。 また、旧知の青木一政さん(ふくろうの会、ちくりん舎)が何度も登場して家族 を応援している。 |